《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》フリーの冒険者

Sランクスキルを覚醒させることが出來なかった私は勇者ゼノンのパーティーを去ることとなりました。

私は無力だった……。驕っていたという現実を突き付けられ、何とも言えない虛無が心の中を支配します。

さて、これからどうするかです。

ゼノンが荷を全部売り払ったおかげで、私は文字通りの無一文。

生きるためには當然のことながらお金が必要な訳でして……。

「パーティーを追放されて直ぐにする仕事ではありませんが、やはりアレしかありませんか……」

即金でお金を得られる仕事には心當たりがありました。

ゼノンのパーティーに所屬したてのとき、臨時で人手がしいときに利用した冒険者ギルド所屬のフリーター。

所謂、フリーの冒険者と呼ばれる方々です。

好んで一人でいる方、パーティーに所屬が出來ずに自己アピールも兼ねて足掛けでやっている方など、目的は様々ですが……、主にパーティーの助っ人(サポーター)や一人でこなせるお手伝いのような依頼を生業としていました。

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この仕事の良い所は大抵は前金で生活に必要な最低限のお金が頂けることです。

そして仕事が無事に終われば、次の仕事までの繋ぎの給金を得ることが出來ます。

私などの力でも多のお手伝いくらいは出來るはず。ゼノンのパーティーでの経験も何かしらの役には立つと思うのです。

さすがに冒険者ギルドに登録して直ぐに仕事を得ることは出來ないとは思いますが……それでも真っ當にお金を稼ぐ最短ルートなのは間違いありません。

とはいえ、張しますね。門前払いとかされませんよね――。

「ソアラ・イースフィル――!? ソアラ様って、あの……勇者ゼノン様のパーティーに所屬している聖様ですよね……?」

「あ、はい。一応、肩にこの通り聖としての神託をけた証拠の紋章があります」

ジルベルタ王國の北端にある冒険者ギルドの付で登録しようと名を名乗ると、付の男は椅子からひっくり返りそうになるくらい驚かれました。

どうやら私のことをご存知のようです。

の聖だと疑われるのも嫌でしたので、念の為に聖になったときに神によって肩に刻まれた紋章をご覧になってもらいました。

「ご、ゴクリ……。た、確かに……って、見せなくても大丈夫ですよ! 當ギルドは鑑定士によるステータス鑑定を全員に行っていますので。虛偽申告はすぐにバレますから。それにその長い銀髪としい容姿――間違いなくソアラ様だと確信しております!」

「は、はぁ……。あ、ありがとうございます」

迂闊でした。肩を見せる必要は無かったみたいですね……。お恥ずかしい。

勇者であるゼノンが有名人なので、私の名前や外見の特徴もそれなりに広まっているみたいです。

「しかし、ゼノン様のパーティーに何か不測の事態でも? ソアラ様ほどの方がフリーターになるなんて、考えられませんよ」

「いえ、勇者様たちは健在ですが……誠にお恥ずかしながら私は戦力外通告をけまして」

「ええーーーっ!? 武蕓百般、才兼備、質実剛健、快刀麻、と言われているソアラ様が戦力外!? ご病気になられたとかでしょうか?」

「えっと、調は至って健康です」

戦力外通告をけた話をしますと、付の方は今度はを乗り出して大きな聲を出しました。

わ、私ってそんな風に言われているのですか? あまり可らしいイメージではないのですね……。

「そ、それで仕事を頂くことは出來るのでしょうか? なるべく早く仕事がしいのですが……」

「早く仕事がしたい、ですって!? とんでもない! それは無理ですよ!」

やはり無理ですか……。

勇者のパーティー所屬だったという面がプラスに働きそうで々期待したのですが、そんなに甘い話はないみたいです。

「ソアラ様がフリーターになったなんて発表したら、助っ人希のパーティーが殺到してしまうのは目に見えています! そうなると選を行ない、さらにスケジュールの管理なども徹底しないとなりませんから! なくともお仕事を開始するまでに三日はかかるかと!」

「えっ……?」

「そうだ! マネージャーを付けましょう! ソアラ様のの回りのお世話をする人員が必要ですよね!? 誰にしますか……、やはりソアラ様はですから、のマネージャーがよろしいでしょうな!」

何やら、選とかマネージャーとか予想外のワードが飛び出して完全に置いて行かれてしまっているのですが――。

しかし、お仕事を開始できるまで三日とは……無一文の私にはしだけ長いです。

「では、當ギルドとの契約金なのですが、申し訳ありません。規約で契約金の上限が100萬エルドに決まっておりまして。ソアラ様との契約金は1000萬でも足りないと思うのですが、特別報奨金などで底上げさせてもらいますので、どうか今回は100萬エルドで契約の方をよろしくお願いします」

「そ、そんなに……ですか?」

「やはり、ないですよね? 勇者ゼノン様のパーティーは年間で10億エルド以上稼いでいるのは存じています。いやはや、お恥ずかしいです」

カウンターの上に無造作に置かれた100萬エルドの札束。

け、契約金なんて頂けるとは知りませんでした。それもこんなに沢山。

ゼノンのパーティーはそんなに稼いでいたのですか? あまりお金に興味が無かったので知りませんでした。

食住については任せきりでしたし、僅かにお小遣いを頂いていただけでしたので……。

こうして、私は冒険者ギルドに登録してフリーの冒険者になりました――。

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