《【WEB版】劣等賢者のケモノ魔法革命〜「獣人は魔法が使えない劣等種だ」と宮廷魔師から追放されたけど、弟子とFランク冒険者を満喫してたら、いつの間にか最強の魔法學院ができていた〜:書籍化+コミカライズ》19.賢者様、王都の武屋さんに到著し、ライカと一緒にテンションMAX。名品どころか伝説の武を発見する

「いらっしゃいませー、こんにちはぁー」

ワイへ王都の武・防屋さんにさっそくお邪魔した私達である。

時刻は朝の十二時前ぐらい。

ちょうどお晝時であり、お客さんもほとんどいない頃合いだった。

ここで私達にふさわしい武を選ぼうっていう魂膽なのである。

「うわぁああ、品揃えがすごいですね! お師匠先輩! 見てくださいよ、これ、詠唱時間短ですって! これは炎魔法強化ですよ! ひゃっほぉおお!」

ライカはずらりと並んだ魔法の杖の前で嬉しそうにしている。

これだから駆け出し冒険者しょうがないなぁ、などと思ったりもする。

だが、それはしょうがない。

優れた武や防を前にするだけで、自分の可能が広がって見えるからだ。

剣を持てば、剣士になった自分が見える!

杖を持てば、魔法使いになった自分が見える!

覆面して斧を持てば、殺人鬼になった自分が見え……かねないから止めとこう。

とにもかくにも、私たち冒険者にとって、ここは心躍る場所なのだ。

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「見てください! これこれ! 魔導士の服ですってぇええ!」

ライカはテンションが上がり過ぎてバカになっているのか、異様に出した服を著て登場。

ばばーんと開いた元のといい、すっごいド迫力である。

下半には大きくスリットがっていて、かなりチラチラしている。

ぐぅむ、これを使って敵の集中力を削ぐのだろうか。

正直、私には裝備できない……。

いや、別に著られなくはないと思うけどね?

そういうふうに敵を倒したって面白くないって言うか?

やっぱり、正々堂々と戦いたいものじゃない? ねぇ?

「これもすごいです! 魔導士のビキニ!」

私の思考が暗黒(めんどくさい)方面に行こうとしている一方で、ライカはさらに出の大きな服裝に著替えて現れる。

「うわ、それ、ほとんど水著じゃん!!」

著る人を選ぶ裝備に思わずんでしまう私である。

いったいぜんたい、どうしてこんなのが魔導士の裝備なのか。

これを開発した防職人には小一時間説教をかませる自信がある。

まぁ、確かに一部の魔導士はほとんど出狂みたいな服を著ている連中もいる。

他人様の服裝にとやかく言うつもりはないけど、寒くないのか不思議だ。

の子はを冷やしちゃいけないんだぞ!

おばあちゃん譲りにそんなことを思ってしまう私なのである。

別に自分が裝備できないから悔しいとかじゃないからね?

「ちょっと恥ずかしいですけど、面白いですねっ! このまま水遊びできますよ!」

未知の防を裝備して、ライカはとっても嬉しそうである。

ぐぅむ、普段はローブ姿でのラインは分からないけど、この子、いだらすっごいつきである。

いっそのことビキニアーマーを著て剣士でもやればいいのに……。

「ひへへ~、面白いですねっ!」

ライカは再びローブ姿に戻って、店をぴょんぴょん飛び回る。

その子供っぷりを私は微笑ましく眺めるのだった。

とはいえ。

何を隠そう、私だってテンションが上がっているのは確かだ。

これまで武をお店で買う機會などほとんどなかったのだから。

前は王宮からとんでもない杖や防を勝手に支給されていたからね。

正直、裝備のお値段の相場すらよくわかっていない。

「壯観だねぇ……」

その意味で、私の目の前に広がる、この景は素晴らしいったらありゃしない。

この、『駆け出し冒険者コーナー』という看板のあるエリアには、震えるほどの武や防が置いてあるのだ。

雑多にられた『お買い得』『今なら半額』のラベルも心憎い。

その安っぽさに私の心が躍るわけである。

こん棒を三つ買ったら一本タダとか、そういうやる気満々なセールもいいよね。

ただ疑問なのはこん棒なんて、三本どころか四本もいらないってことである。

普通の人は運ぶだけでも大変だろうし。

「んむ!? ライカ、これ見てよっ! すごいものがあるよっ!」

そして、私が手にしたのは珠玉の逸品!

「……ぼ、棒ですか?」

ライカはきょとんとした顔で小首をかしげる。

「ふふふ、これはただの棒じゃないよ……ひのきの棒さ!」

私はばばぁんっとその何の変哲もない棒を見せつける。

ひのきの棒、それはひのきの枝をちょっと加工した程度のただの棒きれである。

何の加護もついてないし、何の特もないし、そもそも頑丈さに欠けている。

スライムみたいなのならともかく、何度か敵をぶっ叩いたら折れるに違いない。

でも、このチープさが良いのである!

駆け出し冒険者の命知らずなじをうまく表現してくれているというか。

眺めているだけでニヤニヤが止まらない。

「お師匠様、棒なら私も好きなんですっ! この短い棒はいかがですか? 投げてくれたらとってきますけどっ! はっはっはっ」

ライカは足元にあった短めの棒を手に取り、冗談とも本気ともわからんことを言う。

しっぽをぱたぱた振りながら、ちょっと目をキラキラさせて。

ええい、誰が弟子を使って、取ってこいゲームをするものか。

そもそも、あんたは犬じゃないでしょうが!

「えぇええ、殘念ですぅうう。あっ、このフリスビーみたいなのかわいい! これにしましょうよ! さっそく原っぱにいきましょうよっ!」

ライカは円盤型のアイテムに興味を示す。

しかし、それは投擲タイプの武で、正式名稱は「さつじん円盤」というえぐい名前。

側面に刃(やいば)がついてるやばい奴である。

こんなんで遊んだら、口が死ぬだろうがし、ここには遊ぶためのものを買いに來たんじゃないし。

「ライカ、ちゃんと自分にぴったりなのを選びなさい! ほら、このお寶の山を見てごらんよ!」

「えぇえ、そっちガラクタ置き場じゃないですかぁ」

「ガラクタっていうな! 最終処分品コーナー(たからものおきば)って言いなさい!」

育ちがいいのはわかるけど、ライカは庶民の暮らしに無知であり、大概、失禮な奴なのである。

自分の目の前にある寶の価値に気づかないらしい。

と一緒にいるとどうしてもペースが狂ってしまう。

そんなわけで、私はちょっと離れた場所でじっくりと品することにした。

「こ、これは……!」

そして、私は直してしまう。

激安品の棚で、とんでもないものが目に飛び込んできたのだ。

數々の名品と呼ばれる武を見てきた私のハートを、そいつはいとも簡単に抜くのだった。

「面白かった」

「続きが気になる」

「ライカ、ほとんど犬じゃね……?」

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