《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》最強のオールラウンダー

「じわじわ死ぬところを楽しもうかと思うとったが、今の妾は新しい玩に興味津々でのう。アレはまたいずれ遊んでやるとしよう」

氷の王ケルフィテレサ――魔王軍の幹部だけあって、プレッシャーは相當なものです。

勇者ゼノンを何度も全滅に追いやった化を相手にどれだけ保つか分かりませんが、何とか時間を稼ぎましょう。

「一定以上の間合いを取って、回避、防を優先させて下さい。決して攻め急がないで――」

「「はいっ!」」

「ほう、勇者とかいう愚図よりも頭を使うではないか。妾のことをナメておるのか知らんが、あの連中……考えもなく豬突し躙されるばかりだったからのう。まぁ、間合いなど無駄なんじゃが。――超極大氷刃魔法《グラン・アイスニードル》ッ!」

ケルフィテレサはいきなり逃げ場が無くなるくらい巨大な氷の刃を出現させて、私たちに向って容赦なく放つ。

これは間違いなくSランクスキル級の魔法です。

以前、炎の魔城で魔王軍の幹部と戦ったときはSランクスキルで対抗したのですが――。

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「魔法防壁(アークバリア)四重奏《カルテット》ッ!」

「アークバリアを四つ同時に――!?」

私は魔法に対抗するために使われる中級魔法、アークバリアを四つ同時に展開しました。

一つ一つの盾は小さいですが、四つ並べると巨大な魔法に対抗することが出來ます。

「な、なんだ、この。妙に用なことをしおる。じゃが、威力は落ちてもお前らを倒すことくらい訳がないぞ!」

ケルフィテレサの言うとおり、私の防壁は割れてしまい、威力は半減されたもののこちらに迫ってきます。

もう一度、防壁を出すことも可能ですが――。

「極大炎魔法(メテオノヴァ)五重奏(クインテット)ッッッ!!」

「はぁ? んんっ!? ば、馬鹿な!?」

「噓っ!? そ、ソアラ姐さん、メテオノヴァを五発連した!?」

しい……」

「あの超巨大な氷の刃を貫いて――」

私は上級魔法であるメテオノヴァを五発連しました。

し前まで三発が限界でしたが、厳しい修行を積んで上級魔法を五発までなら同時に発出來るようになったのです。

「ぬあああああああっ!」

私のメテオノヴァは三発でグランアイスニードルを溶かして、殘りの二発はケルフィテレサに命中してくれました。

「間合いが意味をさないなら――」

ケルフィテレサに対して私は接近戦を挑みました。

は油斷していたからなのか、メテオノヴァ二発が思った以上に効いているみたいで、この好機に畳み掛けたいという意図もあります。

「出たっ! 姐さんの得意武の一つ……!」

「大陸屈指の名工と呼ばれたマーティ・エルドラドの傑作――マジカルトンファー……!」

「魔力を吸収して打撃力をアップさせるだけに留まらず、魔法の力を纏わせることも出來る、ソアラ殿の為にあるような武だ……!」

マジカルトンファー――フリーターをしつつ、自分の限界と戦っていたときに偶然、行商人から買い取った大當たりの得

私の魔力を吸って打撃力を大幅に上げ、更に――!

「そんなトンファーなど、妾には――っ!? ぐぎゃあああっ!! 燃えるように熱い! そ、それはまさか魔法を――」

炎系魔法をトンファーに纏わせて、私はケルフィテレサの急所を叩きました。

が見た目どおり炎に弱いことが分かったので……。

「打撃など、集中しさえすれば――!」

「姐さんだけに負擔をかけさせるな! 大炎上魔法(ギガフレイム)ッ!」

「燃えよ我が名剣! 蕓的剣技・サンフラワースラッシュ!」

「ぬおおおおおっ! ラジーム拳法・真空衝撃波――!」

「くそっ! ちょこまかとやたら元気な奴らよ! 大抵の連中はここに來るまでに満創痍なのに!」

エレインたちの援護もあり、私たちは次々にケルフィテレサにトンファーをめり込ませる事が出來ました。

どうやら、この方――弱りきった相手ばかりと戦っていたらしく、能力自は強いのに揺によって十全に力を発揮出來ないでいるみたいです。

「この! 能力自はさほどでもない癖に妾をここまで追い詰めるとは――! じゃが、ここからは妾も本気で……」

「本気を出すには“もう遅い”ですよ――」

「はぁ……?」

「はぁ、はぁ……! 栄への道(シャイニングロード)ッッですわ!」

安全圏までゼノンたちを連れて行ってくれたエリスが戻って來てくれました。

と何も出會ったのか、ボロボロになりながら、息を切らせながら、両手を合わせて破邪の力を帯びている最大出力の系の魔法を放ったのです。

これがエリスのSランクスキル――素晴らしい威力ではないですか。

「ゲホッ、ゲホッ、ガハッ……! クソッ! 何故妾がここまで――」

「スキだらけでしたので、至近距離で失禮します。――極大炎魔法(メテオノヴァ)五重奏(クインテット)ッッッ!!」

◆ ◆ ◆

「よくやった! 本當によくやったぞ! やはり私の見込みは間違いなかったな! まさか、氷の魔城を偵察では飽き足らず、攻略してしまうとは!」

ジルベルタ王國の國王陛下は笑顔で私たちを迎えてくれました。

々と強運が味方してくれたおかげで、なんと私たちのパーティーは魔王軍の幹部の一人である氷の王ケルフィテレサの討伐に功したのです。

時間を稼ぐつもりだったのですが、良い一撃がってこちらのペースになってくれたので、好機を活かすことが出來て良かったです。

「ソアラ殿、約束じゃ、お主に大聖の稱號を與える。拒否権はないぞよ――」

「慎んで頂戴致します」

私は頭を下げて國王陛下から“大聖”の稱號を頂きました。

果を殘せたことは事実ですし、変に謙遜するのも禮節に欠くと思ったからです――。

「これからも我が王國の名を背負い、そなたらの活躍を期待する!!」

この日から私は“大聖”と呼ばれることとなりました。

魔王軍と人類の戦いは激戦の一途を辿っておりますが、私たちもその中心に飛び込むことを余儀なくされたのです。

「ソアラ姐さん、今度はどんな仕事をけましょうかね」

しく華麗で、蕓の高いモノがいいんだが」

「お前の意見はきいてねーよ」

「ソアラ先輩、わたくし……先輩が大聖になってくれて誇らしいですわ!」

「これでまた一歩――悟りに近付ける……」

あれだけ命懸けの戦いの後にも関わらず、皆さんのやる気は十分みたいです。

私ももっと皆さんと冒険がしたい――。

気が付けば私は明日という未來にワクワクしていました――。

◆第1章を読んでいただいてありがとうございます◆

ここで、最初の章が完結しました。如何でしたでしょうか?

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