《【WEB版】劣等賢者のケモノ魔法革命〜「獣人は魔法が使えない劣等種だ」と宮廷魔師から追放されたけど、弟子とFランク冒険者を満喫してたら、いつの間にか最強の魔法學院ができていた〜:書籍化+コミカライズ》11.賢者様、無茶苦茶な魔法で敵を撃破する。いいんですかそれで? いいんです!

「ライカ、しだけレクチャーしてあげる」

「お、お師匠様!?」

私はレッドヘッドキラーベアの前に歩み出る。

巨大な軀に鋭い爪、そして、人間を食べとしか思っていない殘

ランクだとC+とか、Bランクとかになるのだろうか。

悪いけど、やっつけさせてもらうよっ!

ぐごぁああああ、がしゅしゅしゅううう!

は低く唸ると、変な呼吸音を立てながら、こちらに猛突進してくる。

その勢いに、の子は「ひぃっ」と聲をあげる。

「ライカ、心の底からイメージするんだよ。こんなふうにね! 喰らえ、落雷の激高(サンダーファイヤー)!!」

私が渾の魔法を繰り出すと、ぼぼんっという音とともに巨大な炎の貓が発生!

それはすごい勢いで敵を包み込む!

どごがぁあああああん!!

猛烈な音とともに、魔は火だるまになってしまうのだった。

斷末魔をあげる暇さえなく、魔は燃えカスに変化する。

頭部分は頑丈なのか、燃え切らずにコロコロ転がっていった。

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「す、すごいですぅう、お師匠先輩様!」

私が敵を倒すと、ライカはぴょんぴょん飛んで嬉しそうにしている。

「ふふふ、これぞ貓魔法だよ」

この魔法は実家の貓が雷のときに、なぜか私にキレてきた様子をヒントに作られたものだ。

その時、実家の貓はびびびびっと全を逆立てて、まるで火の玉みたいになったのである。

八つ當たりされたことは非常に理不盡だけど、その火の玉はしっかり覚えている。

このように者の中に強烈なイメージがあることが大事なのだ。

「なぁるほどぉ! イメージが大事なんですね! よくわかりました!」

ライカは首を百回ほどこくりこくりとさせる。

いかにも理解してなさそうな、相づちである。

今ので何かをつかんでくれればいいけど。

「それにしても、お師匠様の魔法の時には貓ちゃんが現れるんですね! 炎の貓ちゃん、すごかったです!」

「ふふ、いい著眼點だね! そう、私の魔法は基本的に貓の霊の力を使うからね!」

ライカの言うとおり、私の貓魔法には特徴がある。

魔法を発した際に、いろんな種類の貓が現れるのである。

雷の貓、思い出の貓、紅の貓、風の谷の貓、などなど、ありとあらゆる貓や貓霊が現れるのだ。

おそらくはライカが犬魔法を使う時にも同じようなことが起こるんじゃないかな。

そんなことを言うと、ライカは「はへぇええ、楽しみですぅうう! 柴犬様が現れるんですかねぇ」と憧れに満ちた表

まぁ、使うことができるようになれば、なんだけどね。

「あ、ありがとうございましたぁああ! あなたは命の恩人です!」

一部始終を見守ったリス獣人のの子は飛び切りの笑顔で抱きついてくる。

年はライカと同じぐらいだろうか、なかなかかわいらしい娘さんである。

いやぁ、無事で何より。

リス獣人特有の大きな尾が非常に可らしい。

「そ、そ、それにしても、驚きました! 獣人なのに魔法を使えるなんて! まるで、あの、その新緑の賢者様みたいな方ですね! 髪のはちょっと違うみたいですけど!」

この子は新緑の賢者アンジェリカの噂を知っているらしい。

ふぅむ、大陸の東の方では私のことはあんまり有名じゃないって思ってたんだけどなぁ。

しかし、これはちょっとまずい。

だって、彼には私が魔法を使っているところを見られているのである。

私の素がばれてしまうと、Fランク生活に支障が出てしまう。

「ちょっとごめんね。午後3時のまどろみ(ドリームオンドリーム)!」

「はうぅうう」

というわけで、私は彼に催眠魔法をかけることにした。

実家の貓はお晝寢中は完全に夢心地になり、人格すら変わる。

普段はツンとすましていても、お晝寢中はへそ天になってお腹を無條件にらせてくれたりするのだ。

これは相手を夢心地にして、記憶を失わせてしまう恐るべし魔法なのである。

魔法を発させると、彼の頭の周りに、へそ天の貓がふよふよと浮かぶ。

「君は何も見ていない、ここでは何も起きなかった。いいね?」

「ふぁい、私は何もみてませぇんし、何も起きてませぇん」

「よぉし、偉い。それじゃ、おうちに帰りなさい」

魔法の発を確認すると、私は彼に魔除けを持たせて街へと歩いて帰らせることにした。

これで彼はこの一部始終を忘れてしまうはずだ。

そして、私は今さらになって思うのだ。

ライカが弟子りに來た時もこの魔法を使って、帰らせればよかったって。

まぁ、今となっては後の祭りだけどさぁ。

「お師匠様、私も魔法の勉強がんばりますっ! 私、すごい人の弟子になったんですねっ!」

王都までに向かう道中、ライカは尾をぶんぶん振って大盛りあがり。

ふぅむ、弟子ってことは彼にも魔法を教えなきゃいけないんだよなぁ。

首尾よく冒険者になったなら、彼の指導もちゃんとしてあげよう。

人助けも終わったことだし、王都の冒険者ギルドに向かうよっ!

【賢者様の使った貓魔法】

落雷の激高(サンダーファイヤー):落雷時に実家の貓が烈火の如く家人に怒り出した様子をヒントに開発された魔法。を逆立てた貓のような巨大な火の玉を発現させ、敵を飲み込む。相手は為すもなく燃えたり、酸欠になって絶命したりする。賢者様の四十八の殺人魔法の一つ。

午後3時のまどろみ(ドリームオンドリーム):相手を夢心地にして記憶を失わせてしまう魔法。貓は晝と夜とで人格が変わると言われるが、特に午後3時という人間でも眠くなる時間帯の実家の貓は別の世界にトリップし、記憶すら共有しているか定かではない。そんなまどろみ気分の実家の貓の様子をヒントに開発された。発時には顔の周りに、へそ天の貓が飛ぶ。

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「続きが気になる!」

「うちのは雷でも平然と寢てるんですけど……」

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