《[書籍化]最低ランクの冒険者、勇者を育てる 〜俺って數合わせのおっさんじゃなかったか?〜【舊題】おい勇者、さっさと俺を解雇しろ!》チーム加

「おっし、じゃあお勤めは終わったし、しばらくはゆっくり休むとすっか!」

「今までお疲れっしたー」

「かいさーん」

「ちょっ、待てや!」

「やだよ。こちとら朝帰りで疲れてんだ」

「はは、朝帰りっつっても、嬉しくないやつだけどな」

「じゃあヒロ、あんたはとなら朝帰りしてもいいのか?」

「あー、それもなしだなぁ。嫁に殺される」

そうして俺のチームメンバー……いや、〝元〟チームメンバー達は俺の靜止の聲を無視して談笑しながら組合の建を出て去っていった。

……あいつらは、本當に俺のことを考えてくれていたのだろうか?

っつーか朝帰りだってんなら俺も同じだこのやろう!

「くそっ、あの薄者どもっ……!」

「えっと、それじゃあまずは自己紹介をしませんか? 私は宮野瑞樹。剣士の特級です」

「淺田佳奈。役割は戦士の一級。使う武は大槌」

「わ、私は北原柚子です。治癒師の一級で、みんなの治癒を、その、しています。よろしく、お願いします」

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元チームメンバーの背中を見ながら悪態をついていると、達が俺に話しかけ、自己紹介を始めた。

……はぁ、いつまでも駄々をこねてる訳にはいかないか。もうどうしようもないんだし、これ以上はみっともない。すでに醜態を曬した気もするけど、そこは気にしないでいこう。

「……不本意ながら仲間に売られて加することとなった伊上浩介だ。分類は魔法使いだが実際の役割は遊撃。……三級だ」

「ふん、何よ三級のくせに不本意ながら〜、って。それに遊撃? そんな役割があんたなんかにできるの?」

俺が自己紹介をすると、淺田と名乗ったさっき付で騒いでいたが不満そうな態度を隠すことなくそう言った。

……まあ、こいつらの階級を考えればそう言いたくなるのもわからないでもない。

だが……

「……はぁ。やっぱり失敗だったかもな」

「何よ。なんか文句でもあるわけ?」

思わずため息を吐いてしまった俺の態度が頭にきたのか、淺田は眉を寄せ、怒りを聲に乗せて突っかかってきた。

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だが俺は、それに対して俺が先程ため息を吐き出してしまった理由を丁寧に教えてやることにした。

「遊撃ができるか、って言ったな? バカかよ。できるから生きてこれてんだ。ダンジョンにったこともないようだから言っておくが、あそこじゃあ役割を果たせなかった奴がいれば全滅する。嫌々ながらやってきたが、それでも五年近くあのクソみたいな場所で生き殘ってきたんだ。冒険者としての信頼は、一級でも何もなしていないお前より、三級で何年も生き殘ってきた俺の方が高い。それを頭にれておけ、新人」

そこまで言うと何も言えないようで、淺田は……いや、彼だけではなく他の二人も黙り込んでしまった。

黙ったのでちょうどいいと、改めて達の姿を確認していく。

宮野と名乗った最初に話しかけてきたリーダー的なは、黒く艶やかな長髪を後頭部でひとまとめにし、歳のためかもきめ細かく傷一つない。

長い髪をまとめていることから、最低限の準備なんかはできているんだろうけど、そもそも髪が長いって時點でどうなんだと思わざるを得ない。何せ戦いの中では髪が長いというのは不利として數えられるから。

確かに髪が長いことで利點もある。

それは、髪には魔力を溜められるってことだ。髪が長ければその分だけ魔力の貯蔵量が増えるので、冒険者であっても髪をばしている奴はいる。

だが、それは後衛に限った話だ。

同じ覚醒者——冒険者とは言っても、前衛と後衛では全く違う。

後衛はの魔力を使って魔法を使うことができるが、前衛は魔力を使えないのだ。

ただ単純に能力が高いだけ。それが前衛だ。

つまり、魔力を使うことのできない前衛は髪をばす必要はないのだが、この子は剣士だと名乗ったにもかかわらず髪をばしている。

ってことはだ、単なるファッションであるってことだ。

まあ、特級という力を考えればその程度はどうにでもなるような些細なものなのかもしれないな。

んで、次は淺田というだが、こっちはさっきの宮野に比べて背が高く、ガタイもいい。……の子にガタイっていうのはどうなんだ?

まあとにかく前衛系の格をしている。

髪は染められており、金髪になっているが、こっちは宮野とは違って短めの髪だ。

後は……特になし。強いていうなら相手をするのがめんどくさそうってくらいだな。

最後は吃りながら自己紹介をした北原って地味目な

だがそのは地味とは言えない。本人の格とは違ってかなり自己主張が激しい。

……ダメだ。おっさん臭いがどうしてもそっちに目がいく。

ま、まあ他に何か言うのならこの子も髪が長いってことだな。だがこっちは宮野に比べて特におかしいわけではない。何せ治癒師——魔法使い系なのだから、魔力タンクって意味でも髪の長さは重要になる。かく言う俺も男にしては長めの髪、で後ろで縛ってるし。

ここに後一人今日は休んでる子がるんだろうけど、その子は弓兵か斥候、もしくは魔法使いだろうな。しかも多分その子も一級だろうな。流石に特級はないと思う。

ま、全的にはそれくらいか。四人目次第だけど、一応前衛と治癒師がいるんだからバランスは取れていると言えなくもない。

これでここにいる三人が前衛だったら、いくらなんでも俺だってチームにるようなことはしなかった。

「それで、どのダンジョンに潛るつもりだったんだ?」

「え?」

とりあえずここで固まってても仕方がないので話を進めることにしたのだが、——宮野は不思議そうな表で首を傾げた。

「ダンジョンだよ。行くつもりだったんだろ? そのために準備したんじゃないのか?」

「あ、はい。ですが、伊上さんは大丈夫ですか? ダンジョンから戻ってきたばかりのようですし、別の場所に潛るとなると裝備も変わるんじゃ……」

「大丈夫だ。初心者が選ぶ程度のダンジョンなら合わせられる」

確かに今の俺は泊まりがけでダンジョンに潛ってたせいで疲れてるし眠いし、道なんかも萬全ではなく消耗している。

だが、初めてダンジョンに潛る達についていく程度ならなんの問題もない。むしろ道類に関しては持ちすぎているとも言えるほどだ。

「ふんっ、そんな調子にのってるだけの実力があるのかしらね」

「問題ねえよ」

俺とこの子達を階級だけで判斷するのなら向こうのほうが格上だが、実戦となれば負ける気はしない。いや直接戦闘の話じゃなくてダンジョンでの貢獻度の話な? 正面切って正々堂々戦ったらそりゃあ負けるさ。階級ってのはそれくらいに無慈悲なもんだ。

「それじゃあ、目的はここなんですけど、大丈夫ですか?」

俺の言葉に納得したのか宮野は冒険者用の耐熱耐水耐衝撃の加工が施されている特別仕様の攜帯端末を取り出してそれを作するとその畫面を俺に見せた。

だが、俺はその畫面を見て思わず眉を顰めてしまう。

「小鬼の? ……お前ら初めてのダンジョンなんだよな?」

「はい。……何か問題でもありましたか?」

「小鬼──ゴブリンってのは醜悪な姿をした人型のモンスターで、その知能は人間でいう四歳くらいの知能を持ってる」

四歳くらいの人間の子供と言ったら侮るものが多いのだが、実際にはそんな油斷できるほど簡単な相手じゃない。

子供ってのは意外と殘酷で、遊びなんかであっても罠を張ったり騙し討ちなんかをしたりする。

鬼ごっこやかくれんぼを思い出してもらえればわかるだろう。

鬼ごっこではに隠れて見つからないように移しててきを背後から狙うし、隠れるのだって大人の常識からすればありえないところに隠れたりする。

小鬼のは、そんな人間の子供達と同じような知能を持つゴブリン達が暮らしている窟だ。

考えてみてしい。そんなもの達が悪意と害意と殺意を抱いて兇を手に襲いかかってくるのだ。危険でないわけがない。

ファンタジーを知ってる戦ったことのない一般人ならゴブリンと聞くだけで侮るかもしれないが、とんでもない。初心者の一割くらいはこいつらにやられて死ぬのだ。學校や組合でその怖さを教えているはずなのだが、いかんせん名前からイメージが先行して侮ってしまうのだろう。

それに加えてもう一つ、初心者にとってはかなり厄介な點があるのだが……この達はそれを理解しているのだろうか?

「知ってるわよそんなの。何? 自分の知識を自慢したいわけ?」

「……わかってるならいい。話を止めて悪かったな」

淺田は俺の言葉にそう反論したが、俺の言った言葉の意味が本當に分かっているんだろうか? 詳しく聞いた方が……いや、やめておくか。

俺はあくまでも臨時でったにすぎない。そんな俺があれこれ口出しをすれば、あまりいい空気になるとは思えないからな。

準備してるって言ったし、大丈夫だろ。大丈夫じゃなくても、問題が起きるとしたらり口付近だろうし、まあ、三人くらいなら連れて逃げられるはずだ。

「えっと、それじゃあダンジョンに向かうけど、みんな大丈夫?」

宮野のその言葉に俺を含め他のメンバーも頷き、組合の建を出てダンジョン口であるゲートのある場所へと移し始めた。

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