《【書籍化】生贄になった俺が、なぜか邪神を滅ぼしてしまった件【コミカライズ】》水浴び

「どうだった?」

テントを出るとセレナが寄ってくる。

その後ろにはラッセルさんを含む冒険者たちがいてこちらを見ていた。

「クズミゴは王國で処罰になった」

俺の報告に皆が「わっ」と喜ぶ。無理もない、アークデーモンを前に1人だけ逃亡したのだから。

「それと、今回の討伐で特に活躍をしたということでラッセルさんを兵士に登用してくれると確約をもらった」

その言葉にラッセルさんのパーティーメンバーが拳を握って喜びをにした。

「ちょ、ちょっと待てよ! 一番活躍したのはエルトお前だ! それにアークデーモンのきを止めたのはセレナの嬢ちゃんだろ?」

慌てた様子でラッセルさんが前に出てきた。

「それは違いますよラッセルさん」

自分が手柄を橫取りしたと思ったのだろう、表を歪ませているラッセルさんに俺は言う。

「今回の功績は何もアークデーモン討伐だけを示していないんですよ。あなたは道中ずっと周りの冒険者を気遣ってくれていたし、アークデーモンが現れた時も真っ先に表に立ってくれた。そんなあなただから俺たちはアークデーモンと戦う気になったんですよ」

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アークデーモンを倒したのは確かに俺だが、ラッセルさんのこれまでの行いは評価されるべきなのだ。

「そうですよラッセルさん! 話をけて下さいよ!」

「兵士になりたいって思ってたの知ってますよ!」

周囲の冒険者たちもラッセルさんに聲援を送る。するとラッセルさんは頬をかくと……。

「お前ら、恥ずかしいからそれ以上言うな」

照れた様子で皆から顔を逸らす。どうやらける気になったようだ。

「これで冒険者ギルドは素晴らしい先輩を失うんだな……」

まだまだ教えてしいこともあったのだが仕方ない。俺は目を細めると皆にからかわれているラッセルさんを見ている。

「でも代わりにとっても素敵な兵士さんが1人誕生するじゃない。ラッセルさんなら街の人にされる素敵な兵士になると思うわ」

俺の言葉を聞いていたのかセレナが嬉しそうに隣へと來た。

いつものようにを近づけてくるセレナ。この距離にも最近慣れてきたなと考えるのだが……。

「ん?」

セレナが大慌てで飛びのき俺と距離を取る。そして…………。

「エ、エルト。あなた凄く臭いわよっ!」

涙目で非難をしてきた。

「ああ、そういえば……」

クズミゴに近寄られたので臭いが移ったようだ。

「流石に今のエルトには抱き著きたくない! あっちに泉があるから水浴びをしてきてちょうだい」

セレナの冷たい言葉に俺はクズミゴを恨みながらも泉へと向かうのだった。

「ふぅ、水が澄んでて気持ちいわね」

泉にてアリス王とアリシアは水浴びをしていた。

「それにしても宜しかったのでしょうか?」

今日は調査隊がぼちぼち戻ってくる日なのだ。アリシアはその結果が気になっていた。

「剣を振っていたら汗かいちゃったのよ。それに、流石にこのまま最後までテントの中で待機しているってのも何しに來たかわからないじゃない?」

調査隊を雇っているということで役割は果たしている。

だが、期日が近づくにつれて表を暗くするアリシアに気付いたのだ。

せめて近場でも外に連れ出して気分転換をさせた方が良いとアリス王は判斷した。

「にしてもアリス様。無防備すぎではないですか?」

一國の王がこんな泉でを曬しているのだ、覗かれたらどうするのか?

「平気よ。人がってこれないように認識阻害の結界魔法を発しているから」

見る者全てが見惚れるようなプロポーションを見せつけるアリス王にアリシアは自分のを見比べてみる。その作で何を考えいるのか察したアリス王は……。

「あなたのだって綺麗よ。私は剣を振っているから全的に引き締まっているけど、あなたみたいにらかいをしている方が男けするんだから」

実際、アリス王とアリシアを並べてみてもそんはなく、どちらも男を引き付けるをしている。

アリシア王の言う様にあとは好みの問題だろう。

「本當ですか……?」

「あら、疑うのなら例のエルト君の前に二人で立ってみましょうか? それでアリシアが選ばれたら私の勝ちってことでいいわよね?」

「それって、アリス様が負けたらエルトがとられちゃうじゃないですか!」

嫌な予にアリシアは顔を青くする。そんなアリシアをみてアリス王は笑っているのだが…………。

「どうしたんですか?」

アリス王の真剣な顔にアリシアは気付く。

はじゃぶじゃぶと水をかき分けると剣を手に取り慌ててマントをに著けた。

「誰かが結界を破ってってきたわ」

その言葉にアリシアは驚く。アリス王は王國屈指の実力者で魔法の腕も超一流だからだ。

「な、何者でしょうか?」

なくともベースにいた騎士ではないわね」

彼らの実力は把握している。とてもではないがアリス王の認識阻害結界を打ち破れるとは思わない。

「アリス様。私も援護します」

そういってマントを纏ったアリシアだったが。

「あなたは念のためにベースに戻って人を呼んできて頂戴」

何者かは知らないが結界を破ったということは目的は自分だろう。

はそう見當をつけると追加戦力をした。

こういう時、これ以上アリス王に言っても無駄と悟っているアリシアは……。

「わかりましたっ! すぐに皆を連れてきますからっ!」

アリス王を信じてその場を離するのだった……。

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