突然、大賢者ガイアに極大火炎弾(メテオノヴァ)を放ったクラウド。

私たちは一瞬、何が起こっているのか狀況が理解出來ずにいました。

「いきなりメテオノヴァとは酷いなぁ。クラウドくん……」

ガイアは平然とした口調で話しています。

しかし、異常なのはそのでした。

お腹にぽっかりと大きなが空いているにも関わらず、を一滴も流していないのです。

それどころか、痛みすらじていないみたいでした。

「たった今、通信魔法(テレパシー)で大賢者殿の馬車が破壊されて崖の下に落ちていたという報がってきました。死は見つかっていないとのこと」

「ほう……」

「私の目は鑑定能力が宿っている！　すでにあなたの正は見破っています！　死霊使いゲリュセルス！！」

常に穏やかな表だったクラウドは再び瞳のを赤くらせて、怒りの形相でガイアを睨みます。

彼の話から推測するとガイアはすでに殺されており、死霊使いのり人形になっているみたいです。

これは恐ろしいことだと思います。普通の人間として完全に紛れ込んでいたのですから。

ジンの眼なら或いは見破れたのかもしれませんが、彼は戦闘時以外は目を閉じていますし……。

「俺がゲリュセルス様の人形ということを見破ったのは見事だ。だが、俺の強さはそのままだし、何なら仲間も結構強いぜ？　なんせ、この俺のはあの忌々しい大賢者ガイアのモノだからなぁ……！」

ゲリュセルスにられていることを認めたガイアはそれでも強さは大賢者の名に相応しいほどだと自賛します。

それが本當ならかなり厄介な相手です。

「どれ、ちょっと遊んでやろう。超煉獄魔法(グランバーナー)」

ゲリュセルスは腕を天に掲げると、頭上に半徑十メートル程の超巨大な火球が瞬く間に形されました。あれが大賢者のＳランクスキル……。

さらに彼同様にられているらしい、彼の仲間たち3名も近くにいる人間を無差別に攻撃します。

「くっ、こうなる前に決著をつけねばならなかったのに――。こうなったら、私の命を燃やし盡くしてでも」

「――皆さん、ガイア様の仲間たちを何とか抑えられますか？　私がガイア様のをまずは止めますから」

「「はいっ！」」

「だ、大聖殿……？」

私はクラウドを手で制して、死霊使いにられているガイアの前に出ます。

そして、エレインたちには他の方を抑止しておくように頼みました。

「大聖ソアラ――知っているぞ。小手先蕓で油斷していたケルフィテレサ如きを倒して調子に乗っているとな。この不死のを持っていて、大賢者の戦闘力を持つ俺に敵うものか」

ガイアは自分の戦闘力の高さとが空いても痛みをじないにご満悅みたいです。

――どうやら、この方は私の本職が何なのかご存知ないみたいですね。

「存命のガイア様ならいざ知らず。られた死などに負けるほど私も弱くはありませんよ――」

「はぁ……？　この！　ハッタリを抜かしやがって！　こいつで全部丸焦げにしてやる！」

「どうぞ……、お好きなように……」

私はゆっくりと歩いてガイアとの距離を詰めます。

彼はグランバーナーをこちらに放とうとしますが、その瞬間に自分のに起きたことに気付いたみたいです。

「くおっ！？　な、な、な、なんだ！？　どうしてがかなく――」

「アンデッドは浄化の力に極端に弱いことをご存知でしたか？　のナイフがに突き刺さっているのに気付かないのは痛みをじないせいみたいですね」

「じょ、浄化……！？　ひ、のナイフ……？」

聖の力の真骨頂は屬の魔力による破邪の力。

それはアンデッド系の魔に対して絶大な効果を発揮します。

ガイア自は強くとも浄化させて死霊使いの作を外してしまえば良いのです。

のナイフは屬の魔法でポピュラーなモノですが、魔の力を祓う能力を有してます。

これを彼が長セリフを述べているスキに既に5本ほど背中に刺しておいたのです。

浄化の力がの全を駆け巡り、彼は既にけなくなっているのでした。

「く、くそっ！　せっかく、ゲリュセルス様のお役に立てると思ったのに――」

「そんなときは永久に來なくて良かったです。さようなら。そして、ガイア様……安らかに眠ってください。――聖竜の咆哮《ホワイトブレス》！」

「ぬぎゃああああああああっ！」

大型の魔法陣を展開させて私は破邪の力を放出するタイプの屬魔法を使いました。

こちらはＡランクスキルになる上級魔法で、エリスの使うＳランクスキルと比べて威力は落ちますが、ガイアのアンデッドを倒すのには十分すぎるくらいでした。

死霊使いにられているガイアを倒せたことは良かったですが、船がまだ來ていない上に、大賢者のパーティーを失ったとは――。

最初から暗雲立ち込めていますが、今度は戦っている仲間を援護しませんと――。