《【書籍化】語完結後の世界線で「やっぱり君を聖にする」と神様から告げられた悪役令嬢の華麗なる大逆転劇》未明の

であり帝國初の帝となったイリス・タランチュラン・ラキアートは、皇配でありサタンフォード大公となったメフィスト・サタンフォード・ラキアートと共に、帝國とサタンフォードの統合と荒れた大地の復興に勵んだ。

一つの國が分かれ、再び結び付いたこの國は、帝と大公の夫婦のようにピッタリと合わさり、そこに住む人々は互いに協力し合って二國が分裂する以前の繁栄を取り戻していった。

そして不思議なことに、二人の婚姻を機に、衰退の一途だった帝國の國力に回復の兆しが見られるようになった。

國民はこれを奇跡と呼び、結ばれるべくして結ばれた二人を惜しみなく賛した。こうして帝國の國力のみならず、朽ちかけていた皇室の権威までもが復活したのだった。

「あの日……僅かな間に僕のを通して発した呪いが、サタンフォードの力を帝國に押し流す道を作り、僕達が婚姻したことでその流れが循環して、帝國とサタンフォード雙方に恵みを齎すようになった……ということか」

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國力回復の現象について調べた宰相と大神ベンジャミンの報告をけ、イリスとメフィストは納得した。

「これも神の思通りなのでしょうね……」

遠い目をしたイリスに、メフィストが首を傾げる。

「また神と喧嘩でもしたのか? この前意趣返しをしたんだろう?」

「喧嘩をしたわけではないわ。ただ、神の相手をするのは疲れるのよ。それより、これからは帝國の干ばつも減って、砂漠化も終息してしずつ土壌がかになるのよね? それも、サタンフォードにも恵みを齎しながら」

「左様でございます」

大きく頷いた宰相と大神を見て、イリスはホッと息を吐いた。

「これで國力低下の問題とサタンフォードの帰屬問題は無事に解決ね。あとは皇族を増やして國を安定させたいところだけれど……こればかりはなかなか難しいわね」

生まれて間もない赤子を抱きながら、イリスが夫を見る。

「もう二度と、君をあんな目には遭わせられない。この子一人いれば充分だよ」

即位後暫くして、第一子を授かったイリスとメフィスト。しかし、この男児が生まれるまでにイリスは散々難産にぎ、一時は死の淵を彷徨うほどだった。苦しみで気を失ったところを神に叩き起こされたことまで思い出し、イリスは苦笑を浮かべる。

「一人っ子だからと甘やかして、エドガーみたいに間抜けで不甲斐ない子にはできないわ。私とあなたで大切に厳しく育てないと」

「そうだな」

寄り添い合う二人に向かい、コホンと小さな咳払いが聞こえる。

「我々も協力しますぞ」

「ルフランチェ侯爵、アルフレッド、いらっしゃい」

宰相職を息子に譲ったルフランチェ侯爵が連れているい男児アルフレッド・タランチュランは、この先タランチュラン公爵家を継ぐ者として教育をけている。表向きはイリスの遠縁の児とされているが、その両親は廃太子として死んだエドガーと、元聖のミーナだった。

この事実を知るのは、帝國でも數人のみ。イリスは今後、本人にもこのことを伝える予定はなく事実を闇に葬るつもりだ。そして、この先の生涯に渡って"タランチュラン公爵"として活躍し、タランチュラン家の復興に勵むアルフレッド本人が、この事実を知ることは一生なかった。

「そうね。アルフレッドはこの子の側近になる予定ですもの。それと、ルフランチェ侯爵の孫息子もこの子が即位する頃には宰相になっているのでしょうね」

イリスの言葉にルフランチェ侯爵が大きく頷いた。

「勿論ですとも。その時に備え、今から鍛えているところです。例え皇子殿下がに現を抜かし公務を疎かにするようになったとしても、支障がないほど優秀な側近に育ててみせましょう」

優秀な孫を自慢したくて堪らないルフランチェ侯爵は、誇らしげにを張った。

「まあ、やめて頂戴。そんな無責任な子に育てるつもりはないわよ。この子は自分の役目を知り、全うする子になるわ」

イリスが我が子をおしく見つめると、その橫からメフィストがイリスの肩を抱いた。

「そうだな。君と僕と、宰相に大神。ルフランチェ侯爵、アルフレッド、それからジェイやナタリーもいる。この子はきっと、立派な君主になるはずだ」

控えていたジェイとナタリーは、メフィストの言葉に力強く禮をした。

これだけの人間の期待を一に背負うのは、もしかすると重過ぎるかもしれない。それでもい皇子はまだ何も理解していないようで、キョロキョロと大きな瞳で周囲の人間を見るだけだった。

その様子に苦笑しつつも、イリスは恥ずかしそうに隅に立つ、死んだ弟の生き寫しのようないアルフレッドと、腕の中のらしい赤子を互に見た。

そこには真っ新な未來がある。

「この子達の語は、まだ未明なのね」

腕の中でキョトンとイリスを見上げる息子の、メフィスト譲りのエメラルドの瞳と。イリス譲りのけるような金髪。誰もが見惚れるようなしい顔立ち。

天使のような我が子にキスを贈りながら、イリスは呟いた。

「この先あなたがどんな語を紡ぐのか。とても楽しみにしているわよ、私のエヴァンドロ」

微笑むイリスは、する夫の手と息子の手を握りながら。き通るような空の瞳を、皇宮の外に広がる帝國へと向けたのだった。

語完結後の世界線で「やっぱり君を聖にする」と神様から告げられた悪役令嬢の華麗なる大逆転劇 完

読んで頂きありがとうございました!

これにて完結となります。

応援して下さった皆様のおでここまで來ることができました。

本當にありがとうございました。

余談ですが、この18年後、アルフレッド・タランチュラン公爵はマリアンジェラという名前のらしいの子を授かります。

イリスとメフィストの子供、エヴァンドロのその後が気になる方は、ぜひ短編『悪役令嬢に転生して無雙しようとしたら婚約者がお子ちゃま過ぎて対象外だったので、婚約者の父親(職業:皇帝、18歳差イケメン寡夫)を攻略することにしました』をお暇潰しにどうぞ!

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