《[書籍化]最低ランクの冒険者、勇者を育てる 〜俺って數合わせのおっさんじゃなかったか?〜【舊題】おい勇者、さっさと俺を解雇しろ!》出會い
「ちょっとどうしてよ!?」
「あん?」
だが、俺たちが付にたどり著くと、隣の付からさの殘るのぶ聲が聞こえた。
「どうして、と言われましても、現在あなた方に紹介できる冒険者の方はいないのです。現在──」
「だからそれがどうしてって聞いてんの!」
「ちょっと佳奈、落ち著いて。今お姉さんが話してる途中だったから。最後まで聞こう? ね?」
たちは三人いて、そのうちの一人が付のを相手に怒鳴っているが、それを三人のうちもう一人が宥めている。
友達、だろうか。そのに宥められ、んでいたは渋々という態度を前面に押し出しながら黙った。
「ごめんなさい。さっきの続きをお願いしてもいいですか?」
「いえ、こちらも言葉が足りなかったようで申し訳ありませんでした」
とりあえず謝るのが日本人。クレーマーにはなれているのだろう付のは、相手が子供であっても丁寧に頭を下げて対応している。
「あなた方に冒険者を紹介できないと言いましたが、正確にはあなた方以外にも冒険者を紹介できない狀況なのです。現在この組合の管理下にある地域で三つのダンジョンが同時に発生しました。それ自は珍しくはあっても異常なことではないので問題ないのですが、その三つのダンジョンの調査、及び戦闘待機として多くの冒険者が駆り出されたのです。ですので、ご紹介できるほどの冒険者が余っていない、というのが現狀なのです」
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へぇー、三つ同時か。確かに珍しいことだが、ないわけじゃないな。
それにここの規模だと三つなんてとりあえずの調査をするだけでせいいっぱいだろう。これは冒険者の総數がないから仕方がないことだ。
と言っても、これでもここは多い方なんだけどな。何せここには冒険者育のための學校がある。首都ではないけど、首都から一時間ちょっとでくることのできて周りに田んぼの多かったここは丁度よかったんだろう。冒険者のための施設って結構場所とるし。
「……では、今日は仲間を集める事はできず、私たちはダンジョンにれないって事ですか?」
「あなた方があと一人用意してる分には許可できますが、こちらでご紹介する事はできません」
ダンジョンにるのに最高は決められていないが、最低でも四人必要だ。これは法律で定められていることで、それ以下でれば罰則がある。
まあそれだって『基本的には』、だけどな。何事も特例ってのはあるもんだ。例えば……世界最強、なんて冗談みたいな名前で呼ばれるようなやつとかな。
「あ? 何見てんだ? いい歳したおっさんが子高生を見つめてると事案だぞ?」
「は? バカ言うなよ。そっちじゃねえって。三つのダンジョンの方だ」
隣の騒ぎを見ていたら、一緒にいた仲間にそんなことを言われたのでそっちに視線を戻すと、鍵を返し終えてもう帰るところだったようだ。
「ああ、それね。俺たちは新規のダンジョンなんて危険ばっかりで潛らないけど、金にはなるからな」
「でも普通のダンジョンに潛って稼いでるだけでも十分な稼ぎにはなるだろうに……わざわざ命の危険を冒してまで金がしいもんかね?」
俺だったら命が惜しいけどな。実際『お勤め』が終わったらすぐにでも冒険者をやめようと思ってるくらいだし。
「知ってるか? 『危険を冒す者』って書いて『冒険者』って呼ぶんだぜ!」
「あーはいはい。知ってる知ってる」
「金より命だろ」
「まあ金があるに越した事はないけど、俺たちは高みすると本當に死ぬからなぁ」
チームの仲間とそんな風に話しながらその場を離れていくが、最後にチラッとだけ後ろを振り向いて騒いでいたたちを見た。
……あ、目があった。
「で、だ。今月のノルマはもう終わったし、後は各自自由に解散でいいよな?」
騒いでいたを止めた子と目があったが、仲間の聲を聞いてすぐに前へと振り向く。
「ああ」
「いいよ」
「俺も」
「んじゃあ、次に集まんのは二週間後でよろしく。まあその間もダンジョンには潛んないけど筋トレと準備は怠るなよ。後たった三ヶ月なのに死んだらシャレになんねえからな」
「わかってるよ」
後三ヶ月……のくだりで俺を見たので、俺は肩を竦めて返事をすると他の二人も頷いた。
「じゃあかいさ──」
「あの!」
今月の『お勤め』のノルマが終わったので解散しようとチームリーダーが宣言しようとしたのだが、その言葉は聞き覚えのある聲によって遮られた。
いや、聞き覚えがあるって言うか、この聲さっき聞いたばかりだわ。
「ん?」
もう解散気分でいた俺たちはかけられた聲にとっさに振り向くが、そこにはやはり先ほど聞いた聲の主である三人組のの一人がいた。
「えっと、その……失禮ながらお話を聞いてしまいました。ごめんなさい」
「え? ああいや、別に構わないけど。俺たちも隠そうとしてたわけでもないし?」
突然若いの子に話しかけられたからか、我らがリーダー、ヒロこと渡辺弘は困を見せながら答えた。
お前、結婚してるくせに照れんなよ。あとで嫁さんに伝えちまうぞ?
「それで、々聞きしたいことがあるのですが、皆さんは本日の『攻略』を終えたのですよね?」
「ああ、まあ」
「もしよろしければ、私たちと一緒に攻略に參加していただけないでしょうか?」
のその言葉に俺たちは顔を見合わせる。
まだから話を聞いていないが、なぜそんな事を言ったのかその理由はおおよそ見當がつく。おそらく、仲間が足りないんだろう。
の後ろへと視線を送るが、見たところそこには先ほど騒いでいたともう一人の大人しめなじのしかいない。
軽く周囲へ視線を巡らせるが、この子たちの仲間や知り合いといったじの者はいない。
ってことはだ、この子たちはダンジョンにろうとして最低人數不足で止められたってことだろう。
と言うかそんな話をさっき橫でしてたし。
で、丁度隣に俺達ダンジョン攻略を終えた奴らがいたからメンバーとして參加してもらえないか話しかけたとかそんなところだろう。
俺たちのリーダーであるヒロもその事を理解したのか、俺たちから話しかけてきたへと視線を戻すと、相手を怖がらせないためにか普段よりも優しげで丁寧な口調で諭すように話し始めた。
「……いきなりそんなことを言われてもな。わかってるとは思うが、ダンジョンってのは危険なところだ。るんだったらどんな場所でも命の危険が伴う。それを組合の紹介もなく會ったばかりの人から『一緒に來てくれ』なんて言われても、すぐには頷けない」
「……はい」
本來なら組合がチームを組んでいない人や、チームでの活予定がっていない人を確認して推薦してくれるのだが、さっき言ったように今日に限ってはそれができない。
だから組合に頼らずに自分たちで殘りのメンバーを探さないといけないわけだが、基本的に組合で紹介していない者同士のチームは推奨していない。
それが元々の知り合いなんかだったり知り合いの紹介だったりするのなら別だが、全く見ず知らずの相手と組むのは本來なら避けるべきことだ。
何せダンジョンの中は化けだらけの危険地帯。そんな場所でお互いによく知りもしないのに連攜してお互いの不足を補い合って進めと言うのはなかなかに厳しい。
技量も格もわからないのだから、ダンジョンの中で喧嘩をするかもしれない。そうなったらかなりやばい。お互いに足を引っ張って共倒れ、なんてのは割とよくあることだ。
加えて、よくお話にあるようにダンジョンの中は無法地帯。一応殺しやそれに類することはじられているが、監視カメラがあるわけでもなし、中で何があってもわからない。
だからこそ、本當に信頼できる仲間と一緒じゃないとダンジョンには潛れないのだ。
優等生だった子爵令嬢は、戀を知りたい。~六人目の子供ができたので離縁します~(書籍化&コミカライズ)
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