《【書籍化】生贄になった俺が、なぜか邪神を滅ぼしてしまった件【コミカライズ】》エルフのセレナ

・ブラッディオーガのツノ×1

・ブラッディオーガの×1

ドロップ品の収納を終えると、俺はまだ放心しているエルフのに聲を掛ける。

「それで、もしよかったら狀況を説明してほしいんだが。どうしてあんなところに倒れていたんだ?」

「えっと、父が病に冒されていてその癥狀を抑えるハーブを取りに來たの。そしたら突然あいつが現れて、気が付けば気絶させられていたみたい」

「なるほど、ブラッディオーガがあんたを気絶させたタイミングで丁度俺が通りかかったのか」

そうするとお互いに運がよかったらしい。

「それよりその腕早く治療しなきゃ。待ってて、今ハーブを集めてくる!」

起き上がろうとして顔を歪める。どうやら足を痛めているらしい。

「大丈夫だ。それよりれるぞ?」

俺は彼れると……。

「【パーフェクトヒール】」

「ん。……ぁん」

耳元でっぽい聲がする。見上げてみるとエルフは瞳を潤ませていた。

「どうだ、まだ痛むか?」

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俺の問いに彼は自分のってみると……。

「噓っ! まったく痛くない!」

パーフェクトヒールの効果は絶大だった。俺は自分の腕にもパーフェクトヒールをかけて怪我を治す。

「ねえ、それいったいなんなの?」

エルフが恐る恐る聞いてくる。

「ああ、これはパーフェクトヒールといって力と魔力が全快になる上、全ての怪我を治すことができるんだ」

「そ、そんな魔法聞いたことないわ! うちの高位の霊使いだってこんな短時間で治すのは不可能よ」

驚きをわにするエルフ。俺はようやく人に會えたのでこれまでの疑問を解消しようとする。

「ところで1つ聞きたい」

ようやくここがどこなのかハッキリする。俺がそのことを聞こうとすると……。

「あっ、その前に私から言わせて。今回は助けてくれてありがとう。あなたが來なかったら私はブラッディオーガ―に連れ去られて犯されていたわ。の危険を顧みずにブラッディオーガに挑んで怪我までして私を守ってくれた」

そこでエルフは顔をやや赤らめると……。

「その……本當にありがとう」

最後の方は顔を逸らされながらだったのでやや聞き取り辛かった。

「気にするな。あの狀況を放っておくことはできなかった」

あの狀況を無視できるようならアリシアの代わりに生贄になんてなっていない。

「それよりここはどこなんだ?」

何とかして國に帰らなければならないので現在地を把握したいのだが……。

「ここは迷いの森の最奧よ。一度足を踏みれたら生きては出られないと人族たちが噂している」

「聞いたことがない。そうすると俺の住んでた街の近くということはなさそうだ」

邪神の元へと送られる転移魔法陣のせいで隨分と離れた場所に來てしまったようだ。しかし迷いの森とは言い得て妙だな。

ここはひらけた場所なのだが、森にるとを遮るほどに木が高く葉が多い。目印のようなものもないので方向覚が狂い迷い続けることになりそうだ。

そう考えるとどうやってここを出するべきか?

「ねぇ。ちょっといいかしら……あなた……えーと……」

「ああ。俺はエルトだ」

名前を呼ぼうとして言いよどんでいる。自己紹介がまだだったので俺は名乗った。

は口元で「……エルト」と呟くと。

「私はセレナよ」

に手をあてて名乗るセレナ。そんな彼をじっと見ていると……。

「ここじゃなんだから私の村に來てくれない? 助けてもらったお禮もしたいし」

ここで斷っても迷いの森をさまようだけだ。

「わかった。案してくれ」

俺はセレナの提案に頷くのだった。

「セレナじゃないか。どうした! 隨分と汚れているじゃないか!」

走ること數十分。どうやらエルフの集落に著いたらしい。

エルフの男が高い木から飛び降りてセレナの前に立った。

「実はブラッディオーガに襲われて……」

「なんだとっ!? あいつがまた出たのか! 至急導しなければ! 村に近づかれては困る!」

他にもエルフが現れ深刻そうな顔をする。セレナが近寄ってくるので話しかけた。

「あいつは本當に迷な奴だったんだな」

「そうよ。集落の近くに現れるたびに皆で村から遠ざけるように導していたの」

そんな會話をしていると……。

「セレナ! 何をのんきにしている! お前は目撃した場所を報告してくれ!」

慌てているエルフの男に。

「ちょっといいか?」

「何だお前は……人族?」

怪訝な視線を向けてくる。

「エルトは私をブラッディオーガから助けてくれたの!」

フォローのつもりかセレナは俺の前に出るとそう言った。その言葉でその場のエルフの視線から険しさが消える。

「そうか、セレナの恩人は村の恩人。今は忙しいのでろくなもてなしはできないが、ブラッディオーガの件が片付いた後でお禮はさせてもらう」

そう言ってき出そうとしている男に俺はあるを取り出して見せる。

「その忙しい用件とやらのブラッディオーガだが、俺が倒したぞ。これが証拠のツノだ」

「「「「「はっ?」」」」」

口をぽかんと開けるエルフたち。それを苦笑いしながら見ているセレナ。

奇妙な沈黙があたりを支配していた。

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