《【電子書籍化へき中】辺境の魔城に嫁いだげられ令嬢が、冷徹と噂の暗黒騎士に溺されて幸せになるまで。》幕間 聖だったの結末(ヴェイラ視點)
わけがわからなかった。私たちは王族になるのではなかったの?
逃げ延びた私は父上と母上がいる軍本部へと駆け込んだ。しかし、そこにあったのはいつも私を甘えさせてくれる両親の顔ではなく、怒りと焦りに満ちた目を向けている憎悪の顔だった。
「ヴェイラ……貴様、なんてことをしでかしたんだ!」
何を言っているの? 私はただ邪魔者を排除しようとしただけ。私は何もしていない。むしろこの國のために良いことをしようとしたの。そう、エドガーの言うとおりに。
「エドガー王子からは都りできると聞いていたのに、王軍がすでに陣を組んで待ちけておる! それだけではない、レザウント侯爵らが裏切ってこちらに攻め込もうとしているとの伝令も來たのだぞ!」
「まったく、お前は聖じゃなかったの!? なにも役に立たず、ただ逃げ帰ってきただけ?」
なによ、なんなのよ。なんでそんな目で見るのよ。まるでそれは、私があの出來損ないを見ていたような目じゃない。なんで、なんでそんな目をするのよ。
「エドガー王子からの援軍はないのか!?」
「い、一向に見られません!」
兵士に怒鳴りつけた父の顔が真っ青になる。エドガー、私たちを助けてくれるんじゃなかったの? 私を捨てたの? せっかくあなたのために、呪われたになってまで、あなたを王にしようとしたのに?
「こうなれば、領地へ下がるしか……」
「でもあなた、領に戻ってどうするの? きっと王軍がやってくるわ。それだったら、私たちは関係ないと言って、そそのかされたと、この子を差し出せば……」
その言葉に私は愕然とした。何を言い出しの、このは。母なのに、私を救ってくれない。私を捨てようとしている。なにが悪いっていうのよ、私の、何が……。
「今まで贅沢な生活を送れたのは誰のおかげだと思っているの!?」
私はぶ。その私を穢らわしいものを見る目で母は見ていた。父はまだ頭を抱えている。
「お前が贅沢をできたのは私たちが目をかけてやったからよ。こんなことになるんだったら、あの娘を養子になど出さず、抱きこめばよかったのよ!」
「あの娘……? アリエスのこと……? 名前も言いたくもない、あの娘を?」
「そうよ、今両親として接すれば、あの子は私をしてくれるはず! そうよね、あなた!」
「あ、ああ……ああ、その通りだ! 今までのことを謝ればすぐに許してくれるだろう。きっとそうに違いない!」
私は力が抜け、その場に座り込んでしまった。外からは何か、戦いの音が聞こえてくるけれど、そんなの関係なかった。もう、関係ない。私には関係ない。どうなろうと関係ない。ああ、関係ない。もうこの両親も、エドガーも、國も地位も何も何もいらない。
そう思った瞬間、私の中から何かがうごめき、靄が出てくる。ああ、呪いね。私の願いをかなえてくれるの? そうよね、私の呪いだものね。
「な、なにが起きている!」
「ひっ、逃げましょう! こんな娘、もう近くに……」
逃がさないわ。あなたたちも地獄に落ちるのよ。いっしょに行きましょう? 家族でしょう? 一緒に、ずうっと一緒に居ましょう。屋敷でしてくれていた時のように。
私がそう願った瞬間、呪いは辺りに振り撒かれ、そこにいた何もかも飲み込んでいった。
そしてしばらくして、夕暮れになっているのに気が付いた。綺麗な夕日。そんなこと、一度もじたことなかったのに。
「……アリエスの姉、ヴェイラだな?」
そこには忌々しいあのの夫がいた。馬から降り、私の許へと歩み寄ってくる。でももういい。関係ないわ。私は何も答えない。
男は辺りを見渡して、ため息をついた。呪われた同士、私のやったことは理解したらしい。
「呪いを使って、あたりの者を飲み込んだか。……哀れだな」
「そう思うのであれば、始末してくれる? もうこの世に未練はないもの」
「……そうか。妹にも、會うつもりはないか」
「ええ」
もう私にはなにもない。家族もない。力もない。初めから何もなかったんだ。持っていたのはちっぽけな憎しみとプライドと、すぐに消え去る貌だけ。
男が剣を振り上げた。ああ、エドガー。おしい人。
地獄でお待ちしております。
- 連載中350 章
【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい溫泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の溫泉帝國を築きます~【書籍化+コミカライズ】
◎アーススターノベル大賞にてコミカライズ大賞と審査員賞を頂きました。6月1日に書籍が発売されました!第二巻も出ます! 「魔力ゼロのお前など辺境に追放だ!」 魔法の使えない公爵家令嬢のユオは家族から『能なし』と疎まれていた。 ある日、彼女は家族から魔物がばっこする辺境の領主として追放される。 到著した貧しい村で彼女が見つけたのは不思議な水のあふれる沼だった。 彼女は持ち前の加熱スキル、<<ヒーター>>を使って沼を溫泉へと変貌させる。 溫泉の奇跡のパワーに気づいた彼女は溫泉リゾートの開発を決意。 すると、世界中から様々な人材が集まってくるのだった。 しかも、彼女のスキルは徐々に成長し、災厄クラスのものだったことが判明していく。 村人や仲間たちは「魔女様、ばんざい!」と崇めるが、主人公は村人の『勘違い』に戸惑いを隠せない。 主人公の行動によって、いつの間にか追い込まれ沒落していく実家、ラインハルト公爵家。 主人公は貧しい領地を世界で一番豊かな獨立國家に変えるために奮闘する。 全ては溫泉の良さを世界に広めるため! ビバ、溫泉! 自分の能力に無自覚な主人公最強のスローライフ領地経営+バトルものです。 戀愛要素なし、ギャグタッチで気軽に読めるようにしています。 ※R15は念のためとなっております。 誤字脫字報告、ありがとうございます! 感想は返信できておりませんが、とても勵みにしています。感謝です。 現在は月曜日・水曜日・土曜日に更新しています! ※書籍化に合わせてタイトルを変更しました。舊タイトル:灼熱の魔女はお熱いのがお好き?魔力ゼロの無能だと追放された公爵令嬢、災厄級の溫めスキルで最強の溫泉領地を経営する~戻ってこいと言われても絶対に嫌です。あれ、気づいたら実家が沒落してた~
8 118 - 連載中329 章
平和の守護者(書籍版タイトル:創世のエブリオット・シード)
時は2010年。 第二次世界大戦末期に現れた『ES能力者』により、“本來”の歴史から大きく道を外れた世界。“本來”の世界から、異なる世界に変わってしまった世界。 人でありながら、人ならざる者とも呼ばれる『ES能力者』は、徐々にその數を増やしつつあった。世界各國で『ES能力者』の発掘、育成、保有が行われ、軍事バランスを大きく変動させていく。 そんな中、『空を飛びたい』と願う以外は普通の、一人の少年がいた。 だが、中學校生活も終わりに差し掛かった頃、國民の義務である『ES適性検査』を受けたことで“普通”の道から外れることとなる。 夢を追いかけ、様々な人々と出會い、時には笑い、時には爭う。 これは、“本來”は普通の世界で普通の人生を歩むはずだった少年――河原崎博孝の、普通ではなくなってしまった世界での道を歩む物語。 ※現実の歴史を辿っていたら、途中で現実とは異なる世界観へと変貌した現代ファンタジーです。ギャグとシリアスを半々ぐらいで描いていければと思います。 ※2015/5/30 訓練校編終了 2015/5/31 正規部隊編開始 2016/11/21 本編完結 ※「創世のエブリオット・シード 平和の守護者」というタイトルで書籍化いたしました。2015年2月28日より1巻が発売中です。 本編完結いたしました。 ご感想やご指摘、レビューや評価をいただきましてありがとうございました。
8 158 - 連載中187 章
婚約破棄された崖っぷち令嬢は、帝國の皇弟殿下と結ばれる【書籍化&コミカライズ】
【第3部連載開始】 ★オーバーラップノベルズf様から、第2巻8月25日発売予定です★ ★コミカライズ企畫進行中★ ミネルバ・バートネット公爵令嬢は、異世界人セリカを虐め抜いたという罪で、アシュラン王國の王太子フィルバートから婚約破棄された。 愛してくれる両親と3人の兄たちの盡力で、なんとか次の婚約者を探そうとするが、近寄ってくるのは一見まともでも內面がろくでもない男達ばかり。 いっそ修道院に入ろうかと思った矢先、冷酷と噂される宗主國グレイリングの皇弟ルーファスに出會い、ミネルバの人生は一変する。 ルーファスの誠実な愛情に包まれ、アシュラン王國を揺るがす陰謀に立ち向かう中、ミネルバにも特殊能力があることが判明し……。 人間不信気味の誇り高い公爵令嬢が、新たな幸せを摑むお話です。 (カクヨム様にも投稿しています)
8 185 - 連載中46 章
突然不死身という最強の能力に目覚めちゃいました
西暦2200年地球には2種類の人間が存在するようになっていた。 1種は昔からいたいたって普通の人間、もう1種は生まれながらにして特殊能力を持った人間つまり超能力者だ。 そして今世界では特殊能力を持った人間を中心とした格差社會が起きていた。通う學校、働ける職場、仕事の基本給、その他etc、全てにおいて超能力者が優遇されていた。 學校に関しては小學校までは同じ學校へ通うが、中學、高校は、舊人と超能力者では通う學校が違く、さらに超能力者に関しては受験を受けなくても能力がと言う理由だけで進學をすることができる。もちろんその先にある就職だって同じようなものだ。その職場に適した能力があれば簡単に入社できる。それだけじゃな給料だって高卒で入っても同じ條件の舊人の倍はもらうことができる。 そんな世界で超能力者 神谷 玲は舊人つまり無能力者として暮らしていた。
8 119 - 連載中236 章
ノアの弱小PMC—アナログ元少年兵がハイテク都市の最兇生體兵器少女と働いたら
大規模地殻変動で崩壊した國の中、その體に『怪物』の因子を宿しているにもかかわらず、自由気ままに暮らしていた元少年兵の青年。 彼は、數年越しの兵士としての戦闘の中、過去に生き別れた幼馴染と再會する。 ただの一般人だった幼馴染は、生き別れた先で優秀な兵士となり、二腳機甲兵器の操縦士となっていて……!? 彼女に運ばれ、人類の楽園と呼ばれる海上都市へ向かわされた青年は……。 気がつけば、その都市で最底辺の民間軍事會社に雇用されていた!! オーバーテクノロジーが蔓延する、海上都市でのSFアクションファンタジー。
8 156 - 連載中216 章
「最強」に育てられたせいで、勇者より強くなってしまいました。
ある日大學中退ニートが異世界に転生! 「最強」に育てられたせいで破格の強さを手に入れた主人公――スマルが、強者たちの思惑に振り回されながら世界の問題に首を突っ込んでいく話。
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