《げられた奴隷、敵地の天使なお嬢様に拾われる ~奴隷として命令に従っていただけなのに、知らないうちに最強の魔師になっていたようです~【書籍化決定】》―04― 救わせて
「それで、あなたはこれからどうするの――?」
ティルミお嬢様が僕の目を見て、そう呟いた。
「え、えと……」
たった今、自分にかけられていた契約魔がティルミお嬢様にとって解かれた。
これで、僕は主人であるクラビル様の元に帰らなくてもいいのか――?
『アメツ、命令を聞けなかった罰だ。激痛を與える』
ふと、ご主人様の幻聴が聞こえる。
本當にいいのだろうか? このまま帰らなかったら、また罰を與えられるんじゃないだろうか?
「ぼ、僕は、ご主人様のもとに帰ります……っ!」
そうだ。帰らないと……っ。
帰らないと、また激痛を與えられてしまう。
激痛だけはどうしても嫌なんだ。
だから、僕は立ち上がって、部屋から出て行こうとする。
「待って」
けど、がかなかった。
見ると、ティルミお嬢様が僕の腕を強く握っていた。
「あなたが元のご主人様とこに帰るというなら、止めはしないわ。だって、それはあなたの自由だもの。けど、一つだけ教えて。なんで、あなたは震えているの?」
そう言われて初めて、全が震えていることに気がついた。
震えている理由。
それは――、
「か、帰らないと、激痛を與えられてしまいます……」
「激痛って?」
「契約魔による激痛です。ご主人様は僕が命令を守らないと激痛をお與えになります。その激痛だけはどうしても嫌なんです。激痛をさけるために、僕は帰らないといけないんです。だから放してくださいっ」
そう言って、摑まれた腕を強く引っ張る。
けど、それより早く彼が僕のことを引き寄せては強く抱きしめた。
「ごめんなさいっ」
彼が僕の耳元でささやいた言葉に僕は目を丸くする。
「ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさいっ」
「……なんで?」
わからない。
彼の態度の理由が理解できない。
「なんで僕に泣きながら謝っているんですか?」
ティルミお嬢様は僕を抱き寄せてながら、涙を流しながら許しを請うように謝っていた。
「貴族は民を救う義務があるの。なのに、あなたがずっと辛い目にあっているのに、今まで救うことができなかった。だから、ごめんなさい」
意味がわからない。
僕が彼と知り合ったのはついさっきだ。
例え貴族が民を救うのが道理だとしても、彼は僕のことを知らなかった以上、彼に落ち度なんて存在しない。
だから、僕に謝るのは筋違いだ。
「お願いだから、私にあなたを救わせてくれませんか?」
彼が僕からそっと離れるとそう言って、僕に手を差しべた。
なにを言っているんだろうか? この場合、お願いするのは僕であって、彼ではない。
けど、そんな疑問なんてどうでもよかった。
そんなことより、僕は彼の姿に目を奪われた。
窓から覗く月が彼の髪のを照らしているせいなのだろうか、髪のの先一本一本が寶石のようにキラキラと輝いていた。
幻想的な景だった。
まるで下界に天使が降り立ったと錯覚するようだった。
彼は神がかり的に綺麗だった。
「よろしくお願いします」
無意識のうちに、僕はそう言っていた。
彼の存在は、僕に絶対的な肯定をもたらすだけの力があった。
「ありがとう」
そう言って、彼は僕の手を優しくとる。
同時に僕は決意していた。
僕の一生は彼のために使おう、と。
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