《【書籍化】前世、弟子に殺された魔ですが、呪われた弟子に會いに行きます【コミカライズ】》28:アリシアの過去 3

それからは実験の日々だった。

どんなことができるか。どこまでが『祝福』の対象なのか。何がダメなのか。々な『祝福』をし、アリシアはある日、百人に一度に『祝福』をかける実験のときに倒れた。

一度に多くの人間に『祝福』を行えないこと。無理に行えば魔に負擔がかかること。

定義の曖昧な『祝福』はできないこと。

アリシアの近くでなければ『祝福』できないこと。

――アリシアになにかあれば、祝福が薄れることがわかった。

アリシアが倒れてすぐに、父は『祝福』された兵士を剣で切った。本來なら瞬く間に治る傷が、數秒遅れた。

『祝福』が消えたわけではない。兵士は腹を刺されたため、通常なら死んでいてもおかしくない傷だ。『祝福』は発しているが、通常ではない。アリシアが倒れると、『祝福』の力が弱くなる。

このことで、アリシアが死ねば、その力が失われる恐れがあることがわかった。

アリシアは捕らえられていた場所から、首都近くの森に住居を移された。流行り病などにかかる可能を排除するためだ。

誰にも傷つけられないように、森の周りは兵士で囲まれた。アリシア自にも誰か付くのかと思ったが、アリシアは一人で木の家に住むことになった。

アリシアは學ぶこともじられた。唯一許された書は、小さい弟と読んだ絵本のみ。家事も自分で行った。幸いアリシアは魔法が使えたので、難しいことではなかった。

親しい者ができること、知識を得ることを、父はとても恐れていた。

なぜならそれはアリシアが自分を裏切る原因になり得るからだ。

アリシアは今弟のために従っている。だから、弟以上に思えるものを作らせないよう、父は細心の注意を払っていた。

知識を得て、外を知れば弟を見捨てるかもしれない。弟以上に思える存在に出會うかもしれない。

実験で、アリシア自に『祝福』をすることはできないとわかったが、協力者を作って、その者に『祝福』を與えれば、おそらく逃げることは不可能ではない。

「あの人も、隨分臆病ですね」

弟と読んだ絵本を閉じて、アリシアは窓の外を見る。緑あふれる、癒される風景のはずなのに、それはアリシアを囲う強固な檻だ。

こんなことをしなくても、アリシアは弟を見捨てる気などないのに。

アリシアの、小さな弟。

アリシアと同じ髪に、同じ瞳の

誰から見ても姉弟とわかる、自分によく似た、可い弟。

「あの子のためなら私はどうなってもいい」

だから、あの子を傷つけないで。

アリシアは絵本を抱えて一人泣いた。

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