《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》二人の聖

「憧れのソアラ先輩にお會いできて興のあまり自己紹介が遅れましたわ。わたくしの名はエリス・アルティナスと申します。先輩に憧れて聖を志した若輩者ですが、どうかお見知りおきを――」

テレポーテーションを使い、突如として私の前に現れたはエリスと名乗りました。

おや……? エリスという名前の聖には聞き覚えがあります。

まさか、彼は勇者ゼノンの――。

「おい、テメーまさか。勇者ゼノンのパーティーに所屬していた聖じゃないのか? の程知らずにもソアラ姐さんの後釜にったっていう――」

「左様でございます。わたくしはの程知らずにもソアラ先輩の代わりとして勇者ゼノンのパーティーに所屬していました」

「お、おう――」

エリスが名乗るとエレインが凄い形相になって彼に対して凄みます。

しかし、エリスが平然としてエレインのセリフを全肯定してしまったので彼は思わず黙ってしまいました。

「エレインさん、エリスさんの魔力は私以上です。それにSランクスキルにも目覚めていますから……私の代わりとしては十分過ぎるくらいの戦力ですよ」

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「姐さん、そんな訳――」

「そんなはずがありませんわ! ソアラ先輩は剣も魔法もマイナーな武でさえも一流の得難い人材! この方の代わりなど世界中探しても見つかるはずがありません!」

「お、おう……」

私が優れた能力を持つ上にSランクスキルにも目覚める程の天才であるエリスは十分以上に代わりを務められると口にしますと、エレインよりも早くエリスが大きな聲で否定します。

貴族の出自だと聞いてますし、慎ましい方という印象でしたが意外とグイグイ來られる方なのですね。

「で、君は何をしに來た? 勇者ゼノンの差し金か?」

「んっ? ゼノン殿がソアラ殿のもとに自らのパーティーの人員を送りつける理由などあるのか?」

「分かんないよ。ソアラ姐さんが宮仕えになったんだ。追放した者が自分の地位と同格以上になられればプライドが保てなくなるかもしれない。何かしらの妨害をするために送り込んだのかも」

ロレンスとエレインは勇者ゼノンの人となりをかなり歪んだ人格だと解釈しているみたいです。

確かにプライドは高い方でしたが、私などの凡才に構っているほど暇ではないでしょう。

「わ、わたくし、勇者様のパーティーを抜けましたの! ソアラ先輩のパーティーにるために!」

「「――っ!?」」

なんと、エリスさんは私のパーティーにるために勇者のパーティーを抜けたらしいです。

これはどういうことでしょう? ゼノンのパーティーをわざわざ辭めるなんて……。

「勇者のパーティーを抜けたぁ?」

「はは、何を言い出すかと思えば。君、しくないよ。志半ばでパーティーを抜けるなんて。そう、蕓的な観點からも!」

「ゼノン殿も苦戦を強いられているらしいからな」

エレインたちはゼノンのパーティーが苦戦しているから、エリスが抜けたと思っているみたいです。

そんなじの方には見えないんですよね。ルビーのような赤い瞳の輝きからは強い意志の力をじますし……。

「ち、違います! 誤解ですわ! そもそも、わたくしがゼノン様のおいを承諾したのはソアラ先輩目當てでして。先輩が調を壊してリハビリ中だというゼノン様が噓を吐かれたので――」

エリスは私に會いに來た理由も含めて勇者ゼノンのパーティーを抜けた経緯を話しました。

どうやら私が追放されたことを知らずに、ずっと騙されてゼノンと冒険をしていたみたいですね。

それで幾度も敗北を繰り返していた――となると可哀想な気がします。

「許すまじ……! 許すまじ、勇者ゼノン!」

「ソアラ殿を追放しただけに飽き足らず、このように純真無垢なの憧れのを利用するとは!」

しくないを通り越して醜いね。唾棄すべき男だ!」

皆さん、エリスの話を聞いてかなりお怒りのご様子です。

私も彼が不憫になっていました。ひたむきに頑張っていたことが徒労だったと知ったときの喪失は想像するに容易いです。

私が追放されたときも努力が全部否定されたように思えましたから。

「エリスさん……。私たちはこれより氷の魔城の偵察へと向かいます。――嫌な思い出もある場所だとは思いますが、共に來てもらえませんか? 行った経験のある方がパーティーにいると心強いです」

「そ、ソアラ先輩……? わ、わたくしを、わたくしの申したことを信じて下さるのですか? ゼノン様に噓を言わされているのかもしれないのですよ」

私がエリスをパーティーにうと、彼は目に涙を溜めて自分を疑わないのか、と疑問を呈します。

いや、信じるも何も……なんですけど。

「他の職業ならともかくとして、噓つきが聖にはなれませんよ。そうでなくても、エリスさんの目を見れば何となく分かります。誠実そうに見えますから」

「そ、ソアラ先輩~~! わたくしが憧れていた先輩はやはりあの時見たとおりの方でしたわ~~!」

「きゃっ――!?」

子供のように泣きながらに飛び込むエリス。

は前から私のことを知っているみたいですけど、どこかでお會いしましたっけ?

思い出せませんが、強力な味方が出來て心強いです。

が居れば、氷の魔城の偵察もかなり楽になるでしょう――。

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