《【電子書籍化】婚約破棄に乗り換え、上等です。私は名前を変えて隣國へ行きますね》最終話 また明日
マギニス先生が無事帝都で家と仕事を見つけた、と手紙を送ってきてくれました。私とアレクが帝都に行くと言っていたので、お互いに忙しいだろうから手紙だけでも、と連絡してくれたのです。
アレクもマギニス先生を気にかけてくれているようなので、生活に困ることはないと思いますが、ワグノリス王國に関わることで何かあればすぐに連絡が取れるようにしているそうです。私が復讐を決斷したことは——伝えられませんでした。マギニス先生は察しているかもしれませんが、そんなことは言えません。復讐の心は、二度と表に出したくないのです。
宮殿で一連の儀式を終え、アレクが屋敷に戻ってきました。アレクの母エステルと出迎えて、私は疲れ切ったアレクを部屋に連れていきます。
「エミー、まだ定段階だが、エミーに與えられる爵位はバラティエ子爵になりそうだ。領地はないが、恩賜金で生活に不自由はないし、これからも商売は続けられる。帝都にいてくれれば、俺はいつでも會えるようにしておく」
立派な正裝をいで、寢巻きに著替えながら、アレクは興気味に語ります。アレクは未來のことを語るときは、文學を語るときと同じように子供のような顔になります。
それが何ともおしくて、私は自分でも気付かないうちに微笑んでいました。
「じゃあ、帝都にもウィズダム書籍商の支店を作らないといけませんね」
「ああ、忙しくなるぞ」
「カルタバージュへ手紙を送っておきましょう。バルクォーツ侯爵閣下も心配されているでしょうし」
「そうだな、書いておかないと直接乗り込んでくる。どうせ來年には帝都に來る機會が増えるだろうに」
アレクは口を尖らせます。皇帝の配偶者の姪、という立場のバルクォーツ侯爵は何かとコネがあり、カルタバージュ市長の権力も合わせると実はアスタニア帝國有數の実力者なのだそうです。帝都アスタナに來て、アレクの母エステルからその話を聞いて初めて知りました。だから、アレクが皇子になる正式な儀式のときには、バルクォーツ侯爵も必ず參列するでしょう。
アレクはベッドに腰掛け、私を呼びます。
「エミー、こっちへ」
何だろう、と私が近づくと、アレクは私の背中に手を回して、二人してベッドへ倒れ込みました。
ぎゅっと強く腕を回し、私の肩に顔を埋めて、アレクはつぶやきます。
「思えば、お前を抱きしめたことさえなかったな」
「あら、今更ですか」
「恥ずかしかったんだ」
「今日はお疲れでしょうから、あなたが眠るまで一緒にいます。さ、布団にって」
「むう、子供扱いだな」
アレクの腕を外して起き上がった私は、アレクを支えて布団をめくります。大人しくベッドに潛り込んだアレクは、私の顔を見上げて、ちょっと驚いていました。
「エミー、あざが消えている」
「お母様に化粧を教わったのです。お母様の化粧の腕は、とてもすごくって……私、しました」
「そうか、それならよかった。お前が喜んでくれるなら」
アレクは眠たそうに、でもにっこりと笑います。
「眠い。もう寢る、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
また明日。
そう、私には未來があるのです。
明日も、そのまた明後日も、十年後も、二十年後も、ずっとその先まで。
エミー・ウィズダムはアレクシスとともに。
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