《【書籍化】天才錬金師は気ままに旅する~世界最高の元宮廷錬金師はポーション技の衰退した未來に目覚め、無自覚に人助けをしていたら、いつの間にか聖さま扱いされていた件》02.目覚めたら、未來?

「ううむぅ……むにゃあ……はっ! 今何時!?」

私、セイ・ファートは目を覚ます。そこは私の家のなかだった。

壁掛けの時計は9時を指している。

「しまった寢過ごした……! どうしよ著替えてメイクして……ああもう! 遅刻したら所長のBBAにいびられるじゃーん!」

私はドタバタと支度を調えて、木戸に手をかける。

バキィ……!

「ばきぃい……?」

ドアノブがぶっ壊れた!? なんで!?

そのまま木戸が倒れる……。

「え、なに……これ……?」

私の目の前には、廃墟が広がっていた。

「王都は……どうしたの……? なんで一夜にして廃墟に……どうしてこうなった……?」

確か昨日は……そうだ。

所長のパワハラをけて、家に帰ろうとしたそのとき。

モンスターの大群が、王都へと襲いかかってきたのだ。

スタンピードと呼ばれる現象だ。師匠から聞いたことがある。

モンスターたちの食料が、何らかの原因でなくなったとき、群となって人里に降りてくるって。

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王都を襲うモンスター達の群れ。

私は自分の工房に引きこもって、外に出ないようにした。

……私には戦う力がほとんどない。外に出て勇敢にモンスターと戦うことはできない。

自分の命が一番大事。だから魔よけのポーションを即興で作って、家の周りにぶっかけ、自宅の中にこもった。

殘念だけど、王都のみんなを守るだけの量のポーションを作るには、素材と、何より時間が足りなかった。

殘酷だと言われようが、私は自分のを一番に考える。

けれど自宅にはほとんど食料がなかった。何日目かには食糧が盡きた。それなのにモンスターはまだまだ王都から消える気配がない。

そこで私は考えた。食糧が盡きる前に、仮死狀態になろうと。

私は師匠ニコラス・フラメルから、様々な効果を発揮するポーションの製造方法を教わった。

その中の一つ、【仮死のポーション】。飲めば一定期間、仮死狀態となる魔法の薬だ。

飲めばが一瞬で凍りついて細胞が凍結、栄養狀態を保ったまま、仮死狀態となれるもの。

いつかはスタンピードも収まるだろう、と考えて仮死のポーションを飲んで……。

「目が覚めたのが今ってこと、ね」

廃墟の町に私はひとりぼっちだった。

おそらくは嵐は去ったのだろう。

「……狀況を、まずは把握しとかないと」

仮死狀態になってから今目覚めるまで、どれくらいの時間が経過してるんのかわからない。

一ヶ月二ヶ月ってレベルではないように見える。

「あの栄えていた王都が、こんなボロボロになるわけないし……それに、こけやば……」

の劣化合から、年単位であることがうかがえた。仮死薬の効果って、どんなものだっけ……?

師匠から作り方を教わって、実際に自分でのんだの初めてだったしなぁ。

「…………」

廃墟を前に、に去來するのは、罪悪……だろうか。私だけ生き殘ったっていうのかしらね。

他の人はどうなったのだろう。助かったのだろうか……。

「あー、うん! やめやめ! 難しく考えるのやめ! 王都には騎士もいたし、モンスター達倒したでしょう! ボロボロになった町を捨てて新しいとこでみんな生きてるさ!」

ってことにしておこう。うん……シリアスダメダメ。

だってここで過去を嘆いたところで、結果は変えられないしね!

「とりあえずは町を目指しながら狀況把握ね。人に會って話せば、どれくらい私が仮死狀態だったのかわかるだろうし」

そうと決まれば、さっそく移だ。

といっても、なんの準備もなく外をうろつくことなんてできない。

最低でも、魔よけの薬と、回復薬くらいは作っとかないとね。移中にモンスターに襲われて死ぬとか勘弁してしいし。

私は一度工房に戻って、素材を探す。

「うん……ほぼなんもない!」

乾燥してる薬草はあるけれど、素材はほぼほぼ劣化していた。うわ、サイアク……。

「まあポーションだけ作っときますかね」

私はポケットから指を取り出す。

右手につけて、前に向かって手のひらを前に向ける。

「錬工房……展開!」

人の顔くらいの大きさの、立方が出現する。

これは錬工房。

この小さな箱の中には、錬金に必要な道が、魔法で再現されて存在する。

フラスコとか、破砕機とかね。

この箱の中は外とは時間の流れが異なる。

つまり錬金に必要となる時間を、大分圧することができ居るのだ。

「この箱の中に薬草を突っ込むと……」

立方のなかで、錬が行われる。

薬草は分解され、出され、水とともに混ざり合い……。

箱の中に手を突っ込むと、中からポーション瓶が出てくる。

これぞ、フラメル式錬金

空間魔法と錬金とを組み合わせることで、素早く、高品質のポーションが作れるのだ。

……まあとはいえ、素材が手元にないとポーションは作れない。

それに、この魔法の箱は手順をカットできるだけ。

時間を短してるだけなので、ポーションの質は作り手の技量に左右される。

ようするに、この錬金工房を展開したとしても、作り手がへぼければ低品質のポーションになってしまうってわけ。

「乾燥した薬草、あるだけ全部回復ポーションにしとこ。あとは道中で魔除けのポーション作っとかないとなぁ」

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