「さて、どうしようか？」

かない転移魔法陣を見下ろしながら俺は考える。

転移魔法陣がかないということは俺は國に帰ることができないということ。つまり、邪神が滅んだことを報告することもできなければアリシアと再會して怒られることもできない。

「とりあえずここから出るしかないか？」

邪神がいた祭壇側には財寶が置かれていた。だが逆側の遠い場所には扉が見える。

扉があるということはどこかに繋がっているということ。

「ここにいても仕方ないから行くか」

何せ、俺は邪神の生贄になりにきたのだ。食べの1つも持っていない。このままでは飢え死にしてしまう。

俺は神剣ボルムンクを手に扉を開けた。

「それにしても、長い通路だけど誰とも出くわさないな」

てっきり何か恐ろしいモンスターでもいるのかと思っていたのだが、生きの気配が全くない。

「食糧はどこまで行っても見當たらないし」

やはり見た目が骸骨なせいか食事を必要としていなかったのか？

でも、生贄をしていたということは食べるつもりだったのではないだろうか？

食べたところで骨からがこぼれそうなのだが、邪神の生態についてこれ以上考えても仕方ないだろう。

「さて、次の部屋は……」

ここに來るまでの間に々な寶を回収している。邪神は魔導コレクターなのか強力な剣やら槍やらがたくさん見つかった。

【ストック】にはアイテムの説明もついているので、どれが有用なアイテムなのか見れば丸わかりだ。

「そろそろパンの1つでも出てこないかな……」

だが、今しいのは食糧だ。売れば一生安泰な高レア裝備も無事に持ち帰らなければ意味がない。俺は期待をしつつ部屋にってみると……。

「なんだ？　魔法陣？」

白くる魔法陣がある部屋だった。

優しいとともに暖かい何かをじる。

「転移の魔法陣ではなさそうだが……。なにやら心地よいオーラをじるな」

俺は吸い込まれるようにその魔法陣に乗ってみる。

「なんだこれっ！　疲れがなくなっていく。それに凄く気持ちいいぞ！」

俺が乗ると魔法陣の輝きが増した。そして歩き回った疲れから神的な疲労までを完全にリフレッシュしてくれた。更に、邪神と対峙した時にいつの間にかりむいていた怪我も治っている。

「もしかして伝説のダンジョンの魔法陣？」

小説に出てきた伝説のダンジョンと言われた場所のラスボス手前の部屋に存在する魔法陣と同じ。

力や魔力を完全に回復する効果があり、語ではボスに挑む前の勇者パーティーがここで完全回復をさせていた。

邪神がいるような場所ならあっても不思議ではない。とにかく滅ってた気分も復活したし、何よりべたついていた汗も取れ、爽快な気分だ。

「これならまだ頑張れそうだぞ」

ここには特に目立つものはない。俺は部屋をでて次に向かおうとするのだが…………。

「まてよ？」

俺はし考え込むと魔法陣を見つめる。そして……。

「こうしたらどうなるかな？」

再び魔法陣に立つ。そして魔法陣が輝く瞬間に――

「【ストック】」

その回復力をストックしてみた。

「おおっ！　やっぱり溜めることができたな」

力も魔力も怪我さえも一瞬で治す魔法の。これがあればこの先怪我をしても

大丈夫。

「とりあえず溜められるだけ溜めておくか……」

疲れたら回復させればいい。どうやらこの魔法陣は俺の空腹狀態も解消してくれるようなのだ。

これさえあれば死することはなくなる。俺はしばらくの間ここで回復の魔法をストックしていくことにした。

「とりあえずここまでか……。3日ぐらいはぶっ通しだった気がするが」

途中からストックの數字が増えるのを見続けていた。

ずっと乗っていれば魔法陣が発するので俺は時には寢たりしながら回數を溜め続けた。結果として…………。

ステータス畫面の【ストック】の項目を見る。するとそこには――

・パーフェクトヒール×99999

「ちょっと溜めすぎたかも？」

一生かかっても使い切れないほどのパーフェクトヒールがストックされていた。