《【書籍化作品】離婚屆を出す朝に…》28、那人の本心①
「離婚する事になったんだ……」
那人が仲のいい友人の口から聞いたのは3年ぐらい前だったか……。
自分と同じ時期に起業して、お互いに勵まし合いながら仲良くしていた。
那人の會社が堅実にしずつ業績をばしていくのに対して、その友人の會社は一気に業績をばして急長をした。
みるみる羽振りが良くなって、タワーマンションを買い、派手な車を乗り回すようになった。
そしてすぐに10才も若いモデルをやっているというの子と結婚した。
當初はクラブにパーティにと、二人で仲良く出掛けていたが、やがて友人の會社が一番力をれていた事業に失敗すると、あっという間に傾きだし、それと同時に二人で出かける姿を見なくなった。
そして結局會社を畳み、友人の自己破産が決まると同時に前述の言葉となった。
「金の切れ目が縁の切れ目ってヤツだよ。
どうせあいつは俺の金だけが目當てだったんだ。
ま、俺だって、若くて人なら誰でも良かったんだけどさ」
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同じような言葉を実は那人はすでに何回が聞いていた。
起業家、青年実業家、ベンチャー企業。
そんな言葉を聞いただけでセレブと勘違いする若いの子は多い。
年商數億の青年実業家と言っただけで、捨てるほどの子がついてくると友人は言っていた。
実際には年商數億といっても、それは売り上げた金額であって、そこから経費や起業時の借金や利息を引いて、仕先に支払いを済ませると、何も殘らないという會社も多い。
特に、資金も地盤もなく若くして自分で立ち上げた起業家は、一年でほとんど消えていく。
でも噓はついてない。
確かに年商數億あるいは數千萬の青年実業家なのだ。
その肩書きをエサに、若い子と結婚して派手に暮らした後、膨れ上がった借金に首が回らなくなって自己破産、離婚というシナリオは那人の周りではありふれていた。
(でも、俺は違う)
那人はそんな話を聞くたび、自分は違うと言い聞かせていた。
確かに表面だけを見れば、8才も年下のな妻を迎え、タワーマンションで派手に暮らしているように見える。
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だが、自分は決して若い人なら誰でもいいと思って紫奈を選んだわけじゃない。
タワーマンションだって、サラリーマン時代にローンを組んで、起業時の擔保になるようにと買っただけだ。車だってごく普通の國産車だ。
簡単に傾くような経営はしていないし、紫奈には不自由のない生活費を渡していたが、自分は派手に遊びまわるような事もしなかった。
(萬が一、會社の経営が傾くような事になってもみんなのようにはならない)
紫奈と自分は金ではなくで結ばれている。
漠然とそう思い込んでいた。
それが崩れ始めたのは、半年前だった。
同じく起業家の友人で大口の取引先があった。
起業時からしずつ増えてきた取引だったので、信用していた。
途中から半分手形決済になったが、取引の大きさから仕方がないとけれた。
長年の信頼関係を過信していた。
しかし彼はある日、ほとんど詐欺に近い形で突然姿を消してしまった。
彼の會社の従業員の給料も払わず、あるだけの資産を現金にして消えてしまった。
そして殘されたのは、回収できない手形の山だった。
毎月裏書きして回した先から戻ってくる彼の會社の手形。
ようやく決算上も利益が出始めた那人の會社の資産は実は起業時の借金その他で相殺されてしまう。
もちろん擔保にっているこのタワーマンションも含めてだ。
若い青年実業家など、借金と相殺したら財産など赤字になる者の方が多い。
倒産防止機構から借りたお金でも足りず、銀行の融資を最大限けても足らず、ついにはどこの銀行に行っても貸してもらえなくなった。
會社がうまくいっている時は、借りてくれと頭を下げに來た銀行が、一旦この會社はもうダメだとレッテルをると、手の平を返したように1円たりとも貸してくれなくなる。
そんな友人を大勢見てきたというのに、自分だけはそうならないと高をくくっていた。
すべては自分の甘さからきた失策だ。
會社が倒産したらどうなるのか?
その行く末も多く見てきた。
それは千差萬別だった。
家も車も全部とられて一文無しになる者から、ちゃっかり妻の名義にすべて書き換えていて、優雅に暮らしている者。やばい所から借りたせいで、ひどい取立てに追われる者。
偽裝離婚をして妻に財産を流す者。
うまくやるヤツは、詐欺すれすれの方法で案外いい暮らしをしている。
だが生真面目な那人は、うまくやれそうになかった。
なくとも、紫奈が今までの生活費をコツコツと貯金しているとは思えない。
今更、紫奈名義の貯金を作ったら、債権者から資産隠しと疑われるのは必至だ。
だったら一旦離婚をして、謝料という形で紫奈に渡すのはどうだろうか。
きわどい時期の離婚だが、そうやって家族だけでも債権者から守ろうとするのはよくある手口だった。
そのまま妻に逃げられる者も結構いたが、それも自分の甘さゆえとけ止めるしかない。
一応いざという時のためにプールしていた自分の貯金がある。
どうせ自己破産するなら破産額が々膨れ上がってももう大差ない。
先に出來る限りの財産を流せる所に流しておくのが一般のやり口だった。
それでなくとも當面の紫奈と由人の生活はなんとかなる。
謝料を払う理由が必要だ。
そんな考えがかなり早い段階から頭に浮かんでいた。
だが、そんな考えをも覆《くつがえ》す出來事があった。
それは3ヶ月ほど前の事だ。
ある日、忘れをして家に取りに帰った。
玄関を開けると、楽しそうな笑い聲が聞こえてきた。
由人は稚園に行っている時間だったから、來客なのかと思った。
玄関にはの靴と、男の靴があった。
そしてリビングからは男の笑い聲も聞こえてきた。
まさか……と思った。
しかしすぐに、一つが紫奈の母親の聲だと気付いてほっとする。
そしてもう一つの男の笑い聲が、紫奈の馴染の康介のものだと気付いた。
正直、嫌な気分になった。
初めて紹介された時から、彼は那人に対して敵対心丸出しだった。
彼が紫奈の事を好きなのは最初から気付いていた。
でも紫奈は家族のように育った馴染だと言う。
そんな風に言われると會わないでくれとは言えなかった。
8才も年上のくせにくだらない嫉妬をすると思われるのも嫌だった。
でもたとえ母親が一緒でも、そんな男が自分のいない家で紫奈といるのが嫌だった。
リビングにって、一言なにか言おうかと思った。
そして、リビングのドアを開けようとして、ドアのガラス部分から見える紫奈に手が止まった。
そこには屈託なく笑う紫奈がいた。
そんな笑顔を見たのは久しぶりだった。
最近はいつもギスギスして、自分にも由人にもバカにされないようにと気を張り詰めている紫奈ばかりを見ていた。
いつもイライラして、ちょっと気にる事を言うと、ヒステリックに泣き出す。
あんな自然な笑顔をずいぶん見てなかった。
母親と康介の前では、あんな風に楽しそうに笑うのかと衝撃をけた。
その瞬間、ギリギリ保っていた何かが音を立てて崩れるような気がした。
もしかして自分は大きな考え違いをしてたんじゃないのか?
自分たちはし合って結婚したと思っていた。
しギクシャクしてうまくいかない事もあるが、お互いに添い遂げようと思っている。
今はほんのし空回りしているが、いつかしっくりいく日が來る。
もっと自分が大人の男として、紫奈を包み込んでやればうまくいくようになる。
そう思っていた。
だが、もしかしてすべては自分の一人相撲だったんじゃないのか?
最初に好きになったのも自分。
付き合ってくれと言ったのも、結婚しようと言ったのも自分。
紫奈のためなら何でもしたいと思っていたのも自分。
生涯守ってしていこうと思ったのも自分。
もともと昔から人の世話を焼くのが好きなタチだったから、與える一方である事にさほど不満を持つ事もなかった。
でも……。
ふと気付いてしまったのだ。
自分は……。
一度も紫奈からしてると言われた事などないことに……。
次話タイトルは「那人の本心②」です
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