《【電子書籍化】神託のせいで修道やめて嫁ぐことになりました〜聡明なる王子様は実のところ超溺してくるお方です〜》第二十九話 まだ、エレーニは知らない

カイルス宮殿の悲劇以降、事態は誰にも予測できず、反の火は瞬く間に広がっていった。

ハイペリオン帝國は皇帝が暗殺された。皇太子以下生き延びた皇帝一族は隣國ミナーヴァ王國へ向かおうとして、カイルス王國の反軍に呼応した民衆に取り囲まれ、一人殘らず斬殺され、はミナーヴァ王國との境にある川へ投げれられた。それを見ていたミナーヴァ王國の軍は、反軍優位と見るなりミナーヴァ王國の王侯貴族たちを捕縛しはじめた。もっとも、半數以上の王侯貴族はカイルス宮殿で消息不明となっているため、わずか二日で國の王侯貴族は全員捕まり、処刑を待つとなった。

そして、エレーニの故郷ウラノス公國では——最の娘、公ポリーナの最期を伝え聞き、ウラノス公は発狂死した。その後、重臣は皆逃げ出し、騎士団もいなくなったウラノス公國は、一夜にして崩壊した。城は焼き払われ、民衆は自由のとなり、ウラノス公國からは誰もが逃げていった。

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カイルス王國の民衆たちが始めた反は、どこまでも広がっていく、かのように見えた。王國貴族を憎み、民衆たちが立ち上がって舊時代の何もかもを破壊していく。その波は、大陸中心のステュクス王國まで到達するのではないか、という恐怖の伝染が起こることを危懼し、アサナシオスをはじめとしたステュクス王國の指導者たちは人心鎮を徹底する。

ところが、カイルス王國の民衆たちは、ステュクス王國と手を組んだ。王侯貴族のいない新しい理想の國を作る、その旗印を掲げ、ステュクス王國から真っ先に國家としての承認と支援の約束をけた。

これがすべての転機となった。カイルス王國の影響をけたハイペリオン帝國とミナーヴァ王國の民衆たちも、同じことをんだ。まぬ過激派は、ステュクス王國から送り込まれてきた軍隊に討伐されていった。すでに滅んだ舊ウラノス公國も含め、四カ國は一つの共同を作り、コスモ連邦という巨大な新興國となって大陸に新風を巻き起こす。

それらはすべて、アサナシオス王子とニキータの謀ったとおり、ステュクス王國主導での國際新制の確立へと導かれていく。何せ、ステュクス王國には憎むべき貴族がいない。王族は聖職者であり、大陸全土のオケアニデス教徒が信を置く。そもそもステュクス王國は民衆へほとんど稅を課しておらず、自主的な貢納と各種産業の利益、地代だけで國家運営がり立つ稀有な態勢だ。貴族からも民衆からも、憎まれる筋合いは一切なかった。

さて、ヘメラポリスとアンフィトリテは、ステュクス王國調停のもと、戦爭を終結させた。どちらも王侯貴族の統治する國家から新制へ徐々に移行することとなり、それもまたステュクス王國の後ろ盾を必要とした。神聖なる主神ステュクスに誓って舊制である王侯貴族のような愚昧な政治はしない、という制約を課されることで、民衆の支持を得るためだ。ただ、両國はまだ王侯貴族が生き殘っているため、彼らに溫を、という聲もあってしずつ事を変革していくことがれられた。その他の國も、同じような流の中、変化を迫られていく。

これらのことは——まだ、エレーニは知らない。夫であるアサナシオス王子が、報を制限していた。

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