《ハッピーエンド以外は認めないっ!! ~死に戻り姫と最強王子は極甘溺ルートをご所です~》魔王登場

アレクサンダー王子のお墨付きもしっかりもらい、幸いなことに頭痛もなく萬全の狀態で挑んだ學試験。

當然その結果は、最良のものとなった。

私もカーネリアンもそれぞれ希の學科に學許可が下り、カーネリアンに至っては、學式の挨拶を任されたのだ。

つまりそれは、彼が一番の績で試を突破したということ。

私も頑張ったので負けてしまったのは悔しいが、その相手がカーネリアンとなれば腹も立たない。むしろ心からのおめでとうを彼に贈った。

セレスタイト學園には寮があるが、さすがに王という分で寮は難しい。

王族となれば皆も気を遣うだろうし、特に問題となるのは護衛だ。

である私は國から何人もの護衛を連れて來ることになる。自分のは自分で守れるから良いという話ではないのだ。國の面子にも関わってくる。

そして選抜された護衛たちの別は殆どが男で、當たり前だが彼らは子寮にはれない。

かといって、護衛を連れて行かないなど言語道斷なので、學校近くにある屋敷を買い取り、そこから通う……という話になった。

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父が選んだ屋敷は三階建てで、元々、侯爵家の別宅だった。広い庭もあり、鍛錬することも十分可能。

部屋數も多く、地下室も完備されていた。屋敷から繋がっている別棟もあり、そこは使用人たちの住居となっている。これなら護衛や、侍従たちも一緒に暮らすことができる。

その屋敷にまずはと侍従たちがり、ひと月かけて準備を整え、そのあと、護衛たちを連れた私が向かったのだけれど、屋敷に著き、馬車から降りたらまさかのカーネリアンがいて、笑顔で手を振っているのを見た時は、正直びっくりした。

「えっ、カーネリアン?」

「ふふ。來ちゃった」

語尾にハートマークでもついていそうな勢いだ。

確かにカーネリアンには、住まいの場所を教えたし、今日行くことだって伝えたが、彼は仕事が忙しく來られないと聞いていたのだけれど。

「えっ、大丈夫なの?」

「大丈夫というか、あとで戻るから平気だよ。君が引っ越してくる日に一緒にいられないとかあり得ないって思うからね。事を話して、しだけ抜けさせてもらったんだ」

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「そうなの? でも來てくれたのは嬉しいわ。ありがとう」

確かに、來られないと聞いた時はガッカリしたので、サプライズ的に顔を出してくれたのは嬉しい。あとで戻らないといけないというのは殘念だが、仕事なのだから仕方ないだろう。

護衛たちがき始める。

まずは三人ほどが屋敷を確認。殘りの護衛は、手分けして庭と屋敷周辺を調べにいった。二人ほど殘ったが、それは私たちの護衛という本來の任務を果たすため。この二人は、連れてきた護衛たちの中でもかなり強く、ひとりは彼らをとりまとめる立場にある。

王立騎士団から派遣されてきた彼は、ベリル・ユークレースという名前だ。

金髪碧眼で二十代後半ながらも頼もしく、父の覚えもめでたい伯爵家の次男。

私とも何度も手合わせをしたことがある。強くなることに貪で、そういうところがとても話が合うのだ。今回、彼が護衛のとりまとめ役に立候補してくれたと聞いた時はとても嬉しかった。

護衛たちがそれぞれの場所から戻ってくる。報告をけたベリルは鋭い顔で頷き、私に言った。

「姫様。問題ありません。どうぞ、中におり下さい」

「そう、ありがとう」

「あとで、私が屋敷全に防犯用の結界を張ります。宜しいでしょうか」

「ええ、任せるわ」

防犯用の結界は基本中の基本だ。不審者がれば、結界を張った本人にはすぐに伝わる。

護衛のとりまとめ役であるベリルに任せれば安心だろうと許可を出し、早速屋敷へとった。

先に屋敷にっていたたちが屋敷を案してくれる。カーネリアンも當然の如くついてきた。

一階は談話室や軽いパーティーならできるほどの広間があり、二階にはゲストルームや図書室、遊戯室などがあった。地下は調理場やワインセラー、洗濯場や使用人たちの食堂などがある。

「姫様のお部屋は三階です。窓からお庭を眺めることができますよ」

「楽しみだわ」

階段を上りながら――ステラの言葉に返事をする。

今回、こちらの國へ來ることになり、私付きのは全員連れてきた。期間は學校を卒業するまでの五年間に及ぶ。

さすがに期間が長いので、嫌なら無理に來なくとも構わないと伝えたのだけれど、皆、快く頷いてくれてとても謝している。

三階の東側へ行く。屋敷は階段を挾んで東と西側に別れているのだ。

東側の突き當たり。その部屋に行くと、ステラは頭を下げながら言った。

「こちらが、カーネリアン殿下のお部屋となります」

「うん、ありがとう」

「えっ!?」

全く考えもしなかった言葉がステラから飛び出し、ギョッとした。

だがカーネリアンは當然のように頷いているし、ステラも笑顔である。

何も知らなかったのはどうやら私だけだったらしい。

「え、え、え? ちょっと、どういうこと?」

「ん? 聞いてない? そちらの國王陛下が気遣って下さったんだ。ひとりだと娘も寂しいだろうから、婿殿も良ければ一緒にって」

「ええ!?」

聞いてない。

全くそんな話は聞いていなかった。

てっきりカーネリアンは王城から通うものだとばかり思っていたのにこの流れは予想外だ。

「え、いや、でも……お仕事とか……」

「ここから城まで馬車で三十分ほどの距離だしね。ある時は普通に通うよ。急時には転移魔法もあるし……ね、何も問題ないよ」

「……」

――お父様! 言ってよ!!

心の中の父に思いきり怒鳴る。

きっと今頃父は、私が揺しまくっているのを想像して宰相とふたりで笑っているのだろう。……父は昔からサプライズが好きなのだ。

私が喜ぶだろうと思っての配慮だろうが、それならせめてひとこと伝えておいてしかった。

……というか。

――お父様。徹底的にカーネリアンを囲いに來たわね。

今回の措置はたぶん、そういうことなのだと思う。

父は、武力に極振りした私を嫌な顔ひとつせず、むしろ喜んで貰ってくれるカーネリアンをとてもとても気にっている。

戦えないからなんだというのか。それより娘の手綱を握ってくれる方が大事だと普段から豪語している人なのである。

カーネリアンはお気にりの未來の息子なのだ。そしてその息子は、し前、なんと転移魔法を覚えてきた。

転移魔法は、使えるものが數人しかいないと言われる難しすぎる魔法である。

そんなものをひょいひょいとり、なおかつ名門セレスタイト學園に主席で學できる學力の持ち主ともなれば、もう絶対に逃してなるものかと父が考えるのは當然のことで、父の「カーネリアンはうちの息子ですけど! 今更駄目って言われたって返さないから! 婚約は絶対に履行してもらうから!」という強い主張がヒシヒシと伝わってくる。

父のとても分かりやすい主張に気づき、何だかなあと思っているとカーネリアンが不安そうな顔をして私を見てくる。

「……駄目、かな? 私はって貰えて嬉しかったんだけど」

「駄目ではないし、嬉しいわ。ただ、何にも話を聞かされてなかったから驚いただけ。……そうね、學科が違うんだもの。同じ屋敷にいれば、自然と一緒に過ごす時間も増えるし、私も幸せだわ」

正直な気持ちを伝える。

分かりやすいお膳立てに驚きはしたものの、嫌なわけではもちろんないのだ。

好きな人と一緒に暮らせるというのは、嬉しいことでしかない。

私の言葉を聞き、カーネリアンがホッとした顔をする。

「よかった。嫌だって言われたらどうしようかって思ったんだ」

「そんなこと言うはずないじゃない。嬉しい、とても嬉しいわ」

カーネリアンの手をギュッと両手で握る。

「これから五年間、よろしく」

「こちらこそ宜しく。……んー、とは言っても、多分卒業したらすぐに結婚するから、実際は五年どころの話ではないんだけどね」

「え……?」

「ん? もしかしてこれも聞いてない? 君のお父上が言ってらしたんだけど」

「……」

――だから、そういう話は娘の私にも言っておいてしい。

的な日取りまではまだ何も決まっていないものと思っていたのに、まさかカーネリアンから聞かされるとは思わず、口をあんぐりと開いてしまった。

「カーネリアン……お父様と仲良しね?」

「うーん、そうだね。転移魔法を覚えた際にやり取りしたでしょう? それからわりと頻繁に連絡は取り合ってる……かな」

「……おおう」

父とカーネリアンが仲良し過ぎる。

將來を考えればとてもいいことだとは思うのだけれど、もしかしなくても、私よりもカーネリアンの方が父と仲が良いのではないだろうかと、ちょっとだけ真面目に考えてしまった。

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