《【電子書籍化】神託のせいで修道やめて嫁ぐことになりました〜聡明なる王子様は実のところ超溺してくるお方です〜》第四十四話 姫と騎士
今日はレテ神殿の祭壇を作るため、私はコーリャ青年を伴って街の鍛冶屋にやってきた。
祭壇と言っても、飾るものはそう多くない。サナシスが大理石の石壇を手配してくれたので、その上に置く燭臺や私が持つメダルの柄をあしらった供を捧げるためのプレートを作るだけだ。忘卻の神レテは清貧を好むし、私の記憶では修道院でもそのくらいしか祭壇の上にはなかった。祈る方法も単純、ただ瞑想して過ごすだけだ。場所はどこでもいい、一日一回適當にやるだけだった。だから、祭壇は極論、必要はなかったりする。
それでもレテ神殿騎士団の面々にとっては信仰の中心となるべきところだから、裁は整えなくてはならない。
支給された真新しい白と青の騎士服を著たコーリャ青年が、私を先導して路地を進む。
「いやあ、ウラノス公國からここへ來るまでほぼ著のみ著のままだったので、新しい服をいただけて助かりました。生活も安定するでしょうし、何から何までアサナシオス王子殿下とエレーニ様のおかげです!」
Advertisement
「そうですか、それならよかった。でも、皆は元々別の信仰を持っているのでしょう。忘卻の神レテに仕えることには、抵抗があるのではありませんか?」
「ああいえ、そうでもないのです。騎士というものは……勝利の神ニケや強さの神クラトスを信仰することもありますが、あまり熱心ではありません。仕える主君のほうが大事ですからね。ただまあ、これからは忘卻の神レテを信仰しなくてはならないと思うと、どう信心を表すべきなのか、我々には経験がなく困ったものです」
なるほど、そんな悩みがあったのか。
一般の人々は、私が思う以上に信仰の仕方が分からないのかもしれない。それか、私よりもずっと適當にしているか。それ自は別にいい、大したことではないから。忘卻の神レテもそううるさく言わないだろう。
私はコーリャ青年を安心させるためにも、そのことを教えておく。
「大丈夫ですよ。忘卻の神レテは寛大なお方ですから、一日一回の瞑想さえ欠かさなければ問題ありません。あとは贅沢をしないこと、節制に努めることくらいでしょうか。そのあたりは他の神々と変わりません」
「そうなのですか! 帰ったら皆に伝えないと!」
「そうしてくださると助かります」
とはいえ、騎士の數は二百人余り。伝えるにはなかなか労苦がいる。
となれば、別の方法を採ろう。私はコーリャ青年へ尋ねる。
「騎士の皆は、文字の読み書きはできますか?」
「はい、それはもちろん」
「では、簡単な信仰の手引きを作ります。それを皆に配り、參考にするようお伝えしましょう」
「おお! それなら皆も喜びます! あれです、伝言ゲームだと間違って伝わりますからね……」
私はその伝言ゲームとやらはやったことはないけど、そういうものらしい。
上機嫌で気なコーリャ青年の背中を見ていると、何だかこういう時間の過ごし方もいいものだな、と私は思う。今まで街を散策することなんてしたことがない、城や人里離れた修道院、ステュクス王國に來てからは王城、ニキータとサナシスに一度ずつ食堂(タベルナ)へ連れていってもらったこと。そのくらいしか、私にとっての外出先はなかった。
楽しいことをやってもいいのだ、と神の許しを得たかのようだ。
「鍛冶屋はこの先です。燭臺とプレートでしたよね? どちらもオーダーになるでしょうから」
「コーリャ」
「はい、何でしょう!」
私は振り返ったコーリャ青年へ、一杯の謝を伝える。
「ありがとう。連れてきてもらって、すごく楽しい」
すると、コーリャ青年は顔を赤らめて、飛び上がりそうなほど背筋をばした。
「み、に余る栄です、エレーニ様!」
「それほどのことかしら」
「はい! 騎士として、姫の信任を得ることがどれほど栄か!」
そうだった、コーリャ青年は騎士だったのだ。今もなお、私とコーリャ青年の間には、姫と騎士という関係が続いている。
まあ、コーリャ青年が喜ぶならいいか。私は、その期待に応えてお姫様をやらせてもらおう。
「では、エスコートしてくださいますか、騎士様」
「喜んで!」
コーリャ青年は紳士的に、歓喜に満ちた表でを張って、私をすぐそばの鍛冶屋まで連れていく。
その様子は、何とも微笑ましかった。
【書籍化&コミカライズ】創成魔法の再現者 ~『魔法が使えない』と実家を追放された天才少年、魔女の弟子となり正しい方法で全ての魔法を極めます。貴方の魔法は、こうやって使うんですよ?~
【オーバーラップ文庫様より2/25書籍一巻、3/25二巻発売!】「貴様は出來損ないだ、二度と我が家の敷居を跨ぐなぁ!」魔法が全ての國、とりわけ貴族だけが生まれつき持つ『血統魔法』の能力で全てが決まる王國でのこと。とある貴族の次男として生まれたエルメスは、高い魔法の才能がありながらも血統魔法を持たない『出來損ない』だと判明し、家を追放されてしまう。失意の底で殺されそうになったエルメスだったがーー「血統魔法は祝福じゃない、呪いだよ」「君は魔法に呪われていない、全ての魔法を扱える可能性を持った唯一人の魔法使いだ」そんな時に出會った『魔女』ローズに拾われ、才能を見込まれて弟子となる。そしてエルメスは知る、王國の魔法に対する価値観が全くの誤りということに。5年間の修行の後に『全ての魔法を再現する』という最強の魔法を身につけ王都に戻った彼は、かつて扱えなかったあらゆる魔法を習得する。そして國に蔓延る間違った考えを正し、魔法で苦しむ幼馴染を救い、自分を追放した血統魔法頼りの無能の立場を壊し、やがて王國の救世主として名を馳せることになる。※書籍化&コミカライズ企畫進行中です!
8 179【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜
※書籍化します! 10/1にKラノベブックス様で発売! コミカライズも決定してます! 史上最強の勇者である俺・ユージーン。 魔王を討伐した後、気づけば俺は貴族の息子・ユリウスとして転生していた。 どうやらこの世界の俺は、魔力ゼロの忌み子として、家から見捨てられていたらしい。 優秀な雙子の弟と比べられ、わがまま王女な婚約者を寢取られ、學校や屋敷の人たちからは無能とさげすまれる。散々な日々を送っていたみたいだ。 しかし別人に転生した俺は、それらを全く気にせず、2度目の人生を気ままに過ごすことを決意する。 このときの俺は知らなかった。 ここが勇者のいた時代から2000年後の未來であること。 平和な世界では、魔法も剣術も、すさまじくレベルが低下していたことに。 勇者としての最高の剣術、魔法、回復術、體術を引き継いだ狀態で転生した俺は、衰退した未來の世界で、自覚なく最強の力を振る。 周囲の悪評と常識をことごとく覆し、戀人や家族、そして俺を馬鹿にしていた弟からは嫉妬される。 けれどそんなこと全く気にせず、俺は今日も自由をただ謳歌するのだった。 ※書籍化に合わせてタイトル変更しました 舊「落ちこぼれの兄の方が実は最強〜史上最強の勇者、未來の世界へ転生する。優秀な弟に婚約者を寢取られ、家や學校からも無能と蔑まれてたが、前世の力を引き継ぎ気ままに生きてたらいつの間にか目立ってた」
8 75「もう・・・・働きたくないんです」冒険者なんか辭めてやる。今更、待遇を変えるからとお願いされてもお斷りです。僕はぜーったい働きません。【漫畫1巻+書籍2巻】
元E級冒険者のエクス19才。 才能の全てを【効果時間延長】に特化した異才の魔導師は、14才から冒険者になり5年間。真面目に頑張った。 しかしながら、少年は魔導師としては早熟だったが、人生経験は未熟だった。 お人好しの彼は周りの大人達にいいように搾取されていき、年中無休で奴隷のようにこき使われながら、馬鹿にされる日々を過ごす羽目に。 ついに過労で倒れてしまい玄関先で目を覚ましたある日。涙が止まらなくなり、ようやく自分の心と向き合う。 こんな仕事、辭めてやるっ! 初級魔法しか使えないエクスは、便利な奴隷くらいにしか思われていなかったが、エクスの異常に長持ちする初級魔法の効果が一つまた一つと切れてくるにつれ、だんだんと事態が深刻になっていく。 エクスの代わりなど誰もいなかったと慌てふためいた時には、もう遅い。 脅してきても、すがりついてきても、ニッコリ笑って全部お斷り。 僕はもう、ぜーったい働きません!
8 102星の海で遊ばせて
高校二年生の新見柚子は人気者。男女関係なくモテる、ちょっとした高根の花だった。しかし柚子には、人気者なりの悩みがあった。5月初めの林間學校、柚子はひょんなことから、文蕓部の水上詩乃という、一見地味な男の子と秘密の〈二人キャンプ〉をすることに。そんな、ささいなきっかけから、二人の戀の物語は始まった。人気者ゆえの生きづらさを抱える柚子と、獨創的な自分の世界に生きる文學青年の詩乃。すれ違いながらも、二人の気持ちは一つの結末へと寄り添いながら向かってゆく。 本編完結済み。書籍化情報などはこのページの一番下、「お知らせ」よりご確認下さい
8 62クリフエッジシリーズ第二部:「重巡航艦サフォーク5:孤獨の戦闘指揮所(CIC)」
第1回HJネット小説大賞1次通過、第2回モーニングスター大賞 1次社長賞受賞作品の続編‼️ 宇宙暦四五一二年十月。銀河系ペルセウス腕にあるアルビオン王國では戦爭の足音が聞こえ始めていた。 トリビューン星系の小惑星帯でゾンファ共和國の通商破壊艦を破壊したスループ艦ブルーベル34號は本拠地キャメロット星系に帰還した。 士官候補生クリフォード・C・コリングウッドは作戦の提案、その後の敵拠點への潛入破壊作戦で功績を上げ、彼のあだ名、“崖っぷち(クリフエッジ)”はマスコミを賑わすことになる。 時の人となったクリフォードは少尉に任官後、僅か九ヶ月で中尉に昇進し、重巡航艦サフォーク5の戦術士官となった。 彼の乗り込む重巡航艦は哨戒艦隊の旗艦として、ゾンファ共和國との緩衝地帯ターマガント宙域に飛び立つ。 しかし、サフォーク5には敵の謀略の手が伸びていた…… そして、クリフォードは戦闘指揮所に孤立し、再び崖っぷちに立たされることになる。 ――― 登場人物: アルビオン王國 ・クリフォード・C・コリングウッド:重巡サフォーク5戦術士官、中尉、20歳 ・サロメ・モーガン:同艦長、大佐、38歳 ・グリフィス・アリンガム:同副長、少佐、32歳 ・スーザン・キンケイド:同情報士、少佐、29歳 ・ケリー・クロスビー:同掌砲手、一等兵曹、31歳 ・デボラ・キャンベル:同操舵員、二等兵曹、26歳 ・デーヴィッド・サドラー:同機関科兵曹、三等兵曹、29歳 ・ジャクリーン・ウォルターズ:同通信科兵曹、三等兵曹、26歳 ・マチルダ・ティレット:同航法科兵曹、三等兵曹、25歳 ・ジャック・レイヴァース:同索敵員、上等兵、21歳 ・イレーネ・ニコルソン:アルビオン軍軽巡ファルマス艦長、中佐、34歳 ・サミュエル・ラングフォード:同情報士官、少尉、22歳 ・エマニュエル・コパーウィート:キャメロット第一艦隊司令官、大將、53歳 ・ヴィヴィアン・ノースブルック:伯爵家令嬢、17歳 ・ウーサー・ノースブルック:連邦下院議員、伯爵家の當主、47歳 ゾンファ共和國 ・フェイ・ツーロン:偵察戦隊司令・重巡ビアン艦長、大佐、42歳 ・リー・シアンヤン:軽巡ティアンオ艦長、中佐、38歳 ・ホアン・ウェンデン:軽巡ヤンズ艦長、中佐、37歳 ・マオ・インチウ:軽巡バイホ艦長、中佐、35歳 ・フー・シャオガン:ジュンツェン方面軍司令長官、上將、55歳 ・チェン・トンシュン:軍事委員、50歳
8 155俺が過保護な姉の前から姿を消すまでの話
過保護を超えた姉から俺が姿を消すまでの物語。 ”俺”と”姉”の他人には到底理解し得ない関係性。 結局理解出來るのは俺と姉だけだった。
8 159