《【WEB版】劣等賢者のケモノ魔法革命〜「獣人は魔法が使えない劣等種だ」と宮廷魔師から追放されたけど、弟子とFランク冒険者を満喫してたら、いつの間にか最強の魔法學院ができていた〜:書籍化+コミカライズ》3.賢者様、クビになったわりに元気です。今こそ野を果たすとき!と息まいて忌魔法を完させる

「あたしゃ、もぉ、つかれたよぉおおおおお……!」

自宅に帰った私はベッドにうつぶせになって聲を上げる。

足をバタバタと揺らして、日中の憂さを晴らすのだ。

日ごろはネガティブなことを言わない私でも今日の出來事はこたえた。さすがに。

あんのクソ大臣に取り巻き連中の態度!

それに、あのエルフ

思い出しただけでも腹が立つよ。

なぁにが教授だよ!

ばーか、ばーか!

……とはいえ、この狀況は悲劇でもなかった。

そう、クビになったということは、自由になったということなのだ。

ふくく、ぐーたらしてても怒られないし、これはこれでいいじゃん!

私はもともとあるタイプじゃないし、おうちで寢転んでるのも好きなのだ。

「そうだ! 自由だ! 私は自由なのだぁああ!!」

私は、ぶ。力の限り。

自由、なんて甘な響きの言葉だろうか。

振り返ってみれば、私の人生、14歳までは素晴らしかった。

何の束縛もなかったし、冒険者にあこがれる普通のの子だった。

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自分の力で世界中を旅してみたいなんて夢想していたけれど。

しかし、おばあちゃんの助言に従って冒険者ギルドに登録したのが運の盡き。

私の不自由な人生の始まりである。

その時の様子を私はありありと覚えている。

「……アンジェリカさんは特殊スキルの、賢者と表示が出てますね、獣人みたいですけど」

冒険者ギルドに登録後、スキル鑑定なるものをやったら、あ~ら大変。

私は魔法の才能に秀でた、【賢者】なるスキルを得てしまったのだ。

これはおそらく、おばあちゃんと子供のころから魔法で遊んでいたからだろう。

なんせうちのおばあちゃんは深淵の賢者の稱號を持つ魔法使いだったから。

ちなみに、おばあちゃんは普通の人間で、獣人ではない。

の息子がとある貓人と結婚して生まれたのが、この私なのである。

早い話が、私はハーフ貓人というわけになる。

閑話休題(それはさておき)。

「おっす、あたし勇者。お前、賢者なんだってな! 一緒に西の魔王をボコろうぜ!」

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偶然、その場に居合わせた頭の悪そうな勇者パーティが、私をスカウトしてきたのだ。

私がスキル鑑定をけた7秒後のことである。

「あ、あのぉ、勇者様、こちらは獣人の方ですから、いくら賢者のスキルを持っていても魔法は使えないと思いますが……」

冒険者のギルドの人は私が獣人であることを怪訝な顔で勇者に伝える。

そりゃあそうだ、常識で考えたら、獣人は魔法が使えないことになっている。

獣人に【賢者】なんてスキル、豚に真珠ってものだろう。

しかし、彼は別に何とも思ってはいないようで、

「お前、魔法使えるんだろ? あたしにはわかるぜ!」

などと私の目を見て聞いてくる。

私はとりあえず、「使えるけど」と頷く。本當のことだし。

「ほらな! お前が魔法使えるなら、獣人とかどうでもいいことだ! あたしは田舎者だし、難しい話はわかんねぇからな!」

は脳筋丸出しの返事をするのだった。

なるほど、田舎者にとってはどうでもいいことなのか……。

そんなじに一瞬でも油斷したのも悪かった。

気づいたときには、なし崩し的に、彼のパーティ【破壊王決定戦(ザ・デストロイ)】に加させられていたのだった。

思い返せばパーティー名もめちゃくちゃであるが、やってることはもっとめちゃくちゃだった。

なんせトレーニングなしで、四天王の一角に攻め込もうとかするんだもの。

私は実戦を通じて鍛えられ、私の冒険者ランクはFからSへとほぼ垂直上昇。

気づいた時には西の魔王を封印していた。

劣等種族の賢者だから、劣等賢者なんていうありがたくない二つ名さえ頂いて。

ここまではむしろ「いいじじゃない?」「自慢したいの?」って思うだろう。

しかし、魔王を倒してからの日々はご存知の通り。

ブラックな職場でくすぶり続け、孤獨に休みなく働く貓人となってしまったのだ。

フリーになった今、私は思う。

今度は絶対に間違えないぞ、と。

そう、私は冒険者としての出発地點からして間違えたのだ。

賢者なんていうスキルはいらなかった。

勇者パーティにって、魔王討伐なんてしたいわけでもなかった。

Sランク冒険者なんて稱號がしいわけでもなかった。

私はただ「普通の冒険者生活」がしかったのだ。

本當は薬草集めにひぃひぃ言ってみたかった。

本當はスライムとかゴブリンに苦戦してみたかった!

本當は新人冒険者をいじめるスキンヘッドの先輩冒険者と絡んだりしたかった!!

本當はダンジョンの奧に囮として放置されてみたかったぁあああああ!!!

心の奧底から魂のびが溢れてくる。

じゃあ、もう一度、冒険者としてやり直せばいいじゃないかと思うだろう。

辺境にでも行って、ゼロからやり直せばいいって。

しかし、一筋縄ではいかない。

他人のふりをして冒険者ギルドに登録し直そうにも、大きな壁があるのだ。

それが冒険者ギルドに置かれた特殊な水晶玉の存在だ。

そいつに手をかざすと個人個人の魔力の波紋、別名、【魔力紋】を判別しやがるのだ。

魔力紋は一人一人が固有のものを持つ。

他人のふりをしててもすぐに見破られてしまう。

魔力で指紋を偽造するのは簡単だけど、魔力紋はそうはいかない。

つまり、今の私が再登録したいと願っても、水晶玉には【Sランク冒険者:アンジェリカ】って出てしまうのだ。

Sランク冒険者なんてほとんどいないから、ド辺境にいようが、「大変です、ドラゴンが出ちゃいました!」てな合に厄介ごとが舞い込んでしまう。

私ってば、やれって言われると頑張っちゃうタイプだし、辺境でも過労でひぃひぃ言わされることになるのは目に見えている。

そんなのは嫌だ。

私はもっと地道に楽しく暮らしたいのだ。

たまには晝寢もしたいし、夜更かしだってしたい。

自由で気ままな冒険者ライフを楽しみたい!

じゃあ、諦めるかって?

この西の魔王を封じた賢者様を舐めるんじゃないよ。

今度こそお気楽ぐーたら冒険者生活を送りたいっ!

その執念だけはあたしゃ誰にも負けないよ。

そこで私は作り上げることにした。

忌の魔法、経歴詐稱の大魔法を!

その魔法があれば、冒険者ギルドの魔力紋測定を回避することができる。

「徹夜したって別に怒られないもんね! にゃははは!」

私は無職ならではの異常な萬能と有り余る時間を利用して、忌の魔法の完を急いだのだった。

私の家はランナー王國の外れにあるし、訪れる客の予定もない。

私は盛大に獨り言を言いながら研究に勵むのだった。

「ふはははは、この世界の理(ことわり)よ! 我の前にひれ伏すがいい!」

數日後、私は魔王のような言葉を吐きながら、とびきりの魔法を完させた。

その名も【貓の仮説(ビヨンドザルール)】。

貓がこの世界の理を無視して、のようにの形を変えて花瓶に納まったり、階段をにょろにょろと流れ落ちたりするさまをヒントに開発された魔法だ。

これが公になれば冒険者ギルドは上へ下への大騒になるだろう。

仕事を首になった暇人ならではの奇跡的な集中力があればこそ完できた、まさに忌の魔法!

私の予想では魔力紋が書き換わる際にちょっとしたショックが走ると思われる。

服がはじけ飛ぶのは嫌なので、下著姿になっておこう。

まぁ、傍から見れば生贄の人みたいだけど、私しかいないし別にいいもんね。

よぉし、いざ、忌の魔法、大発

これで私も人生やり直せるっ! うははは!

……となる直前に、外から何やら聞こえてきた。

「わぅううっ、助けて下さぁい! 魔法が、魔法が出ないんですぅうう!」

助けを呼ぶの子の聲が。

「面白かった」

「続きが気になる!」

「うちの貓は基本的にだわ……」

と思ったら、

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