《ハッピーエンド以外は認めないっ!! ~死に戻り姫と最強王子は極甘溺ルートをご所です~》3

「相変わらず気の強いことだ。ああ、前と同じだ。敬語などいらん。俺は、お前を見定めにきただけなのだからな」

「はあ……」

見定めとはまた騒な言葉だ。アレクサンダー王子はにやりと笑うと、挑発的に私に言った。

「何。お前の実力がどの程度のものか、この俺自ら見てやろうというだけのこと。何せ俺は現役のセレスタイト學園生だからな。試にかる実力がどの程度なものなのかだって、実験として知っている」

「……」

言われた言葉を味する。

アレクサンダー王子が、現在セレスタイト學園に通っているのは本當だ。

彼は現在二年生。私とカーネリアンが學すれば、先輩後輩の関係になる。

彼が所屬している學科は確か言語學科だったなと過去の記憶を思い出しながら言った。

「殘念だけど、私がけるのは魔科なの。あなたは言語學科でしょう? 參考にならないと思うわ」

學試験は、學科ごとに容が違う。

一般教養試験と、志する學科の試験、この二種類の試験に合格しなければならないのだ。

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教養試験なら共通だから參考になるかとも思うが、しっかり勉強しているので、不安な部分などないに等しい。気になるのは、志學科の試験だが、言語學科の彼では何の參考にならないだろう。

だが、アレクサンダー王子は首を傾げ、とんでもないことを言った。

「ん? 俺は魔科だが。誰が言語學科だなんて言ったのだ?」

「えっ!?」

以前とは違う學科名を出されて驚いた。

てっきり前と同じ言語學科に所屬しているものと思ったのに……。

「魔科なの? あなた、凄く強いって聞くけど……今更あなたが魔科に所屬する利點なんてないでしょうに……」

どうして前回と違う學科に。そう思ったところで、全部が全部、私が知るようにくはずもないか、と考え直した。

何せ、すでに々なものが変わっているのだ。

私が強くなり、前向きな格に変わったこともそうなら、カーネリアンの志學科が魔法學科に変わったこともそう。

正直これは以外だった。

きっと、前回と同じように強制的に魔科へ行かされるのだろうと思い込んでいたからだ。

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だが、今回違った。なんと王家から、志學科は好きにして良いと言われたのだ。

前回の彼が魔科に行くことになって嘆いていたことを知っていただけに、その話を聞いた時、私は手放しで喜んだのだけれど。

問題は、ここからだ。

なんとカーネリアンは、自分から魔科へ行くと言い出したのだ。

理由はもちろん私が魔科を目指すから。

同じ學科なら、一緒にいる時間が増えるとのことで、確かにそれはその通りなのだけれど、戦いたくない彼を魔科にれるわけにはいかないし、芋づる式に彼が死ぬ未來を久しぶりにフラッシュバックの如く思い出した私は、絶対に駄目だと彼と全面的に爭った。

「私もフローライトと一緒に頑張りたいんだよ」

「駄目。頑張るのなら、経済學とか數學とか、戦闘以外の分野で頑張って。戦いは私が引きけるって、前にも言ったわよね?」

「私も言ったよ。守られるだけは嫌だって。私もする人を、フローライトを守りたい。だから逃げるのは止めにするって、何度も言ったよね?」

「ええ、でも私もそういうのは要らないって言ったわ。ねえ、カーネリアン。お願いだから、魔科以外を志して。魔科には來てしくないの、お願いよ」

必死に告げるも、彼は本気には取ってくれない。怪訝な顔をして言うだけだ。

「どうして。私は大丈夫だよ。君のためなら、何も怖くないって本気で思えるんだから」

「止めて……!」

それを聞いた私は青ざめ、その場で首を激しく橫に振った。

カーネリアンが私のためならなんでもできることは、験したから知っている。

彼は私のためなら嫌いな剣を取って戦えるし、魔王も倒してしまえるほどの強者となれるのだ。だけどその代償は大きく、神を病み、最後には取り返しの付かないことになってしまう。

それを事実として知っているだけに、カーネリアンの言葉には絶対に頷けなかった。

「駄目。絶対に駄目。……もしカーネリアンが魔科を志するっていうのなら、私は験するのを止めるわ。學園には行かない」

「えっ……」

本気の聲で告げると、カーネリアンは目を見張り「そこまで?」と言ってきたが、私は頑として譲らなかった。

行かなくて良い魔科に所屬させるなんて,絶対に許せなかったからだ。

私たちにとってはある意味初めての大げんかとなったが、結局、カーネリアンが折れる形となり、彼は仕方なく、魔法學科を志することとなった。

とはいえ、彼が學志願書を出す時まで、魔科と書かれるのではないかと、私は本気で疑っていたし、彼が『魔法學科』と書いて提出するところまで見屆けたくらいだ。

粘著で申し訳ないが、そうしなければ安心できなかった。

まあ、その甲斐もあって、彼は無事『魔法學科』をけることとなったのだけれど。

あの騒は二度と繰り返したくはない。

し前のもめ事を思い出し、思わず溜息を吐く。

アレクサンダー王子が首を傾げた。

「どうした?」

「何でもないわ。ちょっと前のことを思い出しただけだから。で、あなたが魔科って話だけど、本當なの?」

疑わしいという顔をすると、アレクサンダー王子はニヤリと笑いながら、上著のポケットからカードのようなものを取り出した。

私に向かって放り投げてくる。

「見てみろ」

「……」

何だろうと思いつつも、促されるままカードをけ取る。

カードはアレクサンダー王子の學生証だった。そこには二年 魔法・戦闘學科という言葉と、彼の名前が記載されている。

「……本當だわ」

驚きながらも學生証を返す。け取ったアレクサンダー王子は學生証を戻しながら「どうだ。本當だっただろう」と言ってきた。

その言葉に頷きつつも疑問を投げかける。

「でも、本當にどうして? さっきも言ったけど、戦いの技ならあなた、十分過ぎるほどあるでしょうに。魔科に所屬する意味なんてある?」

「あるぞ。何せ、良い出會いが期待できるからな。実は最近スターライト王國の周辺で魔の數が増えてきてな。駆逐するにも兵の數が足りなくなってきた。優秀な人材をスカウトするためにも、魔科に所屬することは悪くない」

「……スターライト王國も? 確かにそこはリリステリアも同じだけど……」

の數が増えてきているのは、アレクサンダー王子の言う通りだ。

それどころか、年々強さも増していっている。

リリステリアの王立騎士団もよく魔退治に駆り出されているし、私も何度か同行しているから知っているが、以前より明らかに活化しているのだ。

あと一年ちょっとで魔王が復活する、その兆しなのだろう。魔たちが強くなっていくのをじるたび、焦りが募っていく。

――痛っ。

また、頭痛が痛みを主張してきた。人と話している時でさえも、痛みは容赦なくやってくる。それが辛い。

まだ薬が効いているはずなのだけれどと思いながらも、できるだけ気にしないことにした。

アレクサンダー王子が口を開く。

「そういうわけだからな。もしお前が合格すれば、俺はお前の先輩になるわけだ。どうだ。これでも參考にならないなどと言うのか?」

「……さすがに言えないわね」

渋々、返事をした。

確かに、実際の試験はどんなじだったのか、可能ならば教えてもらいたいところだ。

一応調べてきてはいるが、実際けた人の話ほど參考になるものはない。

複雑な顔をしつつも否定できなかった私を見て、アレクサンダー王子がニヤニヤと笑う。

「魔科の試験は、実踐だ。実際に試験と戦い、その績で合否が決まる。お前の実力が、試験のお眼鏡に葉うのか、俺が見てやろう。どうだ?」

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