《【書籍化】生贄になった俺が、なぜか邪神を滅ぼしてしまった件【コミカライズ】》三人の買い

「うーん、どっちの服にしようかなぁ」

目の前ではセレナさんが2著の服を持って悩んでいる。

私はその様子を観察しているのだが、スカートからびるスラリとした長い足。決して大きいわけではないが、服の上から見てもわかる整った。更には誰もが見惚れる幻想的なしさまで兼ね備えた彼は完全無欠のと呼んでも差し支えがない。

私は現在、そんな彼と買いに來ていたのだが……。

「ねぇ、アリシア。これと同じ付與の服を持ってきてくれないかしら?」

カーテンが開くとアリス様が下著姿で現れた。

「アリス様っ! なんて恰好で出てきてるんですかっ!」

「別にいいじゃない、ここは専用の防の店だし、あなたとは一緒にお風呂にだってってるんだから」

アリス様の言う通り、ここは高級な防を取り扱っている店だ。

見た目はお灑落な服の形をしているのだが【自清浄】【魔法耐】【理耐】などの効果を付與することで従來の鎧と同等の防力を得る事ができる。

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はどうしても力で劣る分敏捷度が必要なので皮鎧や金屬プレートなどの防は中々に著けることはできない。なので軽な防を買いに來たのだ。

問題は、制作過程で付與をするのに時間が掛かるため、高額になってしまうという點なのだが、エルトから渡された準備金のお蔭で買うことができる。

「そう言う問題じゃありません! もっと恥じらいを持ってくださいと言っているんですよ」

「まったく。本當にいんだから。そんなんじゃエルト君をとられちゃうわよ」

「なっ!?」

アリス様の言葉に口をパクパクさせる。

私は何気なくセレナさんの方を見るのだが、彼は特にきにする様子がない。

「余計なお世話ですっ! 私だってエルトと……」

話していてが熱くなる。昨日のことを思い出してしまったからだ。

「どうしたのアリシア? 顔が赤いわよ?」

「な、なんでもありません。【魔法耐】と【自洗浄】ですね、見てきますっ!」

私はアリス様から服をけ取ると替わりを探しに店を移するのだった。

「それで、セレナさん。しお話を聞かせてもらいたいのだけど?」

あれから、それぞれの防を買って店をでた私たちは近くのカフェへとると話を始めた。

セレナさんは悩んでいた服を2著とも買ったし、私もエルトが好みそうな服を選んでみせた。

迷いの森への準備は他にもあるのだが、その前に話をしてみたいと思っていたところアリス様がった形になる。

「いいけど、條件があるわ」

そう言ってセレナさんは私を見る。

「あなた、エルトの馴染みなのよね?」

「は、はいそうです」

は顔を赤くして気まずそうに視線をかすと……。

「私が質問に答える代わりにエルトの昔の話を教えてしいのよ」

その仕草だけでわかった。彼がエルトを好きなのだと。

私は複雑な心を押し殺すと……。

「わかりましたセレナさん。その條件で大丈夫ですよ」

そう答えるのだった。

「それで、何が聞きたいの?」

セレナさんはストローに口をつけると私たちに質問を促す。

「私たちが知っているのはエルト君が転移魔法陣を踏む直前までなの。できればあなたがどうやって出會ったのか、ここにくるまでどんなことをしてきたのか話してもらえない?」

私がもっとも気になっていた部分でもある。

「わかったわ。じゃあ話すわね」

セレナさんとエルトの間にどのようなことがあったのか。私はコップを握りしめると集中して聞くのだった。

「――それでね、風の霊王の攻撃から守ってくれたのよ。あの時のエルト格好良かったなぁ」

うっとりとした様子で語るセレナさん。その瞳はどうみてもする乙で……。

「えっと、ちょっと確認なんだけど、セレナさんとエルト君って人だったり?」

アリス様の突込みにセレナさんはストローで飲みをかき混ぜると。

「ううん、私とエルトはそんなのじゃないわよ」

その一言にほっとでおろすのだが……。

「私が一方的に告白してついてきてるだけだから」

「ええええええええええっ!」

思わず大きな聲がでて立ち上がる。

「ちょ、ちょっとアリシア。目立ってるわよ」

「す、すいませんっ! アリス様」

私はあわてて腰を下ろす。だけど驚くのは無理もない。目の前のエルフは私よりも早くにエルトに好意を伝えていたのだ。

震える手でコップを持つと落ち著くために飲みを口に含む。

「それで、アリシア。あなたもエルトのことが好きなのよね?」

「ムグッ! ゴ、ゴホッゲホッ!」

急な言葉に飲みを吐き出しそうになった。私は何とか堪えるのだが、そのせいでむせてしまった。

「きゅ、急に何を言うんですかっ!」

涙目になりながらも私はセレナさんを睨みつけた。

「出會った時からずっと私のことを気にしていたし、何より部屋にった時の反応を見ればまるわかりだったわ」

確かに、あの時の私の挙は怪しかった。顔は真っ赤だったし、取り繕うことすらできていなかった。

「アリシアこそ。もうエルトと人関係になってるんじゃないの?」

そこでセレナさんの真剣な瞳が私を見る。これまでと違い不安そうな表をしている。彼も突然現れた私をみて不安になっていたようだ。

「いいえ、まだです」

「そっか……」

あからさまにホッとした雰囲気を出すセレナさんに。

「だけど昨日告白はしました」

「えっ! なに、アリシア。いつの間にそんなことになっていたのよ!」

アリス様が橫から覗きこんでくる。私はセレナさんを真っすぐに見ると……。

「そっか……アリシアもエルトのこと好きなんだね」

そうとセレナさんは妙に納得したような笑みを浮かべる。その笑顔を見ると私はなぜか敵意よりも親しみを覚えてしまった。

「セレナさん」

「セレナでいいよ」

私が呼びかけると、セレナは呼び捨てを許可してきた。私は一度咳ばらいをすると、改めて……。

「負けませんからね」

「うん、私も負けないよ」

お互いに手を差し出して握手をするのだった。

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