《【書籍化】生贄になった俺が、なぜか邪神を滅ぼしてしまった件【コミカライズ】》責任問題になる

――ザッザッザ――

無造作に進んでいるのか侵者の足音が聞こえる。

私は木のに隠れると機會を伺っていた。

(一何の目的で? エリバンが裏切った?)

である私がここにいることを知っているのはエリバン王國の重鎮と同行の騎士だ。

同行の騎士の選定には気を使ったし、何よりここで私に危害を加えたところで責任問題になる。

(そう考えるとエリバンかしら?)

だが、エリバン王國も我が國と敵対する意味がない。そもそもの話、これまで國がなかったのだから、恨みもなければ縁もないのだ。

今回の調査みたいに便宜をはかることはあっても邪魔をする意味はない。

(いずれにせよ、相手の意図がわからないなら先制した方がいいわね)

結界を壊してってきているのだ、とりあえず無力化してから拷問にでもかけて目的を聞き出せばいい。

しばらく息をひそめて待つ。相手の実力が図れないとなると、心臓が脈打つ。

私はどうにか心をコントロールすると音もなく剣を抜いた。

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そして、目標の影が映ると……。

「はっ!」

死角から飛び出すと斬りつけた。

――キイーーーーン――

金屬がぶつかる音が泉にこだまする。

「いきなり何をするっ!」

目の前には1人の青年が立っていた。

年のころは私と同じぐらい。だが、妙に目が惹かれてしまいそうな顔立ちに一瞬私の思考が鈍った。

「それはこちらの臺詞よっ! 大人しく倒されなさいっ!」

完全な不意打ちを防いだことも驚きだが、恐ろしく綺麗で鋭い剣が目にる。

あのタイミングで剣をけたということは最初から帯剣していたということになる。

そうならばやはり目的は私ということになる。

「っと! くそっ! 話ぐらい聞いてくれてもいいだろうがっ!」

男は私の剣を躱しながらも會話を続ける。もしかすると仲間が駆けつけてくるまでの時間稼ぎだろうか?

「やるじゃない。私の剣をここまで躱す人間は久しぶりねっ!」

王國で、私に並びたつ剣士は存在しなかった。

私は初めてまみえる強敵を前に自然と口の端が釣りあがる。

「ったく。クズミゴには臭いをつけられるし、変なに斬りかかられるし……。呪いでも掛けられてるんじゃないか?」

「だ、誰が変なですっ! この無禮者っ!」

小手調べは終わりとばかりに私は男へと飛び込む。そして……。

「【ロイヤルバッシュ】」

剣が輝き力を増幅した橫薙ぎを放った。この威力は金屬の盾ごと騎士の鎧を斬り裂く。普通に避けるしかない攻撃だ。

相手が思っているよりも手練れだったので、手加減が出來なかった。腕の1本ぐらいは諦めてもらう。

そんな、覚悟で放った1撃が……。

――キンッ――

「えっ?」

手に伝わってくるのは最小の衝撃。

本來強い力がぶつかればお互いの腕に衝撃が走るはず。

だが、目の前の男はその衝撃を完全に殺すけ方をしたということになる。

「っ!」

私は警戒すると距離をとった。

今のようなけ方は余程相手との実力差がなければできない。つまりこれをされた時點で相手の方が強いということに。

「はぁ、仕方ない。話を聞く気がないなら無力化させてもらうからな」

ようやく男は真剣になり剣を構えた。その型は使う人間を見たことがない、だが知っている型だった。

「それは古流型剣ね?」

「どう呼ぶかは知らないな。知り合いのエルフが使っていたから教わったんだよ」

エルフは余程の変わり者でなければ人間を好んでいない。

そんなエルフと知り合いというのは個人的に興味を惹かれる。

「それじゃあ……。け損なうなよ?」

真剣な言葉にをゴクリとならす。今まさに攻撃がくる。目の前の男に集中していると……。

「ふっ!」

一瞬にして男との距離がゼロになった。そして…………。

「っ!」

何とか目で追えたのは3撃目まで。私はその攻撃を3度けるとバランスを崩し……。

「きゃあっ!」

4撃目をけると吹き飛ばされ泉へと落ちた。

「ちょっ! わぷっ!」

咄嗟のことで慌てる。攻撃をけた手が痺れていて水を飲んでしまった。

このまま溺れてしまうのか。そんな風に水中から上を見ていると……。

「大丈夫か?」

手をグイっと引っ張られ水中から顔を上げる。

「ケホッケホッ!」

口の中から水を吐き出し、目の前の男に抱き著く。

男は泳いできたようで服が水にぬれてべったりと張り付いていた。

「悪かった。もうし手加減しても良かったんだけど、避けられる気がしたんでな」

「あ、あれで手加減したって……噓でしょう?」

水に濡れた顔が目の前にある。至近距離から男を見ていると視線を外せなくなりドキドキしてきた。

しばらくの間、男と見つめ合う。男の澄んだ瞳に吸い込まれそうになり顔が自然と近づいていくのだが……。

「そ、それより離れてもらっていいか?」

男は私から視線を逸らすと要を口にする。私が首を傾げると……。

「非常に言いづらいんだが、服が水でけている」

その指摘に私は自分のを見る。すると……。

「きゃあああああっ!」

慌てて背を向ける。私の服も濡れてけていたからだ。

「すまない。不可抗力なんだ……」

そう言って謝る男。私は涙目になると男を睨みつけた。

「せ、責任とってもらうからねっ!」

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