《【電子書籍化へき中】辺境の魔城に嫁いだげられ令嬢が、冷徹と噂の暗黒騎士に溺されて幸せになるまで。》幕間 エドガーという男の最期(エドガー視點)

「ぐっ……」

私はどうなったというのだ。確かに私は悪魔と一になり、繭となって長して、この世界を破壊しつくそうとしたはず。それなのに、私は今、中が痛み、どことも知れない場所に放り出されている。ここはどこだ。どこなんだ。

空を見上げれば、忌々しい青空が広がっている。もうしであのヴァルとを殺せたはずなのに、それを防がれてから記憶がない。

「誰か、誰かいないのか……! 誰か俺を助けろ……!」

私は這いずり、なんとか進もうとする。だがが言う事を聞かない。まるで何かに引っ張られているかのように、一歩もけなかった。

『食いたい……』

何かが聞こえた。私は震いをして、あたりを見渡す。だが、何も見當たらない。気のせいか。

私には、まだやるべきことがある。この世界を破壊しつくして、整地して、私と言う神を崇めさせ、私だけの世界を作り出すのだ。こんなところで死んでたまるか。

『食いたいよぉ』

また聲が聞こえてきた。私の背後から確実に。何かが迫ってきている。私は後ろを振り向けなかった。ただ無様に草をつかみ、這いずるだけだ。なんという慘めな、こんなことがあっていいはずがない。私は、私は神だぞ。

「私の何がいけなかったのだ……! 私こそが統べる者のはず、それなのに、なぜ誰もさない……!」

私は起き上がろうとして、しかし力がらずにまた倒れこむ。すると、私の前に何かが見えてきた。黒い靄のようなものが、近くに見えてくる。

「ひっ……」

私が見上げると、そこには多くの人間が、黒い靄に包まれながらこちらを見ている。見下している。誰だ、誰だお前たちは……ああ、先頭のは憶えているぞ、我が妻にして、愚かなだった……名前が出てこない。

「誰でもいい、私を助けろ……! 私は、神であるぞ……!」

だが、そいつらは私をにらみつけてきた。そしてだんだんと近づいてくる。やめろ、何をする気だ。私に気安く近づくんじゃない! 私は……。

『食いたい、対価が足りない。そうだ、こいつのを食ってしまおう』

はっきりと聲が聞こえてきた。私の上から、聲が聞こえてくる。悪魔の聲だ。

やめろ、食うな、代償には反軍の亡骸をくれてやっただろう。十分だろう。

『足りない、足りない。だがここではもう何もできない。だからお前を食って帰るとする』

足の覚がなくなった。かない。次に左腕、右腕……痛みはじない。それが逆に恐ろしい。私は、私は、私は……。

「私は、神……だぞ……」

黒い靄が包み込んでくる。あのたちが靄となって私を包み込み始めた。いやだ、いやだ、いやだいやだいやだ。助けてくれ、頼む。お願いだ。

おねがい、だ。

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