《【書籍化】生贄になった俺が、なぜか邪神を滅ぼしてしまった件【コミカライズ】》霊視の覚え方

「いやー、たいしたやつだよお前!」

「まさかフィルが負けるとはな。乾杯しようぜ!」

「おい酒が足りねえぞ!!」

ステージを降りるとエルフたちが上機嫌で俺の肩を抱いてきた。どうやら今の模擬戦で俺のことを認めてくれたようだ。

「何言ってるの、もうお酒なんて殘ってないわよ」

だが、元々予定していなかった宴なので既に酒は底をついているらしい。

俺はふと考えると…………。

「良かったらこの酒にしないか?」

ストックの中から3種類のワインを5本ずつ取り出してテーブルに並べる。

「おおっ! 手品みたいだな。珍しい容れだが酒が飲めるなら何でもいいさ」

エルフが嬉しそうにワインを掲げていると……。

「ちょ、ちょっとその酒をわしにも見せてくれんかっ!」

ヨミさんの聲が聞こえた。

村長のただならぬ様子に俺とエルフの男はワインをもってヨミさんの元へと向かう。

ヨミさんはワインをけ取るとそれを凝視する。にかざしたり回してみたり、ラベルの文字を熱心に読んだり。しばらくするとヨミさんは目をカッと開いた。

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「こっ……これはっ! 幻のワインではないかっ!」

「幻のワイン?」

「うむ。既に失われた文明のワインじゃよ」

俺が取り出したのは邪神の城に保管されていたワインだ。まさかそんないわくつきのだったとは……。

「これがそんなに凄いものなんですか?」

テーブルの上には【ディアボロスワイン】【バハムートワイン】【リヴァイアサンワイン】が並んでいる。

「世界で5本の指にる名酒と呼ばれるものが3本もっ! エルフの長い一生の間でどれか1つでも口にすることができたなら強運と言われておるのに……」

そんな凄いワインだとは知らなかった。

周囲で酔っ払っているエルフたちもただごとではないと真剣な顔をしている。

「エルト君や。これは大事にしまっておいてなにかの記念日にあけるべきじゃよ。こんな宴會なんかで消費してよいではない」

ヨミさんは優しく俺を諭すとワインを俺に返そうとする。だが俺はそれをけ取らず。

「ならやはり今日あけるべきでしょう」

皆が怪訝な顔をするなか俺はこの場の全員を笑顔で見渡すと言った。

「今日は皆と出會えた記念日ですから。このワインをあけるのにこれ以上ふさわしい日はないですよ」

街にいたころはアリシアしか話し掛けてくる相手がいなかった。今日はエルフたちから親しみの視線を向けられ、話し掛けてきたのだ。

俺がこのワインをこの場の人たち一緒に呑みたいと思うのは當然だろう。

「エ、エルト君……」

した様子をみせるヨミさん。俺はちょっと言い過ぎたかもしれないと思い言葉を追加する。

「そ、それに、こういうお酒は皆で呑んだ方が味しいですからね」

「ハハッ、違いねえや! よく言った!」

その後皆でワインを分け合い楽しい時間を過ごした。

「……頭が痛い」

翌日。目覚めてみるとフィルが左腕を、セレナが右腕を抱いた狀態で著していた。

どうやらここはヨミさんたちの家のようで、どうやって戻ったのかは覚えていないが俺たちは家に戻るなり力盡きていたようだ。

「うふふふ、エルトぉ……」

「セレナは渡さないぞぉ……」

兄妹揃って何やら寢言を呟いている。至近距離から見る2人の顔はやはり整っている。昨晩みた他のエルフと比べても別格と言っても良いだろう。

俺は2人から腕を抜くと……。

「【パーフェクトヒール】」

魔法を唱えると頭痛が消えた。どうやらパーフェクトヒールは狀態異常も治せるらしい。

「一応この2人にもかけておくか」

恐らく起きたときに頭痛に悩まされるであろうと思ったので俺は2人にもパーフェクトヒールをかけて二日酔いを消しておくのだった。

「なに? 霊視について教えてしいじゃと?」

「ええ。それともエルフの極事項だったりするのでしょうか?」

起床してからヨミさんと會うと俺は昨晩の霊魔法のことを思い出した。

とは比べにならない威力があるので、習得することができればこの先の旅で役立つと思ったからだ。

「ふむ、確かにエルト君は【魅力】のステータスを持っておるからな。霊を使役できる可能はある」

期待通りの返答に俺は拳を握り締める。

「どうすれば霊が視えるようになるのでしょうか?」

この村には全部で100人ほどのエルフが存在しているのだが、実際に霊を使役し魔法が使えるのは20人程らしい。

つまり5人に1人は霊を視ることができるということになる。

ヨミさんはアゴをでると答える。

霊を視るには【魅力】を高めることじゃ。ステータスが高ければその【魅力】に惹かれて霊が集まってくる。霊視は集まってきた霊の數が多いほど早く開眼することができる眼なのじゃ。なので魅力が足りないエルフは狩りなどをしてレベルを上げていくうちにいつの日か霊を視ることができるようになる」

そう言ってヨミさんは険しい目を俺に向けると。

「エルト君はまだ若い。ここでしばらく修行をしていけばいずれは霊視が使えるようになるじゃろう。じゃが、その道は簡単ではないぞ?」

念を押すヨミさんに俺は……。

「なるほど、よくわかりました」

・虹の果実×108(食べると魅力が100増える)

ステータス畫面のある場所を見ながら答えた。

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