私たちは師匠の工房へと訪れていた。

荒野にそびえ立つ巨大な塔。

その一階には転移ポータルがおいてある。

魔法陣がかすれていて正常に作していなかった。私は白墨を使って魔法陣を治す。

「これでよし。さっ、みんな乗って乗って～」

奴隷ちゃん達を魔法陣にれる。地面に手を置いて私は魔力を流す。

かっ……！　と赤いが私たちを包み込むと、周囲の景が一瞬で変わる。

さっきまで塔の中だったのに、今は塔の屋上にいる。

びょおお……！　と突風が吹いて髪のが流れていく。

ゆっくり眼を開けると、そこには花畑が広がっていた。

「わぁ……！　きれいなのですー！」

「……すごい。こんな高所に庭園があるなんて」

ゼニスちゃんが言うように、そこはとりどりの花が咲きれる、見事な庭園が広がっていた。

それを見て、わーしいー……とは思えなかった。

「あんにゃろ……サボりよって」

「……？　セイ様？」

「なんでもないわ、ゼニスちゃん。さ、工房にいきましょ。あそこの小さな小屋が、師匠の工房よ」

庭園の奧にレンガ造りの小屋がある。

私たちが歩み寄っていこうとすると……。

庭の中央に魔法陣が出現し、１人の……メイドさんが現れた。

桃のショートカット。前髪は左目だけを隠してる。

小柄なだ。

「む？　なんでござるかあれは？」

「魔導人形《ゴーレム》よ。それも、師匠が自ら作った、超高能メイド魔導人形《ゴーレム》」

ほんと、見た目は人間なのよねぇ。

ただ側頭部から、竜の角みたいなアンテナがびている。

また、人間的な作がない。呼吸とか、瞬きとか。

「シェルジュ……ひさし……」

メイド……シェルジュがスカートから、２丁の銃を取り出す。機関銃だ。うげ。

「トーカちゃん、私たち守って！」

「む！　心得たっ！」

トーカちゃんは一瞬で私たちの前にやってくる。

「【竜円閃《りゅうえんせん》】！」

トーカちゃんが槍を高速回転させる。

一方シェルジュは２丁の機関銃を構えて、私たちめがけて連してきた。

どががががっ！　とすさまじい早さで銃弾が撃ち込まれる。

「うひー！」

「……セイ様。あれは、お師匠さまの魔導人形《ゴーレム》なのですよね？　どうして、弟子であるセイ様に攻撃を？」

ゼニスちゃんからの問いかけに対して、答えは一つ。

「師匠のお世話の係だからよ。あの……師匠以外はどーでもいいってじなの。たとえ弟子だろうと、侵者は排除ってね」

しっかしどうするかね……。

まあやるしかないんだろうけど。

「ぐっ！　あ、主殿……！　やつの攻撃を、防ぐだけで一杯でござる！」

「……あの銃。帝國式の銃よりも連力に優れています。ただ銃である以上、弾丸には限りがあるはず。なのにつきる様子がない……」

ゼニスちゃんはよく勉強してるな。

てか、銃弾って私が居た頃じゃまだマイナーだったのに、５００年後の今じゃ主流なのかしら。

「あのは【構築魔法】を使ってくるわ」

「……構築魔法？」

「簡単に言えば、魔力で質を構築……創る能力ね。魔力がつきない限り銃弾は創られ続ける。そして、あのの魔力は無盡蔵なの」

「……そんなことって」

「あるのよ。ニコラス・フラメルがつくりし、最高級の魔道。特級魔導人形《アルティメット・ゴーレム》。人型で、人間以上の力をやばい代よ」

第一あんな細い腕で機関銃２本をるなんてありえないのだ。

作られた人形だからこそ発揮できる蕓當。

「ぐぅ……！　押される……！」

トーカちゃんはよく持ってる。あのメイドロボはかなりやる。普通に古竜とか討伐するしなぁ。

「しゃーないか。トーカちゃん！　ゼニスちゃん達守ってて。私がやる」

「し、しかし……」

「だいじょーぶ！　マスターを信じなさい」

トーカちゃんは何度も躊躇していた。私を守らなきゃって意識があるのだろう。

けれど、私を信じる気になったのか、うなずく。

私はトーカちゃんの影から、バッ……！　と橫に出る。

正直戦いは苦手だ。てゆーか、運が苦手なのだ。

私はポーション瓶を、アンダースローで、シェルジュめがけて投げる。

左腕をポーションに向ける。

あんたの癖は、私がよくわかってる。自撃。それがあんたの強み。

けれどで自ってのが、弱點でもあるのよね。

ぱりん！　と割れたポーション瓶から、白煙が立ち上る。

煙《スモーク》ポーション。化學反応で煙を起こす……ようは煙幕だ。

銃弾がやむ。それはそうだ。シェルジュは敵を認識して攻撃する。

裏を返せば、敵が見えなければ攻撃してこない……。とはいえ。

師匠の作った魔導人形《ゴーレム》が

、この程度の事態を想定していないわけがない。

煙幕で敵が見えないのに、銃弾が再び振ってくる。

「見えてないのに、なぜ我らを狙撃できるのでござるか！？」

「敵の熱を知してるのよー。そのまま守っててねー」

もう手は打ってあるから。

ぱりん！　とシェルジュのドたまに、【２本目】のポーションがぶつかる。

中から白くてドロッとしたが発生し、シェルジュをべっとりとぬらす。

「接著《グルー》ポーション。ま、ボンドだね」

白いは、同士を接著させる固化がある下級ポーションだ。

シェルジュのパーツのきを、ポーションが固定化。やつは指ももかせなくなって、棒立ちとなる。

やがて煙が晴れる。

「か、勝ったのでござるか……？」

「す、すごいのです！　おねえちゃん！」

わっ……！　と奴隷ちゃんたちが近づいてくる。

ゼニスちゃんがけなくなったシェルジュを見つめていう。

「……あの２本目のポーション、いつの間に投げてたんですか？」

「煙幕張ったときにだよ。あのロボメイド、熱知モードに切り替わると、生は捕らえられるけど、非質は追えなくなるんだよね」

ポーション瓶は溫を持たないため、投げても補足できない。

あのが熱知モードにチェンジしたタイミングを見計らって、２本目を高く、上に投げていたのだ。

「……相手の能を理解した上で、最小限の作で敵を無力化する。お見事でした」

「いやぁ、みんなが協力してくれたおかげだよ。ありがとー」

私は奴隷ちゃん達を抱きしめる。えへへと笑う彼たち。かわええわー。

さて……と。ロボメイドにはお説教タイムかなぁ。