《【書籍化】男不信の元令嬢は、好殿下を助けることにした。(本編完結・番外編更新中)》26.もう一つの祝いごと
「もちろんオリバーとの婚約を継続するわよね?」
王妃の優しげだが高圧的な言いに、周囲を取り囲んでいた貴族達がざわめいた。
あれは意思確認というより命令じゃないか、と、呟く者もいる。
そんな中、顔を伏せたまま、何も言わないクレア。
「さあ、どうなの? 答えて。継続するんでしょう?」
イライラした王妃が、クレアに婚約の継続を迫った、――その時。
パパパパーン
國王の場を知らせるラッパの音が響き渡った。
「國王陛下のご場!」
王妃は、軽く眉間に皺を寄せると、クレアに「分かっているわね」と囁いた。
「いいこと。婚約の継続は絶対。あなたからオリバーとの婚約を継続すると言いなさい」
頭を下げたままのクレアを鋭く一瞥し、立ち去る王妃。
クレアはゆっくりと顔を上げると、ふうっと息を吐いた。
(いつもこんなじだったわ。こうやって王妃様に命令されると、どんな理不盡な要求にも従ってしまう)
父親が心配そうにクレアの顔を覗き込んだ。
「大丈夫か、クレア」
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大丈夫ですわ、と、答えながら、クレアは気を引き締めた。
さあ、ここからが本番だ。
――その一方。
人垣から離れた壁際で。
オリバーが、王妃に嚙みついていた。
「母上! なんで、あのと婚約を継続することになっているのですか? 斷ったはずです!」
王妃は溜息をつくと、小聲で言った。
「あなたもこの一年で分かったでしょ。正妃はあの子以外ありえない」
ぐっと詰まるオリバー。
彼もこの一年で思い知っていた。
クレアがいかに有能で、自分がどのくらいクレアに頼っていたのかを。
「だからといって、婚約の継続は……っ!」
顔を歪めて言いつのるオリバーに、王妃が優しく言った。
「正妃なんて名前だけよ。國王になりたいならの一人くらい上手く使いなさい」
「しかし、キャロルは……」
キャロルの名前を出して渋るオリバーを、ふん、と、馬鹿にしたように鼻で笑う王妃。
オリバーの橫で、誰かを探すようにキョロキョロしている紫のドレスを著たキャロルに、低い聲で言った。
「あなただって、自分程度じゃ王妃が務まらないと、よく分かったでしょう」
キャロルはキョロキョロするのを止めると、悲しそうな顔を作って頷いた。
「はい。よく分かりました。私も正妃はクレアさんが良いと思います」
「キャ、キャロル!」
揺するオリバーに、キャロルは申し訳なさそうな顔をすると、ぺこりと頭を下げた。
「私ごときにはオリバー様の正妃は務まりません。ごめんなさい」
あっさりとオリバーの正妃の座を捨てるキャロルの言葉に、ショックをけるオリバー。
王妃が、嘲るような目でキャロルを見た。
「じゃあ、いいわね。正妃はクレア。――で? キャロル、あなたは側妃になりたいの?」
「……いえ。こうなった以上、オリバー様の傍にはいられません」
「そう。じゃあ、この舞踏會が終わったら、オリバーには近づかないということでいいわね」
「はい」
素直に頷くキャロルに、驚きとショックで目を見張る王子。
そんな彼に視線も向けず、また誰かをキョロキョロと探すように目をかすキャロル。
混したオリバーが、彼の肩を摑んで、「どういうことだ」と、問い詰めようとした、――その時。
パパパパーン
再びラッパの音が鳴り響き、し顔が悪い國王が會場にってきた。
一緒にってくるのは、ジルベルト第一王子。
「ジルベルト様」と、呟いて目を輝かせるキャロルと、それを見て、信じられない、という顔をするオリバー。
國王は、鳴り響く拍手を片手で制すると、ゆっくりと口を開いた。
「遅れてすまない。ジルベルトとし話し込んでいた」
國王の後ろで、黙って頭を下げるジルベルト。
「提案されたのだ。この祝いの席に、一つ祝いごとを追加してはどうか、とな」
思い當たることがなく、首を傾げる貴族達。
國王に促され、一歩前に出るジルベルト。
軽く息を吐くと、良く通る聲で話し始めた。
「七年前の事故で、意識不明の重となっていた、私の従妹であるコンスタンス・スタリア侯爵令嬢が、先日意識を取り戻しました。
陛下には、この場を借りて、彼の回復を祝ってはどうかと提案させて頂きました」
ざわっ、と、會場が未だかつてなくざわめいた。
【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい溫泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の溫泉帝國を築きます~【書籍化+コミカライズ】
◎アーススターノベル大賞にてコミカライズ大賞と審査員賞を頂きました。6月1日に書籍が発売されました!第二巻も出ます! 「魔力ゼロのお前など辺境に追放だ!」 魔法の使えない公爵家令嬢のユオは家族から『能なし』と疎まれていた。 ある日、彼女は家族から魔物がばっこする辺境の領主として追放される。 到著した貧しい村で彼女が見つけたのは不思議な水のあふれる沼だった。 彼女は持ち前の加熱スキル、<<ヒーター>>を使って沼を溫泉へと変貌させる。 溫泉の奇跡のパワーに気づいた彼女は溫泉リゾートの開発を決意。 すると、世界中から様々な人材が集まってくるのだった。 しかも、彼女のスキルは徐々に成長し、災厄クラスのものだったことが判明していく。 村人や仲間たちは「魔女様、ばんざい!」と崇めるが、主人公は村人の『勘違い』に戸惑いを隠せない。 主人公の行動によって、いつの間にか追い込まれ沒落していく実家、ラインハルト公爵家。 主人公は貧しい領地を世界で一番豊かな獨立國家に変えるために奮闘する。 全ては溫泉の良さを世界に広めるため! ビバ、溫泉! 自分の能力に無自覚な主人公最強のスローライフ領地経営+バトルものです。 戀愛要素なし、ギャグタッチで気軽に読めるようにしています。 ※R15は念のためとなっております。 誤字脫字報告、ありがとうございます! 感想は返信できておりませんが、とても勵みにしています。感謝です。 現在は月曜日・水曜日・土曜日に更新しています! ※書籍化に合わせてタイトルを変更しました。舊タイトル:灼熱の魔女はお熱いのがお好き?魔力ゼロの無能だと追放された公爵令嬢、災厄級の溫めスキルで最強の溫泉領地を経営する~戻ってこいと言われても絶対に嫌です。あれ、気づいたら実家が沒落してた~
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