《【電子書籍化】婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣國へ行きますね》第二十三話 カルタバージュの住民ではなくて

すぐに私とアレクはバルクォーツ侯爵のもとへ向かい、事を話しました。帝都へ呼ばれていること、アレクが父や兄に會うことを躊躇っていること、その不安を解消するために様子を見に行けないか、という提案。

すべてを聞き終え、バルクォーツ侯爵は力強く頷きました。

「よし、任せておけ! すぐに手配する、お前たちは帝都へ向かうといい!」

これにはアレクは異を唱えようとします。

「いえ、帝都には母上がいますから、まずはそちらに泊まって相談を」

「叔母上は面白がってより場をすが、それでもいいのか?」

「だめです」

アレクは即答しました。アレクのお母様はどんな人なのでしょう。何となく、愉快そうな人ということは分かります。

アレクは思いっきりため息を吐いていました。

「最近會っていないから忘れていました……はあ、うちの陣はそういうところがあるから苦手なのです」

「何だ、弱気だな、アレク。手紙を送っておくから、帝都に著き次第、侍従長のノルドル伯爵を訪ねるといい。すべて上手くやってくれるだろう」

「ありがとうございます、ではこれで」

「おっと、アレク。私に言うべきことがあるのではないか?」

用件は済んだ、とばかりにさっさと辭去しようとしたアレクを引き留め、バルクォーツ侯爵は顔をニマニマさせています。アレクは嫌そうな顔をしていました。

「何かありましたか?」

「うん、あった。私にはまだお前から報告が來ていない」

「はあ、何のことでしょう」

私は察しました。でも、言ってしまうと角が立つというか、アレクがなぜ言っていなかったのだろうと事を考えると、バルクォーツ侯爵が怒るのも無理はないと思うのです。

バルクォーツ侯爵はびました。

「お前とエミーが結婚するということを、どうして私に報告しに來ないのだ!」

大変張りのある聲で叱られたアレクは、渋面を隠そうともしません。多分、恥ずかしかったのと、おちょくられることが分かっていたから、できるだけ遅くしようと畫策していたものと思われます。私はもう言っているのだと思っていましたが、道理で靜かなはずです。

アレクはしれっと答えます。

「忘れていました」

「それで済ませるな。私のエミーを取っておいて」

「別に従兄弟殿のものではないでしょう」

「カルタバージュの住民なのだから私のものだ」

口論を始めたアレクとバルクォーツ侯爵の間で、私はふと、とても今更ながら、あれのことは言っていなかったのでは、と気付きました。

というより、普段は誰も気にしないことです。

「いえ、私、正式にはカルタバージュの住民ではありませんよ?」

アレクとバルクォーツ侯爵は、え、と同時に聲をらしました。

    人が読んでいる<【電子書籍化】婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣國へ行きますね>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください