《ハッピーエンド以外は認めないっ!! ~死に戻り姫と最強王子は極甘溺ルートをご所です~》2
チラリと侍従が私を見る。
カーネリアンは口をむにっと曲げると「仕方ない、か」と本當に仕方なさそうに呟いた。
「カーネリアン?」
名前を呼ぶ。彼は私の方を向くと「ごめんね」と言いながら手を合わせた。
「ちょっと仕事でハプニングがあったみたいで。私が行かないと駄目そうなんだ。二、三時間ほど離れることになるけど構わないかな」
申し訳なさそうに言われたが、仕事だと聞いて嫌だと答えるはずがない。彼にも第二王子としてやることがあるのは分かっていたから、笑顔で了承を返した。
「もちろん構わないわ」
「本當にごめん。……あ、ちょっと君!」
廊下を歩いていたにカーネリアンが聲を掛ける。
呼ばれたは立ち止まると、私たちの方へやってきた。
深々と頭を下げる。
「お呼びでしょうか、カーネリアン殿下」
「うん。君、彼を部屋まで案してくれるかな。知っていると思うけど、私の婚約者なんだ。隣國リリステリアの第一王。くれぐれも失禮のないようにね」
Advertisement
「かしこまりました」
カーネリアンの命令をけたが恭しく頭を下げる。
あれ、とそこでやっと気がついた。前に見た時は、皆、カーネリアンを蔑ろとは言わないまでも、雑に扱っているようにじたのに。
先ほどの侍従もこのも、彼のことを王族としてちゃんと敬っているように見えたのだ。
わずか一年半ほどの間に何が起こっているのか思わず首を傾げたが、カーネリアンがきちんと扱われているのはとても良いことなので、それならそれで良いかと思い直した。
――そう、そうよね。カーネリアンが王子として相応の扱いをけている。素晴らしいことなんだから、気にすることではないわ。
むしろまだ彼の扱いが酷いようなら、それこそ許せなかったところだ。
カーネリアンが暮らしやすくなっているのならいい。
そう結論づけた私は、それ以上は気にせず、カーネリアンとその場で別れ、について、與えられた部屋へと向かった。
「どうぞ、こちらが姫様のお部屋となります」
「ありがとう」
中にると、すでにそこには國から連れてきた私専屬のたちがいて、忙しく働いていた。
今回、滯在期間は約二週間。
それなりの期間になるので、スターライト王國からを借りることも考えたがやはり慣れた人たちに世話をお願いしたいと思い、連れてきたのだ。
その中にはステラもいる。ステラは戦っている私のことは怖いくせに、その他では怖じしないところが気にっていた。今回も真っ先に聲を掛けたくらいだ。
彼たちは私が來たことに気づくと、手を止め、頭を下げた。
「お帰りなさいませ、姫様」
「もうすぐ準備が整いますので、お好きなところでおくつろぎ下さいね」
「ええ、ありがとう」
返事をし、部屋まで案してくれたスターライト王國のにお禮を言ってから、部屋を観察する。
用意されたのは、風通しのいい広い部屋だった。客を通せるように、寢室は別室になっているのがありがたい。
奧側が寢室。手前が主室で、主室には大きな暖爐があった。
暖爐の前にはテーブルやソファが設置されており、居心地が良さそうだ。
開いていた窓に駆け寄る。窓の外はバルコニーに続いており、外へ出ると、広い庭がよく見えた。
季節の花が咲き誇っており、庭を散歩するのもいいが、ここで上から眺めるのも悪くない。
部屋には他に勉強機や化粧臺などもあり、不足をじるものはなかった。
たちも心なしか満足そうだ。
彼たちの邪魔をしないよう適當なソファに座ると、ステラが側にやってきた。
手持ち無沙汰にしている私を見て、笑顔で言う。
「姫様、宜しければお茶でもお淹れしましょうか?」
「――ん、そうね。お願い」
し考え、お願いした。
カーネリアンは二、三時間は帰ってこないと言っていたし、ひと休憩する余裕くらいはあると思ったのだ。
ステラがお茶の支度を始める。他のたちも手を止め、お茶菓子の準備を手伝い始めた。
「どうぞ」
「ありがとう」
用意されたのは紅茶とクッキーだ。どちらもスターライト王國の廚房から提供されたもの。私は祖國の味とはし違う、塩味の効いたクッキーを囓りつつ、のんびりとお茶の時間を楽しんだ。
やがてたちも片付けを終えたのか、それぞれ定位置で待機し始めた。ステラは私の空になったティーカップにおかわりの紅茶を注いでいる。
「リリステリアではないと分かっているのに、落ち著くわ……。ここ、良い部屋ね」
改めて部屋を見回す。
部屋の壁紙のも落ち著いているし、床に敷かれた絨毯の趣味も良い。先ほども思ったが、風の通りが良いのが特に気にった。
ここでなら二週間の間、ストレスをじることなく過ごせるだろう。
誰の指示かは知らないけれど、スターライト王國が私を本心から歓迎してくれていることをじ、嬉しかった。
「……ん?」
のんびりしていると、部屋の扉がノックされた。ステラとは別のに目を向ける。彼は心得たように扉まで歩き、慎重に口を開いた。
「……どちら様でしょうか」
「俺はスターライト王國第一王子のアレクサンダーだ。ここにフローライト王が滯在していると聞いたのだが」
「え? アレクサンダー殿下?」
扉の向こうから聞こえて來たのは、確かにアレクサンダー王子の聲だった。
なんの用だろうと思いながらも立ち上がる。に目配せし、ドアを開けるように伝えた。
「どうぞ」
が扉を開ける。ってきたのは、名乗った通りの人だった。
前に會った時から一年半。彼は、以前よりもずいぶんと大人になっていた。そういえば、彼ももう十八歳。私が覚えている二十二歳の時の姿と殆ど変わらない。
「アレクサンダー殿下。何かご用ですか?」
「いや、カーネリアンから、お前がセレスタイトの學試験をけると聞いたからな。あれから一年半経ったお前が、どんな長をしたのか実を見に來てやったのだ」
言われた言葉に呆れた。思わず本音で言ってしまう。
「はあ。それはなかなか趣味が悪いことで」
「弟の婚約者が気になるのは兄として當然だろう? カーネリアンから聞いた時はまさかと思ったが、本當にリリステリアから出てくるとはな。しかも、わざわざ同じ學園にまで通うとは。……なんだ、結婚するまで待てなかったのか?」
揶揄うように言われたが、そんな挑発に乗るほど安くない。私は笑みを浮かべ、平然と返した。
「ええ。その通りですが、何か?」
文句でもあるのかと語尾を強めながら告げると、アレクサンダー王子は楽しげに笑った。
ヤンキーが語る昔ばなしシリーズ
ヤンキーが語ってます。
8 111殘念変態ヒロインはお好きですか? ~學校一の美少女が「性奴隷にして」と迫ってくる!~
「私を性奴隷にしてください!」 生粋の二次オタ、「柊裕也」はそんな突拍子もない告白をされる。聲の主は──學校一の美少女、「涼風朱音」。曰く、柊の描く調教系エロ同人の大ファンだそうな。そう、純粋無垢だと思われていた涼風だったが、実は重度のドM體質だったのだ! 柊は絵のモデルになってもらうため、その要求を飲むが…… 服を脫いだり、卑猥なメイド姿になるだけでは飽き足らず、亀甲縛りをしたり、果てにはお一緒にお風呂に入ったりと、どんどん暴走する涼風。 更にはテンプレ過ぎるツンデレ幼馴染「長瀬」や真逆のドS體質であるロリ巨乳な後輩「葉月」、ちょっぴりヤンデレ気質な妹「彩矢」も加わり、事態は一層深刻に!? ──“ちょっぴりHなドタバタ系青春ラブコメはお好きですか?”
8 173妹は兄を愛する
初めて好きになった人は血の繋がった二歳年上のお兄ちゃんだった。私が世界で一番欲しいのはたった1つ。大好きなお兄ちゃんの「愛」。
8 186高校ラブコメから始める社長育成計畫。
コミュニケーションの苦手な人に贈る、新・世渡りバイブル!?--- ヤンキーではないが問題児、人と関わるのが苦手な高校二年生。 そんな百瀬ゆうまが『金』『女』『名譽』全てを手に入れたいと、よこしまな気持ちで進路を決めるのだが—— 片想い相手の上原エリカや親友の箕面を巻き込み、ゆうまの人生は大きく動いていく。 笑いと涙、友情と戀愛……成長を描いたドラマチック高校青春ラブコメディ。 ※まだまだ若輩者の作者ですが一応とある企業の代表取締役をしておりまして、その経営や他社へのコンサル業務などで得た失敗や成功の経験、また実在する先生方々の取材等から許可を得て、何かお役に立てればと書いてみました。……とはいえあくまでラブコメ、趣味で書いたものなので娯楽としてまったりと読んでくだされば嬉しいです。(2018年2月~第三章まで掲載していたものを話數を再編し掲載しなおしています)
8 159甘え上手な彼女3 秋編
季節は秋!! クラスマッチで盛り上がる、繁村・赤西視點のクラスマッチ編と種學旅行編がスタート!! 繁村と赤西に彼女!? 由美華にも戀人が!! そして、現れる転校生!! 相変わらずラブラブな二人の前にまたしても試練が!? その真相は是非本編を読んでお確かめください!
8 125いじめられっ子の陰キャJKは自分を変えるため、ダンジョンに挑む〜底辺弱者は枕とレベルアップで強者へと駆け上がる〜
七瀬世羅、彼女の人生は後悔の連続。一度選択肢した人生は巻き戻す事の出來ない現実。 何度だってやり直したいと願い夢見た。その度に砕けそうになる思い。 この世界にはダンジョンと呼ばれるモノが存在し、全ての人間にレベルシステムとスキルシステムが適応される。 まだ謎が多いシステム達、世羅はとある日に〇〇を獲得する。 日頃の生活で培った耐性スキル以外に一つだけ、スキルが増えていた。 それをきっかけに、家の前にあるダンジョンに挑戦する。 ただの高校生だったのに、小さなきっかけでダンジョンに挑む。 そこで見た光景は、想像を超え、そして再び後悔する光景。 なんで來てしまったのか、どうしてこうなったのか、焦る思考の中考える。當然答えは無い。 足はすくみ、腰は抜け、動けないでいた。 恐怖の塊が近づいて來る。自分の彼女達と同じ経験をする──そう感じた時、颯爽と空を飛び恐怖の塊と戦おうとする勇敢な───枕が居た。 彼女の人生は【枕】から始まる。 いじめられっ子からの脫卻、毒親からの脫卻、貧乏からの脫卻。 この世界はレベルシステムにより簡単に強さの優劣が決まる。 分かりやすい世界だ。 あとは、運と実力と、最高の相棒(枕)が居れば十分だ。
8 111