集まった冒険者は全員で６名。

それに僕とお嬢様を加えて、全員で８名が、森の中を歩いていた。

集まった冒険者たちは知り合い同士ってわけではなく、それぞれが依頼を見て、この村に集まってきたらしい。

中には、パーティーでやってきた集団もいるらしいが。

ついでに、冒険者たちの訳は、武を持つ戦士が５名と最も多く、神聖魔を得意とする神は１名だけで、お嬢様と同じ魔師は一人もいなかった。

魔は３種類８系統に分類にされるが、この、自然魔、神聖魔、古代魔の３種類はそれぞれ獨立して発展してきたという歴史がある。

自然魔はある哲學者によって、神聖魔はある聖人によって、古代魔は原始の時代から始まったとされている。

そして、自然魔は錬金、神聖魔は奇跡、古代魔はマナ、とそれぞれ異なる名稱で発展してきた。

それらが、すべて魔として一括りにされたのは６０年前、一人の偉大な賢者によって。

６０年前と聞くと、昔のイメージをもたれるかもしれないが、錬金師に奇跡、マナが１０００年以上前からあったという歴史的背景を考えると、魔の歴史はなんとも淺いことか。

今では、魔として３種類すべてを學ぶことができるが、それは裕福な貴族のみに許された特権だ。

まぁ、僕みたいな例外はいるけれど。

平民が魔を覚えたいなら、主に三通りだ。

一つは、道場に通って強化魔を覚えることだ。

道場ごとに扱う武や流派が異なるらしいが、どの道場でもを強化魔で強化した上で戦うのは共通している。

そして、この方法が最も一般的だ。

今日集まった冒険者のうち、ほとんどが強化魔を主に戦う戦士たちなのが、その証拠だ。

次に一般的なのは教會で修行することだろう。

神になって修行をすれば、神聖魔を覚えられる。

最も難しいのは、自然魔だ。

平民が自然魔を覚えたいなら、自然魔を使える魔にでも弟子りするしかない。

まず、魔と知り合うのが難しいに違いない。

お嬢様なら、神聖魔も強化魔も使えるんだろうが、それらは他の冒険者たちでも十分役割をこなせるだろうし、今回は自然魔をメインに後方で戦うつもりなんだろう。

それにお嬢様が一番得意なのは自然魔ってことだし、最も適した選択だろう。

僕はお嬢様が怪我しないよう護衛に徹底しよう。

なんてことを考えていると、先頭が立ち止まったことに気がつく。

様子をうかがうに、討伐対象の魔が見つかったのだろう。

それからは事前の取り決め通り、冒険者たちは散開していった。

一方から突撃するより、囲んで攻撃したほうが、優位に戦えるからだ。

僕とお嬢様は後方から魔を攻撃することが決まっている。

どれどれ、ここから見えるかな。

そう思いつつ、雙眼鏡の代わりに、水魔法で作った水をレンズの形狀にして遠くを観察する。

確かに、そこに魔はいた。

鎧ノ大熊(バグベア)。

鉄のような鱗を持った巨大な大熊型の魔。

その大きさは長、５メートルを優に超す。

そして、今回の標的だ。

「しだけ張するわ」

ふと、隣にいたティルミお嬢様がそう口にする。

表はいつものお嬢様のままだが、これから魔と戦うのだ。張するのは當たり前か。

「安心してください。僕がお嬢様を守りますので」

安心させようと、柄(がら)にもないことを言ってみる。

「ふふっ、わかったわ。頼りにするわよ、アメツ」

彼は笑った。

この笑顔を守るためなら、僕はなんだってしよう。

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