《[書籍化]最低ランクの冒険者、勇者を育てる 〜俺って數合わせのおっさんじゃなかったか?〜【舊題】おい勇者、さっさと俺を解雇しろ!》私たちを勝たせてください
「──あー……ほんっとーーーー、に暇ね」
錬金室にて作業をしていると、宮野達が本當にやってきた。
だが、しばらく俺の作業の様子を見ていたのだが、前衛である淺田は俺が何をやっているのかわからないようで退屈をしていた。
「そう言っただろ。聞いてなかったのか?」
しかしそうなるだろうということは、半ば分かっていたことなので俺は適當に答えながらそのまま作業を続ける。
「聞いてたけど、もっとこう、何か見られると思ったの」
「そりゃあ殘念だったな。まあ、ここにいても暇だってんなら、訓練場のほうに行ったらどうだ? 空いてたら、だが」
「んー……うん。空いてるみたいだし、そうする」
「一応治癒師の北原は連れてけ。まあ北原本人がいいって言ったらだけど」
「わ、私は構いません」
「なら決まり」
そしてついには作業を見るのをやめることにしたようだ。まあ、これも予想通りって言えば予想通りだけど。
その際、淺田は一瞬何かを言いたげに俺を見ていたが、結局は何も言わなかった。
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「安倍は……」
「私はいい。ここで見てる」
「……楽しいか?」
「うん。綺麗」
「……ああ、お前は俺の魔力が見れるんだったな」
普通なら魔力量の関係で見えないはずの俺の魔力だが、こいつはそれを見ることができる。故に、他の三人とは作業の見え方も違うのだろう。
「楽しいならいいが……まあいい。と言うわけだから、お前らはさっさと行け」
「え、あの、瑞樹ちゃんは……」
「いいの。いくよ柚子」
宮野もおうとする北原だが、それを淺田が止めて強引に連れていった。
何もこれは宮野が仲間外れにされているとかではない。淺田の格からして、嫌なことがあっても強引にぶつかって喧嘩するだろうしな。
だから淺田が宮野に聲をかけることなく北原と出ていったのは、理由がある。
訓練室にいくことを決めた時に俺のことを見ていたのは、その『理由』が関係しているんだろうな、とは思う。
「あいつ、意外と察しとか面倒見いいよな」
「佳奈はあれで子供好き」
そんな淺田の背を見送って誰にいうでもなく呟くと、安部が反応してそう言葉を返してきた。
「……そうなのか?」
「たまに児施設とかのボランティアに行ったりしてる」
「意外……でもないのか?」
髪を染めたりしてるし、見た目や態度はなんかチャラいじがするが、面倒見の良さを考えればおかしいと思うほどのことでもない気はする。
「それと……」
「ん?」
「私はこれから錬金作業にる」
「確か錬金はできないとか言ってなかったか?」
「できないことをいつまでもできないと言っているのはよくない。ちょうどいい機會だからやってみる」
間違ってるわけでもないが……なんだか突然だな。
「だから、そっちは任せた」
「ああ、なるほどな。安倍も、意外とお節介というか、やる気なさそうに見えて、やる時はやるんだな」
「それはコースケも同じ。そのために二人を行かせた」
「まあな。だがまあ、期待はするなよ」
「ん。期待してる」
そう言いながら安部は俺が使っていた錬金臺とは違う、し離れた場所にある錬金臺へと向かった。
期待するなって言っただろうに、まったく……。
……さて、こんな時になんて言葉をかけたもんか。
淺田も安部も普段とは違っていたのは、宮野の様子がおかしかったからだ。
なんというか、落ち込んでるってわけじゃないんだが、雰囲気が暗くなってる。敢えて言うなら思い詰めてるじだな。
それが何故なのか分からない。淺田と北原が朝あった時は普通だったらしいが、安部を迎えに行ったあとに様子がおかしくなったらしい。
こうして俺と宮野だけが殘った狀態になったのは、三人が聞いても教えてくれなかったからお前がどうにかしろと俺に任せたのだろう。
俺としては子高生の悩み相談なんてやった経験はほとんどない。々が中學生の姪の相談をけたのと、この夏休みにこのチームの奴らから相談をけたくらいだ。
それを踏まえると、俺に子高生の悩みを解決するってのは荷が勝ちすぎてると思うが、やらないわけにはいかない。
こんなはっきりと態度に出るくらいの悩みがある狀態でダンジョンに潛っても死ぬだけだからな。
とりあえず、話してみないことには何も変わらないか。
「宮野」
「ごめんなさい。でもみんなに迷はかけませんから、だいじょ——」
「強がるのは勝手だし、好きにすればいいと思う。が、チームに関わることは話せ。じゃないと、それがたとえチームのためを思っての行だったとしても逆に迷になるぞ」
俺が聲をかけた瞬間にこちらの顔を見ないまま答えようとした宮野だが、俺はその言葉を遮って話しかけた。
「……めてくれないんですね」
「俺がそんなことをすると思うか?」
ここでめたところで意味はない。なんで落ち込んでいるのか分からないのに何か言ったとしても、的外れなことを言うだけだからな。
「どうでしょう? でも、多分すると思いますよ。伊上さん、普段は私たちから距離を取ってますけど、チームのためなら真剣にいてくれる人ですから」
今までの冒険の間も、仲良くなりすぎないように気を付けていた。
それは子高生との行に慣れてないから、とか言っておいたんだが……そうか、距離をとってたのはバレてたのか。
「……そうか?」
「そうですよ」
「それはまあ、ありがたい評価だが……でもそうだったとしても、お前はめてほしいと思ってないだろ? いや、そもそも悲しんでるわけじゃない。お前がじてるそれは多分だが、怒りだろ?」
「……すごいですね、伊上さん。なんでもお見通しですか」
「分かり易すぎるだけだ」
「ですか」
悲しんでるだけにしては、あまりにも周りを寄せ付けなさすぎる。
思い詰めているんだとしても、かられてる魔力は些か攻撃的すぎた。
そんな狀態の宮野のは、俺でなくてもそれなりのやつなら気がつくだろう。
「で、お前は何を思い詰めてる? 何に対してそうも怒ってる?」
「……夏休みが明けてしすると今度は育祭があるんですけど、この學校の育祭は冒険者育學校らしいものになってまして……って、伊上さんもこの學校にいたんですからご存知ですよね」
俺の問いかけにしばらく黙った宮野だったが、ゆっくりと普段とは違って小さな聲で話し始めた。
「育祭? ああ、そんなものもあったな」
正直育祭と言われても印象にない。俺は、と言うか短期組は參加してないからな。參加していないって言うか、そんな時間がなかった。
「その育祭……と言うかランキング戦で挑まれました」
「なるほどな」
「ですが、相手は私たちよりも上位のチームでして……」
「勝てる可能が薄いってか?」
「……はい」
こいつらは學生にしては結構やる方だと思ってたんだが、それでも勝てないのか?
となると、相手にも特級がいるかね? もしくは全員一級で連攜がすごいとか。
流石に俺みたいな奴はいないだろうから例外としていいだろう。全員が俺みたいな戦い方をするんだったら俺のアドバンテージとかなくなるからな。
「そもそも、なんでそんなふうに絡まれたのか、ってのは、聞いてもいいのか?」
「私が特級だからです」
「特級だから? ……自分のチームにれって?」
「……はい」
「なら相手は、あの生徒會にってるとかいう一年か?」
以前俺がこの學校に來たときに、門のところで遭遇したお嬢様。あれは確か特級だったはずだし、宮野のことを自のチームにれようとしていた。今の條件に當てはまる相手だ。
そんな俺の言葉に宮野は小さく頷いたが、その様子はわずかに震えている。
「で、どうしたい……いや、俺にどうしてしいんだ?」
宮野瑞樹というは強い子だ。それは才能という點だけではなく、心の方も強い。大抵のことは自分でどうにかしてしまうだろう。
そんながこうして弱いところを見せているんだ。ならばその理由は、俺に何か頼みたいことがあるんだと思う。でなければ彼はこんな風に話したりしないだろうから。
「お願いします。私たちを勝たせてください」
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