《【書籍化】生贄になった俺が、なぜか邪神を滅ぼしてしまった件【コミカライズ】》エルメス王國

エリバン王國王都には次から次に馬車がってくる。

そのいずれもが高級な馬車で、表には紋章が描かれている。

王都周辺の街でも同様の現象が発生しているため、そのたびに門の閉鎖が行われていた。

馬車の正はこの世界に散らばっている各國の代表だ。

この度、邪神が討伐されるという前代未聞のニュースが各國の王に伝えられた。

それをし遂げたのがなんの変哲もないただの青年だという。

最初は疑いの念を抱いていた各國の王だが、神殿の真実のオーブによる判定をれた結果だと伝えると納得した。

そして、ここエリバン王國で邪神を討伐した英雄のお披目を行うと告げたところ、それぞれの國から集まってきたのだ。

邪神を討伐した話はまだ伏せられている。今の時點でそれを知るとよからぬ行を起こす団なからず存在しているからだ。

そんなわけで、エリバンの國民はこの大移に首を傾げるのだが、人が通れば街は活化する。

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続々と到著する各國の代表が商人を引き連れ資などを運んでくるため、王都はかつてない程の賑わいをみせていた。

「それにしても英雄殿のお披目パーティーまで後二週間ですか」

エリバンから間に一國をはさんだ場所に領土を持つエルメス王國。その國王は用意された來賓室の窓から城下を見下ろしていた。

彼らは國が近いということもあり、早々にスケジュールの都合をつけるとエリバンへと駆け付けたのだ。

「ええ、今のところ我が國の他にコパック・キアナ・ニナナが到著して外を行っている様子です」

一緒に連れてきた外大臣が狀況を報告する。

今回の件は単なるお披目パーティーだけで済ませるには勿ない。各國の代表がこれほど集まる機會は世界の歴史をみてもそうはない。

この機會に國同士の結びつきを強化しようとするのは為政者として當然だろう。

「そう言えばパーティーのいが幾つか來ていたな」

今のところ到著している國はないので顔合わせ程度になるが、エルメス王國も第三王を連れてきていた。

「參加されるのでしたらエステル様を呼び戻しましょうか?」

「よい、恐らく各國とも娘を連れてきてはいるだろうが參加させる必要はない」

それぞれの國は王家の筋の年頃の娘を連れてきていた。各國の結びつきを強めるには婚姻が一番。

第一王を嫁がせるわけにはいかないが、第二王以下であれば條件付きで考えなくもない。

今回の場合の條件とは……。

「その英雄とやらが城のどこにいるのかわかったのか?」

各國の狙いは邪神を討伐した英雄だ。

前代未聞の功績を得た上、邪神討伐の報奨金も手にれることができる。

力にものをいわせることができないのは當然なので懐策を考えるのはどこも同じだった。

エルメスを含め各國が急いでエリバンに乗り込んできたのは他國よりも先に英雄と接し懐をするため。

「それが……。どうやら王都から離れているらしく、戻ってくるのはパーティーの直前だとか」

「このタイミングで王都にいない? エリバンも考えたな……」

どれだけ警備を厳しくしたところで邪神討伐の英雄の行を制限することはできない。

もしそのような行為が點した場合、英雄を雑に扱ったということでエリバンが各國から批難されることになるからだ。

「今のうちに我が娘と関係を持たせて引きこむつもりだったのだが……」

當てが外れたようだ。

相手は元はただの街人だと報を得ている。

年頃の男に有効なのはと相場が決まっている。だからエルメスで最もしいと評判の第三王をわざわざ連れてきたのだ。

「まあそれならそれで各國のきを警戒する必要はないわけだな」

いないものは仕方ない。たとえアドバンテージが消えたとしても自國の王ならば篭絡できるだろうとエルメスの國王は考えた。

「それにしても英雄殿はどこへ行ったというのだ?」

この大事な時期に城を離れるというのは何を考えているのかわからない。

「さて、英雄殿の行は凡人の私にはわかりかねますな」

當てが外れた各國の人間も同じことを考えていそうだ。

そんなことを外大臣は思っていると。

「王よ、どうかされましたか?」

「ば、馬鹿な……。何故あんなものが?」

滅多に見ない王の驚愕の表に外大臣は不敬かと思ったが背後に近づくと窓の外を見た。

「あっ、あれはいったい!?」

既に王都の住人も気付いているのか、城下では火が著いたような騒ぎが起こっている。

「まったく。次から次へと信じられぬ事態が起こりおる」

エルメス王は冷や汗を掻きながら、遠くの空に浮かんでいる城を見つめるのだった。

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