《ハッピーエンド以外は認めないっ!! ~死に戻り姫と最強王子は極甘溺ルートをご所です~》

彼の言葉は間違ってはいないが、そんなことを言われれば、前回の初めての時まで思い出してしまうし、今度はどうなるのかな、なんて考えてしまう。

「わ、分かったわ。そ、その……カーネリアンの誕生日。わ、私、その、準備とか……ちゃんとしておくから」

「う、うん……」

ふたり顔を赤くしたままもじもじとしてしまう。

カーネリアンとは十歳の頃からの付き合いで、人としてずっと一緒に過ごしてきたのに、まるで付き合い立ての人たちのようにドキドキしてしまう。

ふと顔を上げる。カーネリアンと偶然目が合い――ふたり、同時に笑み崩れる。

「……なんか、恥ずかしいね」

「そ、そう……ね」

「でも、私はすごく嬉しいよ。……ずっと君のこと、しいと思っていたから」

「……」

冗談ではなく更に溫が上がった気がした。

だけどそれは私も同じなのだ。

私だって彼がしかった。直接れて、彼が生きているのだと実したかったのだ。

口づけだけでは足りない。

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もっと深い場所までれて、心底安心したかった。

その行為を知っているからこその足りなさに、私はずっと飢えていたのだ。

だから、カーネリアンに求められて嬉しい。嬉しいし、その日を素直に楽しみだと思える。

「カーネリアン、好き」

「フローライト、私もだよ」

優しい言葉が返ってきて、比喩ではなく本當に心が震えた気がした。カーネリアンが手を差し出して來る。その手を握ると、幸せだなあという気持ちになった。

「ふふ……」

止めていた足をかし、再び歩き始める。

カーネリアンの誕生日が終われば、いよいよ魔王襲來も間近だ。

絶対に、今の幸せを崩させたりしない。

未來の自分のためにも、頑張らなくては。

普段にも増して気合いをれる。

間に合わないかもなんて泣き言を言っている暇はない。しでも強くなるべく努力を重ねるのだ。

――よし、頑張るわよ。

「あの――」

歩きながら、よしやるぞと気合いをれていると、後ろから聲を掛けられた。

男の人の聲だ。無視するわけにもいかないので、立ち止まって振り返る。

そこに立っていたのは、同じ魔科の生徒だった。

名前はジュリー・ロンドベル。

私と同じで彼も、この學園に通うため、外國から留學してきている。

は、スターライト王國の北にあるマリーウェル王國。

侯爵家の跡取りで、確か、彼の得意武は斧だった。バトルアックスと呼ばれる大きな斧を自由自在にるのだけれど、これが結構戦いにくい。

何度か対戦したことがあるから覚えている。もちろん、勝ったけど。

「何? 何か用?」

科の生徒なら、間違いなく私に用事があるのだろう。そう思ったのだけれど、何故か彼はカーネリアンを見ていた。

「?」

「……カーネリアン殿下」

「何かな」

名前を呼ばれたカーネリアンがにこりと笑う。そんな彼にジュリーは言った。

「あなたに、折りってお話があるのですが」

「うん、いいよ。聞こう」

チラリとジュリーが私を見る。多分、外してしいという意味なのだと分かったが、なんとなく嫌な予がした私はにっこりと笑って言った。

「嫌。カーネリアンに話があるのなら、今、ここで言って。スターライト王家の関係者以外には聞かせられないとかなら離れるけど、あなたはスターライト人ではないし、マリーウェルの王室関係者でもないもの。そういう重要案件ってことではないのよね?」

「っ! そ、それは違いますけど……」

揺する様子を見れば、ますます怪しいと思ってしまう。

これは絶対に離れるべきではないと確信した私はカーネリアンにも話を振った。

「そう。じゃあ問題ないわよね。カーネリアン、あなたも別に私が同席しても構わないわよね?」

「もちろん。君がそうしたいのなら」

「ありがとう。……で? 話って何なのかしら」

じっとジュリーを見つめる。

ジュリーは何とも言えない複雑な顔をしていたが、やがて腹を括ったのか、真っ直ぐにカーネリアンを見て言った。

「……あなたが、フローライト殿下の婚約者であるということは聞いています。それと、戦いを忌避する方だということも」

「……それで?」

カーネリアンが微笑みながら続きを促す。ジュリーはキッとカーネリアンを睨み付けながら言った。

「フローライト殿下は強い方です。僕は彼ほど強いを見たことがない。彼の強さには憧れを抱いていますし、常に上を目指す貪さを尊敬してもいます」

「……」

別にそういうのは要らないのだけどな、と思いながらも黙って話を聞く。

私は私のために強くなろうとしているのであって、別に憧れとかがしいわけではない。

魔王を倒せれば、退かせることができればそれで良いのである。

まあ、強くなることが楽しくないのかと問われれば、楽しいとしか答えようもないのだけれど。

すっかりバトルジャンキーと化している自覚は、殘念ながら持っているのだ。

カーネリアンが鷹揚に頷く。

「そうだね。私もフローライトの強さを眩しく思っているし、彼を格好良いだと尊敬しているよ。それで? 君は何を言いたいのかな。前置きは良いから、さっさと話してくれる? フローライトとの大事な時間を意味もなく削られたくないんだ」

「っ!」

カーネリアンの言葉に、ジュリーが顔を真っ赤にする。そのまま勢いでんだ。

「はっきり言わなければ分かりませんか! あなたはフローライト殿下に相応しくないと言っているんです! 殿下のような強者には、同じく強者が似合う! たとえば……そう、あなたの兄君のアレクサンダー殿下とか! あなたのような弱者にフローライト殿下は勿ない! 今すぐ婚約を解消し、殿下を自由にして差し上げるべきです!!」

「は?」

カッと頭にが上る。

カーネリアンが何か言う前に、勝手にいた。

一瞬で、氷の弓を召喚し、ジュリーの額を狙うように氷でできた矢を構える。彼に矢を向けることを、一瞬も迷わなかった。

――だって、彼は今、カーネリアンを馬鹿にしたから。

しんしんとした怒りが腹の中に降り積もっていくのをじながら私は問うた。

「――あなたが、カーネリアンの何を知っているというの」

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