《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》を慕う者たち

「わ、私の爭奪戦ですか……?」

「ええ、そうですよ。ソアラの姐さん! 姐さんが半年後に獨立するって噂をみんな聞きつけて、近隣諸國の王室がソアラ姐さんのパーティーを召抱えようってギルドに金をちらつかせて渉を迫ってるんです」

爭奪戦という聞き慣れない単語を口にしたのは、エルフ族の集落からわざわざ抜け出してこのギルドに所屬したというハイエルフの魔法士エレインです。彼は長い金髪を靡かせて、私の隣に座りました。

エレインは二年ほど前にゼノンたちと私がエルフの集落を襲おうとしている魔の軍隊を討伐したときに共に戦ったことがあります。

尤もその時はエルフの族長の護衛の一人でしたが。

私がフリーターになったという噂を聞いてこちらに來たと仰ったその日から彼は何度も私にパーティーを作ってほしいと口にしていました。

「私がパーティーを作って獨立するなんて噂、まさかエレインさんが……?」

「ええーっと、そ、それはー、そのう。あ、あたしだけじゃないですって。ソアラ姐さんはフリーターで収まるじゃないってみんな思ってますから。大衆の総意が生んだ風聞です」

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獨立するなど一度も言ったことがありませんでしたので、私は噂を作り出した犯人はエレインなのでは……と聞いてみますと、彼は気まずそうに苦笑いして誤魔化します。

みんながそう言ってると仰ってますが、本當にそうでしょうか……。

王室に召抱えられるというのは、パーティーにとって一番の名譽だと言われています。

殆どのパーティーはどこかしらのギルドに所屬していて、そこから依頼をけたり冒険するための援助をけたりするのですが、王室用達のパーティーも一握りですが存在するのです。

そう、アルバニア王室がスポンサーである勇者ゼノンのパーティーもその中の一つなのでした。

勇者という稱號は王室から付與されたもので、それだけでとんでもないステータスなのです。

「エレインくんの言うことは大袈裟だが、うん。僕も貴には広い世界へ飛び立ってしいと願っているよ。そう、蕓的な観點からしても――」

の薔薇の匂いを嗅ぎながら、私に聲をかけたのは癖の茶髪が特徴的な本業が蕓家で副業で剣士をしているというロレンスでした。

彼はとにかくマイペースで、絵を描くのに夢中になりすぎて戦闘することを忘れ……パーティーを追放されたという噓みたいな経歴があります。

話すと面白い方で、いつも花をプレゼントしてもらっていました。

「広い世界へ、ですか。今でもかなり広範囲に渡っていているつもりですが……」

「うん。行範囲って意味ではそうだね。……でも、貴にはやはりリーダーとして十全にける狀況で力を発揮してほしいと僕は思うんだ。そう、蕓的な観點から! しい花は最もしく見える場所で咲き誇ってしいって思うだろう?」

「いえ、ちょっと仰ってる意味が分かりません」

しかし、面白すぎて時々彼の言葉の意味が分からなくなる時があります。

ロレンスは私に紅茶を淹れて手渡して、エレインの隣に座りました。

彼もまた彼と同じで私にパーティー作を勧める方の一人です。それはもう、熱心に……。

「ロレンス、あんたの勧キモいんだよ。ソアラ姐さんが引いちゃってるだろう」

「下品な君には分からないみたいだね。僕の優雅にしてしい表現が。ハイエルフはもうしばかり賢いと思っていたよ」

「んだと、このエセ蕓家!」

「事実を言ったまでだよ……!」

熱心すぎて言い爭いに発展することも多々ありますが……。

二人とも格が違いすぎて相容れない部分も多いのです。

とはいえ本気で爭っているという訳ではなく実際はお互いを認め合い――

「やっぱり、テメーだけは認められない。決著をつけようじゃないか」

「ふぅ、に手を上げるのは些か抵抗があるが……仕方あるまい。僕の蕓を見せてあげよう」

えっ? 認め合って無かったのですか?

即発の雰囲気になってません?

エレインの高い魔力は周囲に風を巻き起こす程で、ロレンスは薔薇の花をひと振りするとそれは刀が真っ赤なサーベルに変化しました。

「止めんか!! 馬鹿者共!!」

「「――っ!?」」

私が止めにろうとしたとき、大聲が二人を制しました。

聲の主は大柄な格のスキンヘッドの武僧。名前はジンと言います。

彼は自らの心とを鍛えるために敢えてソロの仕事しか引きけないことで有名だったらしいのですが、私と行を共にすれば悟りが開けそうだという理由でエレインやロレンスと共にパーティーを作ってほしいと希するようになりした。

「お主らは恥ずかしくないのか。聖殿の前で下らぬ爭いなどしおって。そもそも、お主たちは――」

ジンは心底呆れたような表でエレインとロレンスに説教をします。

こういう景も実は初めてではありません。

しかしながら、こんなにも個かな方々が何故そんなにも私のような平凡な人間とパーティーを組みたがっているのか些か疑問です。

「ということで、ここはやはりソアラ殿にパーティーを結してもらって――」

「そうだな。あたしもソアラ様に命を捧げてでも、この方には高みに昇ってしいと思ってる」

「エレインもたまには良いことをいうねぇ。僕も同じ覚悟さ」

何だか、和気あいあいとした雰囲気になってきましたね。

仲直り出來たのでしたら幸いです。

何だか、こちらへの圧力が強まった気がしますが、気のせいですよね――?

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