《[書籍化]最低ランクの冒険者、勇者を育てる 〜俺って數合わせのおっさんじゃなかったか?〜【舊題】おい勇者、さっさと俺を解雇しろ!》0話

新作です! 他にエタってる作品を書かないといけないのですが、こっちを書きたかったんで優先してしまいました。

私の他の作品を読んでくださった方は、この作品も読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします!

「俺について行った先に輝かしい勝利を見てるんだったら、それは幻想だ。俺は華々しい勝利なんてのは與えられない。できることは小狡く、小賢しく、卑怯に卑劣に貪に、ただ勝ちに行くだけだ。見ている奴は非難するかもしれないし、お前たちを軽蔑するかもしれない。それでもいいのか?」

そう。所詮俺はその程度のやつだ。かっこいい勝利なんてできない。誰もが憧れるような、素晴らしい果なんて出せない。

できるのはただ一つ。みっともなく生き足掻くだけ。

だがもし、もしそれでもいいと言うんだったら……。

「……冒険者に必要なのはカッコよく戦うことではなく、這いつくばってでも生き殘ることです。そう教えてくれたのは、あなたですよね?」

俺の言葉を聞いた目の前のは、もっと違う冒険者の姿というものを想像してたはずだ。もっと違う、冒険者というものの理想の姿。

強く、カッコよく、凄い力で誰も彼も助けてしまう……そんな英雄みたいな冒険者の姿。

「あなたの教えをけたのはたった一ヶ月程度のことだったけど、それでもその教えは私の中で『冒険者である私』を作る土臺になっているし、そのことを間違いだとは思っていない。だから、今更その程度のことで迷うつもりも、うつもりも、ありません」

だがそれでも、そんな本來の理想を捨ててでも勝ちたいと願い、俺みたいな最低位の冒険者に頭を下げている。

そんなの姿を見て、俺は小さく息を吐き出すと俺を見るをまっすぐと見つめた。

「……なら、勝たせてやる」

「はい!」

そして俺たちはき出す。譲ることのできない大切な想いを守るために。

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