《ハッピーエンド以外は認めないっ!! ~死に戻り姫と最強王子は極甘溺ルートをご所です~》3
自分が通うことになるとは思っていなかったので、どんな試験なのかも分からない。
不安になっていると、カーネリアンが勇気づけるように言ってくれた。
「君なら大丈夫だよ。學試験にはまだ半年あるし、良ければ一緒に勉強しよう? 手紙を飛ばしてくれてもいいし、転移魔法だってあるんだ。一週間に一度くらいなら、お互いの勉強時間を合わせることも可能だと思うし……ね、どうかな?」
「私は嬉しいけど……それじゃあ、カーネリアンの負擔にならない?」
たとえ勉強でも一緒にいられる時間が増えるのは嬉しいが、彼にばかり負擔を掛けるやり方はよくないと思うのだ。
だがカーネリアンは首を橫に振って否定した。
「君と共に過ごせることは私の喜びだ。負擔になんて思うはずがない」
「カーネリアン……」
「好きだよ、フローライト。君と共に學園生活を送れるのは私のみでもあるんだ。だから協力させて」
じっと目を覗き込まれる。しい緑と青に吸い込まれてしまいそうだ。
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カーネリアンが甘い、脳髄を揺らすような聲で言う。
「ね、いいでしょう?」
「……ええ」
釣られるように頷いてしまった。だって、好きな人がここまで言ってくれて、それでも斷れるほど私は心が強くない。
カーネリアンは嬉しそうに笑うと、當たり前のように私に口づけてきた。
を離し、至近距離で笑う。
「ふふっ、約束のキスだよ」
「……ええ、約束、ね」
彼の言葉が嬉しい。
ニコニコしていると、彼はもう一度顔を近づけてくる。
今度は舌を絡める濃厚なキス。
最近、することの増えた大人なキスは、されると気持ち良くてぼうっとなってしまう。
昔の……というか、死に別れる前のキス魔なカーネリアンも濃厚な口づけをよく好んでいた。
以前のことを懐かしく思い出しながら彼に応えていると、顔を離したカーネリアンが熱い息を零した。
「ねえ、実は結構我慢しているって言ったらどうする?」
「えっ」
――我慢?
思わず目を瞬かせると、カーネリアンが気たっぷりに私を見つめてきた。
「私たちももう十六歳だ。しかも君は婚約者で、私たちは婚約を履行する気しかないだろう?」
「え、ええ、そうね」
「だからその……そろそろ構わないんじゃないかと思って。もちろん君が嫌ならしないけど」
「……」
を重ねたいと言われているのはさすがに分かったが、咄嗟に返事ができなかった。
嫌とかではなく驚いただけなのだけれど、何を誤解したのかカーネリアンが言い訳するように言った。
「本當に、無理やりとか、そういうつもりはないから。でも、それだけ私が君に対して真剣で、自分のものにしてしまいたいくらいに好きだってことを分かってほしいなとは思う。――フローライト。私はね、本當に君のことが好きなんだよ。好きで好きで、気が狂ってしまいそうなくらい。君のいない人生なんて考えられないし、君以外のなんて興味もない。本當に、君のことが好きなんだ」
「カーネリアン。それは私も同じよ」
カーネリアンを生きながらえさせたい一心で、今だって足掻いているのだ。
彼を失うなど考えられない。
だからそんな彼が私をしいというのなら、いくらでも貰ってくれればいいとは思うけど――。
「とりあえず、試に合格するまで待ってくれる?」
今はまだその時ではない。
先ほど決まったセレスタイト學園への學。せめてこれを確固たるものにしてからでないと駄目だと思う。
私の言葉にカーネリアンも納得したように頷いた。
「確かに。まずはフローライトと一緒に學校に通えるようになることが先決だよね」
「ええ。その……それからのことは、合格してから考えましょう? その、私も々準備とか覚悟とかしないとだし」
二回目だろうが、張するものは張する。
記憶を思い出してから六年近く経っているわけだし、久しぶりすぎて初めてと変わらないと思うのだ。
顔を赤くして告げると、カーネリアンも釣られるように赤くなった。
何故か焦りながら言う。
「えっ……う、ウン……。そ、そうだね。わ、私もせっかくなら思い出に殘るようにしたいし……うん、また、合格してから改めて話し合おうか」
「……」
コクリと首を縦に振る。
そろそろと顔を上げると、私と同じように真っ赤になった彼と目が合った。
ふたり、ほぼ同時に笑ってしまう。
「ふふ……」
「ふふふっ」
「なんか、恥ずかしいね」
「そうね。でも、嫌じゃないし、どちらかと言うと嬉しいの」
「私もだよ」
甘くも優しい聲に、目を瞑る。もう一度熱いがれていく。
長いれ合いのあと、ゆっくり離れて行った熱を惜しみながら目を開くと、しいオッドアイが熱に浮かされたように煌めいていた。
「約束、ね」
「――ええ、約束」
「合格しようね」
「もちろん」
ふたり、頷き合う。
なんだかぽわんとした空気になってしまったが、それでも私たちの合格してやるという決意は本だったし、その未來を摑めると疑ってなかった。
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