《【書籍化】天才錬金師は気ままに旅する~世界最高の元宮廷錬金師はポーション技の衰退した未來に目覚め、無自覚に人助けをしていたら、いつの間にか聖さま扱いされていた件》19.メイドをゲットし再出発
10日後。
「よっし! 準備完了! おつかれーみんな」
「お疲れ様なのです!」
「「…………」」
元気なのはラビ族のダフネちゃんだけで、火竜人のトーカちゃん、エルフのゼニスちゃんはぐったりしていた。
「どうしたの?」
「しゅ、修行がハードだったもので……ござる」
「……同じく」
ダフネちゃんが首をかしげる。
「おねえちゃん。ふたりとも……しゅぎょーって、どんなことしてたの?」
ダフネちゃんは戦闘能力も魔法能力もなかったので、修行はさせていない。
「トーカちゃんは、シェルジュ相手に組み手させてたわ」
私が上級ポーションを完させてる間、まずトーカちゃんは戦い方を學んでいた。
シェルジュとの実戦訓練を繰り返えす日々。倒れたら、私特製の回復ポーションの繰り返し。
「実戦経験をつませたかったのよねー。あと筋繊維を超回復することで、筋力もついたでしょ?」
「う、うむ……前よりタフになったでござるが……その……主殿がスパルタで……」
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「スパルタ? 師匠はもっとひどかったわよ。魔の森にぽーいって私を一人おいてって、サバイバルさせるんだから」
「うぇ!? そ、それで生きていけるのですか!?」
「うん。何度も死にかけたけど、おかげで力とかついたし。あれと比べたらぬるいでしょ?」
「…………」
次にゼニスちゃん。
「ゼニスちゃんの修行は、魔力の増強。センスはいいから魔力量を増やそうってことでね。魔法を撃って、魔力がからになったら、魔力ポーションを飲ませるの。そうすると魔力量が増えるのよね」
私もやったわー。魔力がなくなるまでポーション作って、ぶっ倒れたらそのポーションのんで魔力回復させて……と。
「……飲み過ぎて、うぷ……胃が……」
「でも魔力は増えたでしょ?」
「……はい」
とまあ、私が師匠からけた修行よりは、遙かに優しい修行を奴隷ちゃん達にさせたのである。
まあね、師匠みたいにヒトデナシじゃないから私。いきなりやばい修行なんてさせないわよぅ。
「あ、あのぉう……ちなみに拙者達が途中でもし死んでしまったら……?」
「え、大丈夫よ。そしたら蘇生ポーション飲ませて、すぐに復活させてあげたから!」
「「……そ、蘇生?」」
はて? と二人が首をかしげてる。
んん~? あれ、もしかして知らないのかしら。
「死後3秒以なら、回復ポーションをのませることで、ノーリスクで復活させられるのよ? これぞ【3秒ルール】!」
「…………」
「まあ3秒過ぎても、半日くらいだったら上級ポーションの蘇生ポーション使えば生き返れたし……って、どうしたの?」
なんか二人とも、口を大きく開いて、目を剝いている。
「すごいのですー! お姉ちゃんは死んだ人も生き返らせることができるなんてー!」
「おお、ありがとうダフネちゃーん♡ よしよし、もふもふだねぇ」
「えへへー♡」
二人ともどうしたのかしら。難しいことすぎて頭がついてこれないのかしらね。
「……ゼニス。主殿はひょっとして、ただ才能があっただけでなく、とてつもない過酷な修行を経て、今に至ったのでござろうか?」
「……そうね。あの口ぶりからして、おそらくい頃にとても苦労なさったのでしょう」
「……下積み時代から苦労してて、宮廷で働いてるときも上司からのパワハラでご苦労を……くぅ!」
「……セイ様はつらい過去がおありなのに、我々にも優しくしてくれる、とても素晴らしいお方だわ。あのお方にふさわしい奴隷となれるよう、より一層努力しましょう」
「……おうともっ!」
トーカちゃん達がこそこそと何か話してる。
仲がいいことはなによりだ。
「さて、修行も終わったし、上級《ナンバーズ》ポーションの補充も完了! 補給もすんだし、さっそくしゅっぱーつ!」
「「「おー!」」」
私、奴隷ちゃん達、そして地竜のちーちゃんは、転移ポータルの上に立つ。
シェルジュだけがポツンと立っていた。
「あんたどうするの?」
「…………」
シェルジュは答えない。その鉄のと心は、師匠に作られたもの。
ここを守れ。ざっくりしすぎた師匠からの命令《オーダー》。
この律儀なは、500年近く一人で、あのお馬鹿な師匠の命令を守っていたのだ。
「おねえちゃーん……」
ダフネちゃんは私を、懇願するように見上げてくる。
そーいや、ダフネちゃんはよく、シェルジュと一緒にいたっけ。
が移ったんだろうなぁ。
「シェルジュ。命令よ。私についてきなさい」
「……不可能です。このには、この場の守護をせよと、創造主からの命令が刻まれています。以上」
「あら、そ。じゃ第2案ね」
ぱちんっ、と私が指を鳴らす。師匠の工房から、1人の魔導人形《ゴーレム》が現れた。
「! しぇ、シェルジュどのが……もう一人!?」
「シェルジュ・マークⅡよ。私が作ったの」
オリジナルのシェルジュは、前髪で右目を隠していた。
けれどマークⅡは、左目を隠している。それ以外は全部一緒だ。
「……すごい。特級魔導人形《アルティメット・ゴーレム》です。上級ポーションを作っていたのではなかったのですか?」
「その空いた時間に、ちゃちゃーっとね」
「……こんなにも巧な魔導人形《ゴーレム》を、片手間で作ってしまわれるなんて……セイ様はすごいです!」
オリジナル・シェルジュとちがって、マークⅡには生気がじられない。それもそうだ。まだこの子の中には、なにもないのだ。
「シェルジュ。このマークⅡとあんたの意識をリンクさせる。そうすれば、あんたはここを守りつつ、私たちについてこれる」
「……なるほど。命令はオリジナルのシェルジュさんの式に刻まれてる。けれどマークⅡのボディにはそれがない」
式を修復はできても、書き換えは、作った本人しか行えない。
ならば、まっさらな、新しいボディを作る。
「また一人で500年過ごすの、いやでしょ? ならついてきなさい。荷持ちがしかったのよ、ちょうど」
シェルジュには【ストレージ】という機能がついてる。
たくさんのを、ため込んでおける機能だ。
このシェルジュ・マークⅡにも搭載されている。
「……マークⅡボディさえあれば、ストレージ機能は使えるのでは? 以上」
「まーね。でもしいときに、しいものを取り出すのに苦労するじゃない。ストレージはあくまでもため込んどくだけだし。管理者は必要でしょ?」
私はシェルジュに手をばす。
メイドロボはしの逡巡の後、私の手を取る。
「よし、じゃあパパッとリンクするから。ええと、式を展開してっと
意識の同期自はそんなに時間かからなかった。
ややあって。
「よし、荷持ち&雑用ロボット、ゲットだぜ! あのバカ師匠からをNTRってやったわ!」
「直接的、かつ下品な言い回しかと思います。あと私は寢取られてません。以上」
「固いわねぇあんた」
「魔導人形《ゴーレム》ですから。以上」
ま、何はともあれだ。
こうして私は、ストレージ機能付きの雑用ロボットメイドを、仲間に加えたのだった。
「改めて、しゅっぱーつ!」
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