《【WEB版】劣等賢者のケモノ魔法革命〜「獣人は魔法が使えない劣等種だ」と宮廷魔師から追放されたけど、弟子とFランク冒険者を満喫してたら、いつの間にか最強の魔法學院ができていた〜:書籍化+コミカライズ》24.賢者様、ライカの『裂魔法(魔法じゃない)』を喰らって絶句する。しかし、魔法教育の手がかりをつかんだようです

「ライカ、イメージするんだ。君の側にある野の本能を思い出すんだよ!」

今日も午前中はライカの魔法の特訓である。

私はこの間購したぬのの服を著て、訓練に臨む。

一つ分かったことがあるのは、この服、すっごくきやすいってことだ。

當たり前って言えば當たり前だけど、布ってすごい。

「思い出せって言われても無理ですよぉ。私、そんなに野児みたいな育て方をされてませんものぉ。ペットもいませんでしたしぃ……」

ライカはいまいちコツを摑めないらしい。

きゅううんと泣く様にはちょっとだけ哀れになる。

ライカは剣聖さんちの家系に生まれており、正真正銘のお嬢様なんだよなぁ。

見かけはほわぁああっとしているけど、いいお家の出なのだ。

の本能なんていう表現がダメなんだろうか。

ふぅむ、それなら何ていえばいいのか。

野良犬の本

孤狼の

どちらにせよ、ちょっと失禮な気がする。

「そんなことよりお師匠様! いっきますよぉお、炎の矢じりよ敵を貫け! ファイアーアロー! ……あれ? おかしいですね」

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ライカは私のアドバイスを完全に無視して普段通りの詠唱を開始し、失敗する。

ふぅむ、魔法學院で學んだことがあまりにも強く影響しているようだ。

「ふぁいいいやああぁあああろおぉおおおおおわぁおおおんっ!」

しまいにはほとんどぶみたいになっているが結果は同じ。

っていうか、大聲ならどうにかなるみたいなもんじゃないぞ、魔法っていうのは。

「あいたっ!?」

しかも、れすぎた気合でのバランスを崩して転んでいるし。

膝のあたりにり傷を作っちゃったらしい。

「ありゃりゃ、痛そうだね。回復魔法かけたげよっか? それとも回復薬がいい?」

ライカの膝にはがちょっと滲んでいた。

地味に痛いんだよね、こういうの。

「ありがとうございます! でも、こういうのすぐ治っちゃうんです! ほら!」

ライカが笑顔で傷口を指さすと、もうすでに傷口は完全に消えていた。

が止まるどころじゃない。

傷がまるごと消えていたのだ。

「な、なんなんだこりゃ。ライカって、未知の生かなにかなの?」

夢を見ているような気分である。

まるでトロールとか、そういう化けみたい。

「えへへっ、そんなに褒めないでくださいよっつ! お師匠様っ!」

未知の生っていう表現を素直に褒め言葉としてけ取とるライカ。

よし、素直なことはいいことだぞ。

ライカは極端な例とはいえ、獣人は普通人とはのつくりが違うのも事実なのである。

これは普通人とは魔力の働き方が違うからではないかと私は予想している。

獣人に魔力がないわけではない。

ただその循環の仕方が異なっているというわけ。

だから、何かきっかけさえあれば魔法が使えるようになるはずなのだ。

きっかけ、きっかけねぇ……。

「そっか、作魔法ならライカに向いてるかもしれない!」

私の頭に浮かんできたのは、これまでのような外部に発する魔法ではなくて、自分のに直接干渉するための魔法だ。

いわゆる、バフ魔法って呼ばれる類いの魔法である。

私の場合だと、午前1時の(ミッドナイト)運會(エンジェル)なんかがこれにあたる。

「えぇ~、私、もっと派手なのが好きなんですけどぉ。ウインドブラストとかぁ、ギガフレアとかぁ」

とはいえ、ライカは気に食わない顔。

魔法使いと言えば、風ばびゅんや炎どかんの攻撃魔法ってイメージがあるのは分かる。

だけど、強化の魔法の方が本當はよっぽど使い勝手がいいのだ。

この間の盜賊の時もそうだけど、屋炎魔法なんて使えないからね、普通の人は。

「ライカ、何でも言うこと聞くんでしょ。これができたら、目玉焼きを一つ増やしてあげるから」

「んぅうううう! 頑張ります!」

私の説得が功を奏し、ライカはやっとやる気を見せる。

この子は基本的に食べで釣るに限る。

「よぉし、そんじゃまずは自分の側にある魔力をイメージしよう。の真ん中がぽかぽか熱くなるイメージで」

「魔力? 魔力をイメージすればいいんですね?」

そんなわけで五歳児に魔法を教えるのと同じところからのスタートだ。

一番大事なのは魔力をじること。

それさえできれば、のあちこちに集中させることができるのだから。

「うぎぐぅるぅううううう」

ライカは拳をぎゅうっと握って、唸り聲をあげる。

目はほとんど白目をむいており、やばい病気にでもかかったのかと思ってしまうほどだ。

しまいには上半が膨張して、あわわわ……

「あいだっ!?」

なんということでしょう。

ばつんっなどと音を立てて、彼の服の元のボタンが私の額に直撃するではありませんか。

ボタンがおの圧力に勝てなかったのだ。

くっそぉ、なんて暴力だよ、的にも神的にも響いたよ。こんちくしょう。

ボタンが飛ぶなんて都市伝説だと思ったのにぃ。

「お師匠様、今のっ、今のって魔法ですよねっ!? 裂魔法ボタンバースト!」

ライカは何を勘違いしたのか、やったやったと大喜び。

違う、斷じて違う。

を膨張させて服を弾けさせる魔法なんて聞いたことない。

そんなんできるんだったら、私がやってるに決まってるじゃないの!

そりゃもう常時発させたいぐらいだよ。

「えぇえええ、ほとんど魔法だったと思うんですけどぉおお」

ライカは私に抗議してくるけど、斷じて認められない。

うぅうう、魔法を教えるのがこんなにも難しいとは。

まずは魔力をじさせるところからだなぁ。

何かきっかけがあればできると思うんだけど。

そんなところで、私はとりあえず朝の修行を終えるのだった。

さぁ、お晝からは楽しいFランク生活を始めるよっ!

「面白かった」

「続きが気になるっ」

「ボタンバースト……、裂魔法やん」

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