《げられた奴隷、敵地の天使なお嬢様に拾われる ~奴隷として命令に従っていただけなのに、知らないうちに最強の魔師になっていたようです~【書籍化決定】》―05― クラビル伯爵の思案
「ん……?」
アメツの主人でありクラビル伯爵家のガディバ・クラビルは異変に気がついた。
(アメツとの繋がりが消えたな)
アメツとの間に施していた契約魔。
その契約が途切れたことを察する。
恐らく暗殺に失敗した上、殺されたか。
暗殺対象のティルミ・リグルットは優秀な魔師だと聞いている。
反撃されて、うちの奴隷が殺されてもそう驚きはしない。
とはいえ、せっかくのおもちゃを失ったのは痛いな。
「新しい奴隷を買えばいいか」
と、切り替えることにする。
奴隷なんて買おうと思えば、いつでも買うことができる。
「クラビル様、お客様がいらっしゃいました」
扉ごしに使用人の聲が聞こえた。
「今、行く」
そういえば、今日は贔屓にしている商人がやってくるんだった。
せっかくだし、その商人に新しい奴隷を手できないか、聞いてみることにしよう。
「クラビル様、今日はどんなご用でしょうか?」
「ん、あぁ、今日は買い取ってほしいものがあってな」
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「あぁ、そうですか。いつも、クラビル様には良質な素材を売って頂けるのでとても謝しております。それで、今日は一どんな素材ですか?」
クラビルはアメツが狩ってきた魔の素材をこうして商人を呼んでは買い取ってもらっていた。
「巖の巨兵(ゴーレム)の魔石だ」
先日、アメツに巖の巨兵(ゴーレム)狩ってくるよう命令を出したことを思い出しながらそう呟く。
「ご、巖の巨兵(ゴーレム)ですか……!?」
ふと、商人が目を見開いていた。
「おぉ、確かにこれは巖の巨兵(ゴーレム)の魔石ですね」
巖の巨兵(ゴーレム)を確認するように見ると、商人はそう言った。
「魔石はこれだけではないんだ」
クラビルがそう言うと、使用人がたくさんの魔石を機の家に並べていく。
「おぉー、こんなにもたくさんの魔石を! それもどれも上質なものばかりだ!」
これら全てはアメツが狩ってきた魔から採られたものだ。
「それにしてもクラビル様は大変素晴らしい魔師でありますな! これだけ強力な魔をしかも短期間のうちに次々と狩るのですから。一どんながあれば、このような偉業ができるのか、ぜひご教授させていただきたいものですなぁ!」
「ふっ、言いすぎだ」
本當はアメツの手柄だが、どうやら商人はクラビルがこれだけの魔石を回収したんだと勘違いしているようだった。
とはいえ、悪い気はしなかったので否定はしなかった。
「いえいえ、わたくしはたくさんの冒険者と売買させていただいているので、わかるのです。これをお一人で集めたのであれば、はっきり言って異常です。特に見てください。この大鷲(グリフォン)の魔石。確か、大鷲(グリフォン)の生息地はここから東に馬車で五日かかる山脈に対して、巖の巨兵(ゴーレム)の生息地はここから西に馬車で一週間はかかります。確か、以前お會いしたのは一ヶ月前でしたので、この一ヶ月の間に、様々なところに分布する魔をこれだけ討伐するのは、馬車なんかよりずっと速い移手段がないと説明がつきません。恐らく、風屬の第七位階、〈飛來(フライ)〉で移されているんでしょうね」
「ん、あぁ、そうだな」
「やはりそうでしたか! 〈飛來(フライ)〉を覚えいらっしゃるなんて、素晴らしい魔師だ」
商人が賞賛をまくし立てる中、クラビルはおかしいと思っていた。
アメツは第一位階の魔しか使えなかったはず。〈飛來(フライ)〉なんて使えるはずがない。
なのに、これは一どういうことだろうか?
商人に説明されるまで、クラビルは微塵もそのことを疑問に思っていなかった。
クラビルは、アメツに激痛を與える理由がしかっただけで、魔の強さや生息している分布なんてどうでもよかった。アメツに下した命令は、無理難題ということ以外は、その場の思いつきだ。
それゆえに、アメツの異常さに気がつけなかった。
だから、商人に賞賛されて初めて、ひっかかりを覚えた。
(まぁ、死んでしまったし、どうでもいいか)
死んでしまったなら取り返しがつかない。だから、アメツに関して考えることをやめた。
「なぁ、一つ相談があるんだが」
「おぉ、なんなりとお申し付けください」
「新しい奴隷を買いたいと思っているんだ」
「そうでしたか。なにかご要はありますか?」
「そうだな――」
それからクラビルは商人に対して、しい奴隷の特徴を口にする。
アメツに代わる新しい奴隷を手にることができれば、クラビルは満足だった。
クラビルの要はただ一つ。
いくら痛めつけても壊れない奴隷だ。
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