《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》エデルジア王國

エデルジア王國は大陸の北東部に位置する半島にあります。

魔王軍の拠點である“闇の宮殿”、“地獄島”、“嘆きの鉱山”がこの國の近くにはあり、魔の侵攻も他の國の比ではないほど苛烈で治安の悪さは世界一と言われておりました。

しかし、そんな中でもエデルジア王國が未だに健在なのは世界最強と言われているエデルジア魔法士と騎士団の存在でしょう。

國王であるアルカマッハ・エデルジア五世は自らも武人であり、常に戦場では前線に立つほどの豪傑なのですが、彼は軍部の人材育を徹底させていました。

その甲斐もあり、つい最近もエデルジア軍は魔王軍の拠點を一つ攻略してしまっています。

おそらく、エデルジア王國に周辺に魔王軍の拠點が多いのは単純にこちらの國が強いからです。

その世界でも有數の強國であるエデルジア王國が各國のギルドマスター、為政者に頭を下げて救援要請――それだけでも今回の戦がどんなに猛烈なモノになるのか容易に想像出來るでしょう。

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「どこを歩いても鉄の匂いが漂ってきますわ。ここがエデルジア王國。やはり、有事ということもあり殺伐としていますわね」

「この狀況では蕓の発展は無理そうだな。それだけで魔王軍は萬死に値する」

「あんた、そればっかりだね。姐さんの力をエデルジア王國でもぶちかましてやりましょうよ」

「お主もそればかりではないか。ソアラ殿は濫(みだ)りに力を誇示したりせん」

大聖のパーティーとしてエデルジア王國にった私たち。

エリスの言うとおり國は殺伐としており、各國からも腕に自信がある猛者たちが國しておりますので、そういう方の発する獨特の雰囲気が醸し出されピリッとした空気が漂います。

「大聖殿~~! 大聖殿のパーティーですね。いやー、すぐに分かりましたよ。そのしい銀髪、そのスキの無い佇まい、噂通りでございます」

魔法防の高い特殊な布製のローブを著ている男がこちらに向って話しかけてきました。

若いですね……。20歳にはなっていないように見えます。18歳になったばかりだと言っていたエリスと同じくらいでしょうか。

どうやら、彼が私たちの案人みたいです。

「ソアラ・イースフィルです。ジルベルタ國王からの勅命により、四名の仲間と共にエデルジア王國の援軍として參りました」

「エデルタ魔法士団、副団長のクラウドです。大聖殿は古今の様々な魔を網羅していると聞きます。戦いが終わりましたら魔法談義でもさせて頂きたく存じます」

垂れ流している魔力の殘り香のようなものから、かなりの実力者だということは分かっていましたが、まさか副団長とは。

戦死者が多い國では出世が早い方が多いと聞きますが、それにしても早すぎます。

「おい、お前! 誰に斷って姐さんを口説いてんだ!」

「そうですわ。どさくさに紛れて先輩をうのは許しません」

「えっ、いやあ。その……」

「エレインさん、エリスさん、止めて下さい。クラウド様は社辭令を述べただけです」

最近、男の方に話しかけられるとエレインとエリスがそれを阻もうとします。

いえ、私とて自衛ぐらいは出來ますよ。何度も大丈夫だと言っているのですが、警戒心がないと言われてしまいました。

「ははは、よく慕われていますね。流石は大聖殿だ」

「悪い子たちではないのです。お気を悪くされないでください」

「いえ、私の方こそ初対面で不躾でした。ささ、エデルタ大聖堂までお送り致します」

クラウドは丁寧に頭を下げて私たちをエデルタ大聖堂まで案してくれます。

各國の実力者の一人として扱われていることが非常に恐ですが、気を引き締めませんと。

「どうぞ、こちらにおりください」

「大聖堂って聞いてたけど、こいつぁデカイや」

「やっとこの國で蕓的なモノを見た気がするよ」

「ですが、各國の戦力が一同に集まるのでしたら狹すぎる気がしますわ」

「んっ? 拙僧らが一番乗りか? 誰もおらんではないか」

クラウドに連れられて私たちはエデルタ大聖堂の前に著きました。

建築様式から判斷するとかなりの築年數だと推測されますが、とても綺麗にされているのでそれをじさせません。

大聖堂の部にはジンの言ったとおり、ガランとしており誰もいませんね……。

「ジンさん、地下室があるのですよ。この下にかなり広い部屋があるようです。そんな気配をじます」

「流石ですね。姐さんの知能力はエルフ並だ」

「ということは、ソアラ殿が言うとおり地下に?」

「仰るとおりです。教壇の下に隠し通路があります」

どうやら、かなり警戒しているみたいで各國の戦力は地下室に招集してるとのことです。

クラウドに導かれ、私たちは集合場所へと辿り著きました。

◆ ◆ ◆

「なるほど。流石は各國の強者。蕓點も高い連中もチラホラいるね」

「ロレンス様、蕓點とはどのように判斷されていますの?」

地下は薄暗いのでは、と懸念していましたが魔道による照明がきっちりと備え付けられており、晝間のように明るいです。

點は私にも分かりませんが勇者ゼノンに匹敵する、またはそれ以上の実力者も中にはいらっしゃるのでしょう。外以上にピリッとした空気が流れていました。

「そ、ソアラさん……?」

「お前は當然ここに呼ばれているか……」

「あら、リルカさんとアーノルドさんではないですか。怪我はもうよろしいのですか?」

勇者のパーティーで仲間だったリルカとアーノルドが私に聲をかけました。

もちろん、ゼノンのパーティーも呼ばれているでしょうから驚きませんでしたが……。

「ごめんなさい! そして、ありがとう! 私たち、あなたに酷いことを言ったのに助けてくれて」

「ソアラ、某らが愚かだった。お主の援護があったからこその強さだったのに、某らはそれを自らの強さだと過信した」

なんと、リルカとアーノルドは私に謝罪と禮を言われました。

私の援護を認めるようなことを言いながら。

何だか心の中の蟠(わだかま)りがしだけ解消できた気がします。プライドの高いゼノンはそんなことを言うはずがありませんが……。

「それで、私たちフリーターになったの。自由にける助っ人として、この國にも來たわ」

「ソアラの気持ちをしでも理解出來るかもしれんと思ってな……」

「えっ? フリーター……ですか? それでは勇者様のパーティーは――」

ここまで口を開いたとき、お二人は黙って首を縦に振って、私の話を肯定してくれました――。

まさか、勇者のパーティーが解散したなんて――。

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