《【書籍化】萬能スキルの劣等聖 〜用すぎるので貧乏にはなりませんでした》魔王軍最大の敵

魔剣を全て修得してからは、それを活かした戦い方を模索しました。

近距離、中距離、遠距離で適した技も違いますし、強力な技ほどスキも大きくなることが多いので確実に當てる必要があります。

「うわっとっとぉっ! ちょっと、待てって! この距離から當ててくんのかよっ!」

グレンは私の攻撃をけて倒れてしまいました。

同じ剣士のグレンにはこの一年間でよく魔剣の練習に付き合ってもらっています。

「ありゃー、もうグレンより強くなっちゃってるよー。グレンも魔剣を覚えればいいのにー」

「バーロー、あんな反則技簡単に出來るかよ! つーか、今日はやけに気合いがってんな、エルザのやつ」

メリルにからかわれてグレンはムッとして反応していました。

私は今日は特別張しています。

何故ならば、アリシア様が修練の果を見にこられるからです。

「エルザ様は、アリシア様が見にこられるので気合いがっていらっしゃるのですわ」

ミリアはニコッと微笑んで私を見ました。ううっ、バレていますね。

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そんなに分かりやすく態度に出てましたか。

「なるほど、それは納得だ。しかし、なぜ我々も召集されているのだ?」

レイシアは腕を組ながら疑問を口にしました。

「……」

ネルソンは黙って瞑想をしているようです。

「まっ、そりゃあ集めた本人に聞いてみようや。ちょっと遅れてるぞ、アリシア」

グレンは上を向いて聲を出しました。

「悪かったわね。書類の整理にちょっと時間がかかっちゃったのよ」

アリシア様が宙に浮いてこちらに向かってきていました。

最近は部屋でしかアリシア様と顔を合わせていませんでしたので新鮮でした。

「エルザ、レイシア達から聞いたわよ。魔剣を全部覚えたんでしょ? あなたって想像以上に凄い子なのね!」

アリシア様は私を褒めてくれました。

あーっ、このお言葉を頂くために、エルザは頑張りました。心が溫かくなります。

「ありがとうございます! 仰って頂きましたら、どのような魔剣もお見せ致します!」

私はアリシア様に修行の果を見ていただきたかった。

「あら、そうなの? じゃあ、“魔刃國崩(マジンクニクズシ)”とか見せてもらおうかしら」

アリシアはニコリと笑って私の目を見ました。はぁ、笑顔がなんて眩しいのでしょうか……。

私はいつも以上に力が湧いて來る気がしました。

「はいっ! 任せてください!」

私は剣を上段に構えて集中する。

“第二十一の魔剣、魔刃國崩(マジンクニクズシ)”

「はっ!」

――ズドンと大きな音がこだまする。

私が剣を振ると、遙か彼方に離れた位置にある大巖が々になりました。

この魔剣は無屬魔法を込めた剣撃を遠くまで飛ばし、破裂させる技です。

大砲以上の威力があるので、遠距離からの奇襲にも向いている技なのです。

「お見事! 完璧よ、完璧! 信じられないわ! あなたほどの魔剣の使い手は長い魔族の歴史でも類を見ないと思う。たった一年でここまで頑張ってくれて、ありがとう。これなら、あなたとなら、本當に天下が取れるわよ!」

アリシア様は私の手を握りながら、そう仰ってくれました。無量です……。

「それで、アリシアよ。話というのはなんだ? エルザの修行の果と関係があるんじゃないか?」

レイシアはアリシア様に尋ねた。

「さすがに鋭いわね、レイシア。ええ、今の技を見て確信したの。エルザを私の右腕にするわ。つまり、魔王軍のナンバー2はエルザよっ!」

アリシア様? わ、私がナンバー2って、そんな、他の皆さんがそんなこと許すはずがありません。

「ふーん、いいんじゃねぇか。実際、強ぇぇし」

「ボクも別にいいよー」

「わたくしは誰が上に立とうと、構いませんわ」

「確かに、長速度は信じられない。うむ、まぁ、様子を見るくらい構わないだろう」

「……了解」

ええーっと、誰も反対されないのでしょうか?

「じゃあ、決まりね。エルザ、あなたは今日からあたしにずっと付いてくるのよ。約束を果たすまで――」

アリシア様は鶴の一聲により、私は魔王軍のナンバー2になりました。

アリシア様とずっと一緒……。そっそれは何て嬉しい、いや、不純です。そんなことを考えてはなりません。

「私で務まるのでしょうか?」

それでも、私は不安でした。

「バカね、あなたじゃないと務まらないのよ」

アリシア様は微笑みながら優しく仰ってくれました。

そこまで、私を信じて――。

分かりました。命を懸けて大役を務めさせていただきます!

私は心の底からそう誓った。

「じゃあ、今からしばらくの間、エデルジア王國に滯在するからそのつもりでねっ! 留守は頼んだわよ、レイシア、あとグレンも」

アリシア様とエデルジア王國に……。私はしだけ、張しました。

「なんで、オレはついでみたいに言われてんだよ。まぁ、留守は任せろよ。いつでも出陣できるように士気を上げておくからさ」

「いよいよ、戦いが始まるのか。こっちの準備は我々が引きけよう。アリシア、無理はするなよ」

グレンとレイシアは二人共頷いて、留守を引きけました。

「ええ、信じているわ。大丈夫、みんなで力を合わせれば乗り越えられない壁はない。もしもの時は、あたしが壁をぶっ壊してあげるから――」

アリシア様は私の腕を摑みながら、みんなに聲をかけました。そして――。

“次元を司る霊よ、我が魔力を糧に開け、空間超越(エジアム)”

いつかのときと同じように、白いが私とアリシア様を包み込みます――。

――私とアリシア様の姿はその場から消えて、一瞬でエデルジア王國に到著したのでした。

エデルジア王國、アリシア様が直々に落とすと決めた國。世界でも有數の武力を持っているという大國です。

どうやら魔王軍の先遣隊が幹部クラスも含めて大量に犠牲を払ったとか。

「大聖ソアラ、彼は何人も幹部を葬ってる魔王軍最強の敵よ。あなたには彼の抹殺を頼むわ」

「承知いたしました、アリシア様。私はどんな相手が相手でも負けません。必ずやあなたに勝利を捧げます」

現在、魔王軍の最強の敵はソアラ・イースフィルという名の聖

は炎の魔城、氷の魔城、さらにアリシア様の最高傑作であると言われる空中要塞まで攻略したという人間側で最強と呼ばれる希の聖である。

私も人間の限界を超えたつもりだが、彼もかなり強いはず。

でも私は絶対に負けない。大切な者のために必ずや勝利を摑みます。

◆第3章まで読んで頂いてありがとうございます◆

これにて、第3章は完結です。

果たしてソアラは魔剣士エリスと魔王アリシアに勝てるのか!?

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