《【書籍化】生贄になった俺が、なぜか邪神を滅ぼしてしまった件【コミカライズ】》三人の
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パーティーが開かれて一時間ほどが経過した。
セレナは淡い緑のドレスにを包み會場の片隅にいた。
「うううぅ、アリス。あんなにエルトとくっつくなんて」
人だかりができている方を見るとセレナは不満そうに頬を膨らませる。
その視線は人だかりの中心にいるエルトとアリスを捉えていた。
「仕方ないわよ。私たちではエルトをサポートできないし」
水のドレスにを包んだアリシアは右手で髪を搔き上げるとそう言う。
そもそも、今回の提案はアリスからエルトにしたものなのだ。
王族・貴族のパーティーには作法が存在する。
それはエスコートするパートナーとのダンスであったり、挨拶や褒めるポイントなど。
その中には一夜を共にするための隠語などもあったりするので、もしエルトが他のと二人っきりになったときにその言葉を口にしたら、あらぬ既事実を課せられてしまう可能もあった。
アリスはそうならないようにエルトをガードする役目を買って出たのだ。
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「アリシアはそれでいいの? アリスにエルトを取られちゃうよ?」
「うっ……それは……」
元々アリスのことはしいだと思っている。理想的なプロポーションに人を魅了するしい顔立ち。そんなが親しげに接して、例えエルトとて落ちない保証はない。
「で、でも……エルトに頼まれた以上、マリーちゃんからも目を離せないし」
アリシアがテーブルを見ると、皿に積み上げられた食べを一心不に食べているマリーの姿があった。
「ハグハグッ! 味しいのです! 二人とも食べないのです?」
普段とは違い、薄黃のドレスにを包んだマリー。セレナはハンカチを取り出すと、
「マリー。口についてるわよ」
「うにゅ。なのです」
口元の汚れを拭う。これまで一緒に旅をしてきたので、マリーはセレナにされるがままに無防備な様子を見せていた。
そもそも、なぜ彼たちが集まっているかというと、マリーの世話をエルトに頼まれたからだ。
パーティーにはエルトは當然のことながら、アークデーモン討伐に貢獻したセレナ。イルクーツ王國代表のアリスが招待されていた。
アリシアとマリーは特に呼ばれていなかったのだが、王族・貴族が集まるパーティーということもあって豪華な馳走がでると小耳に挾んだのだ。
その結果として、味しいものに目がないマリーは「自分もパーティーに出る」と言いだしたのだ。
マリーは風の霊王だが一見すると獣人にしか見えない。だが、その貌は人間離れしているため周囲から浮いてしまう。
そんな存在をパーティー會場に解き放てば、エルト以上にトラブルを起こしかねない。そんなわけで、お目付け役としてアリシアとセレナに一緒にいるように頼んだのだ。
「まあ、こうなったら三人で楽しむしかないんだけどね」
せっかくのパーティーなのだから、意中の相手にエスコートをしてもらいたいという乙心をアリシアとセレナも持っている。
だが、こうした分の高いものばかりが集うパーティーでは自分たちは格が下なのだ。
エルトに群がるたちを黙らせるのはアリスにしか不可能だった。
「これ、味しいから食べてみるのです」
マリーが両手に料理が刺さったフォークを突き出す。それをアリシアとセレナは苦笑いすると口を寄せて食べる。
「確かに味しいわね」
「うん、こんなの初めて食べるよ」
セレナとアリシアは口元を手で隠すと想を言う。
和気あいあいと楽しむ三人の下に、
「失禮。お嬢様方、々お話しよろしいでしょうか?」
タキシードにを包み、髪をオールバックにした男が三人立っていた。
「えっと、何か?」
こういう時は王族との接し方に多の心得があるアリシアが対応する。
「パーティー會場に咲く可憐な花がこのような場所にいたので聲を掛けた次第です。もし宜しければ、今宵貴方をエスコートする名譽を與えていただけないでしょうか?」
聲を掛けた男を筆頭に三人は笑顔を浮かべる。整った歯並びと白い歯がキラリと輝き、それを遠目に見ていた令嬢が「キャー」と聲を上げた。
分が高いらしく、どこかの國の王族かもしれない。自分の容姿に自信があるようで、笑顔を振りまけばが付いてくるのが當然と考えている様子だ。
優雅な佇まいで三人の返事を待つ男たちにセレナは、
「うーん、私たちは同士で楽しむから結構よ」
「はっ? えっ?」
まさか斷られると考えていなかった男たちは口を開けると間抜けな顔をした。
「ど、どうしてっ! わ、私はサイチイ王國の第三王子なのですよ」
自分の國でならばその威も通用しただろう。
「そ、そちらの獣人の。貴はどうですか? 私とくればもっと良いドレスや裝飾もプレゼントして差し上げます」
他の男たちも食い下がってきた。
「斷るのです。マリーを著飾ってくれたりれてよいのは主人様だけなのですよ」
「えっと、そちらの貴は……?」
「わ、私も結構です。皆さんパーティーを楽しんでくださいね」
セレナに振られ、マリーに袖にされ、アリシアにやんわりと拒絶される。
三人は肩を落としながらその場から立ち去っていく。
こういった場ではしつこく食い下がろうものなら、恥の上塗りをすることになってしまいその後のパーティーに支障がでるのだ。
「なんだったのかしら?」
「さあ? とりあえず邪魔者は去ったので、飯を食べるのですよ」
「悪いことしちゃったかな?」
首を傾げる三人だったが、最初の男たちのアプローチは始まりに過ぎなかった。
何せ、三人ともこのパーティー會場でも特別に優れた容姿をしているなのだ。
萬が一功したら一夜のお供として申し分ない。男たちは順番に聲を掛け始めた。
三人は次から次へとアタックしてくる男たちに困しつつ全部斷った。
それも當然である。意中の相手が既にいて、告白までしているのだから。
この日の撃墜數はこの三人がトップで、振られた男たちは酒を片手に自分たちをめることになるのだった。
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12ハロンのチクショー道【書籍化】
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