《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》譲れないこと

グルセイヤ原――スモールドラゴンの群棲地と言われているこの場所は他の魔の巣窟でもありました。

ワータイガー、ポイズンウルフ、エビルフライなど、この國で仕事をする時によく遭遇する魔たちも多く生息しているみたいです。

「スモールドラゴンにだけ気を取られると足を掬われてしまうと思います。ターゲットを多く討伐することも大事ですが、まずはの安全から気を配りましょう」

「はい!」

「承知した」

意……!」

パーティーリーダーという裁を私にとってほしいと言われましたので、私はそれに従って自分がリーダーなら、こうするというような指示を皆さんに出しました。

リーダーの経験はありませんので、正しい指示かどうかは些か不安ではありますが……。

「はっはっは、やはりゼノン様の金魚のフンをやっていたに過ぎんの出す指示だな。消極的すぎる。保しか考えぬのは二流どころか三流のやることよ……!」

「てめぇ! 騎士団長だか、何だか知らないが……! これ以上、ソアラ様をバカにすると――」

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「するとどうというのだ? フリーター共が! 底辺のクセに私に意見するな!」

「「――っ!?」」

私の指示を蔑み笑うセルティオスに再びエレインが怒り、彼に摑みかかろうとすると彼は大剣を抜いて凄いスピードで振りました。

エレインは咄嗟にしゃがみ込みますが、セルティオスの狙いは恐らく――

「甘いことを抜かしていると、ドンドン差がつくぞ」

「すげー! 騎士団長殿! もうスモールドラゴンを討伐しちまった」

「見えなかったぞ! どうやった?」

「剣圧だ! とんでもないスピードで剣を振って出來た衝撃波だけでスモールドラゴンを倒したんだ」

スモールドラゴンが突如空中から落下して辺りはざわつきます。スモールと言っても牛くらいの、大きさがありますから。

なるほど、さすがはジルベルタ騎士団の団長。剣の腕前はAランク級……といったところでしょうか。

「どうだ。底辺フリーター共……! こんな胡散臭い聖に集ることしか出來ぬ愚図たちが! お前らは小銭稼ぎに來たんだろうが、私は國王陛下の信頼を背負っている。信念のないお前ら如きとは剣の重さが違うのだ――!」

この人……、私だけじゃなくて段々エレインたちに暴言を吐くようになりましたね。

私があまりにもけないから。弱い追放者だと見られているから……。

自分のことを貶められるのは構いませんが、三人の尊厳を傷付けるような文言は許せません。

「そうですね。私の剣は軽いかもしれません」

「所詮はの細腕……矮小な剣しか扱えぬ。飾りでそんな兇を持つこと自稽だな。――っ!?」

「二閃斬り――!」

私はセルティオスの目の前で二度剣を振りました。

スピードに特化した私の剣技――“閃”。

威力こそ男の方の剣技に劣りますが――

「うおおおおっ! スモールドラゴンが二も落ちてきた!」

「羽が切り落とされて――心臓に氷の刃が刺さっているぞ!」

「し、信じられねぇ!! どうなってやがるんだ!!」

のスモールドラゴンは私が仕留めました。

剣でスモールドラゴンの羽を切り落として、落ちた瞬間に初級魔法である氷刃魔法(アイスニードル)を発して急所を貫いたのです。

「な、な、なかなか小手先だけの大道蕓は得意みたいだな。私は剣の一撃で倒した。お前は二手もかけている。つ、つまりだなぁ――」

「聲が震えてるよ。セルティオスくん」

私の剣技と魔法を大道蕓と切って捨てるセルティオス。

確かに私の技には派手さもありませんし、特別に高火力というわけではありません。

なんせ、そもそもの才能が凡庸そのものだったので……特別なことを覚えられなかったのです。

「う、うるさい! とにかく、たったの二倒したくらいで――」

「お、おい! こっち見ろよ!!」

「――っ!?」

私が仕留めた他の五のスモールドラゴンの死も見つかったみたいですね。

そうです。私が倒したスモールドラゴンは二ではなく七です。

初級魔法であるアイスニードルなら同時に七つまで式展開出來ますから、角度的に討伐しにくい二は羽を落として當てましたが、そうしなくても倒せる五は急所を氷の刃で貫くだけで討伐しました。

「セルティオスさん。確かに私は勇者様から追放されました。私が至らなかったことが原因であるのは自覚しています」

「…………」

「ですがそれを理由に、共に戦おうとしてくれる仲間たちを侮辱することは許しません。あなたのプライドを傷付ける事はしたくありませんが、それだけはご理解して下さい」

力の誇示の為にくとは、聖にあるまじき行為ということは分かっていました。

はしたないことをしている自覚もあります。

ですが、こんな私をリーダーだと慕ってくれる方々を自分の至らなさのせいで馬鹿にされるのは我慢ならなかったのです。

「くっ! 弱い剣技と魔法が多用に使えるから何なのだ!! 私はお前には絶対に負けん!!」

「きゃっ……!」

セルティオスは私を突き飛ばして原の奧深くにっていきました。

完全に冷靜さを失っていますが、これはよくない予がします――。

考えを改めて貰えず、殘念です――。

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