《【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔の探求をしたいだけなのに~》11
タリッジが、海面に浮いたクラーケンを見て「あれが原因だったのか。にしてもでけえな」と圧倒される。
ソフィアはエインズを褒めちぎる。
そんな三人のもとに一人の騎士がやってきた。
「エインズ殿、アラベッタ様のお屋敷までご案いたします」
鎧をガシャガシャと鳴らしながら騎士はエインズらを先導する。
魔獣の聲は聞こえなくなったが、あたりにはが転がっておりそのどれもが異臭を放っている。損壊した家屋や倉庫、魔獣のだけではなくエリアスの住民が流したであろうも地面にべったりと付著していた。
クラーケンによってほとんどの船舶が沈められてしまったが、小さな損傷だけで済んだ船はわずかにある。
風は、クラーケンの死骸漂う海その生臭さを陸地へと運んでいく。騒ぎが起きる前のの香りに満ちたエリアスの面影はない。
「向こうに馬車をご用意いたしましたので、窮屈ではございますがそちらでお屋敷まで行きます」
「それは助かります」
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港から一隻の船が出向し、クラーケンの死骸の方へ向かっていく。
死骸をいつまでもそのままにしておくことはできないため、回収するのだろう。
船を橫目にエインズら三人は馬車にる。
案をしていた騎士が者の橫に座るとゆっくりと馬車はき出す。荒れた地面の上を、車を揺らしながら馬車は進む。
エインズはタリッジやソフィアと話をしながら、小窓から街の様子を窺っていた。
ソフィアとタリッジは半魚人の討伐で街中を駆け回って確認しているだろうが、エインズはその様子を知らない。
エリアスに來たばかりのにぎやかで明るい雰囲気が一切消え失せている。その景に特別エインズの心が揺れくことはないが、それでも街の復興にはいくらか時間がかかるはずだとじていた。
馬車は徐々にその揺れを小さくしていき、しばらく走り続けたあと靜かに停車した。
者側の小窓が開けられ、騎士がエインズらに聲をかける。
「お三方、到著いたしました」
ソフィアがドアを開き、三人は馬車を降りる。
車の揺れに耐えるため、に変に力がっていたようでエインズは凝り固まったを大きくびをしながらほぐす。
「馬車の揺れはいつまで経っても慣れないね」
エインズが降り立ったアラベッタの屋敷の敷地はキルクにあるブランディ侯爵家別邸以上の広さを有しているが、建の造形はブランディ家の方が凝っていた。さすがに多くの有力な貴族が屋敷を構えて競い合う王都の建の方が豪勢といったところか。
それでもエインズからしてみればエリアス邸もかなり大きく豪勢に構えているように見える。
騎士が屋敷のドアをノックする。
中からメイドと執事が現れ、騎士とエインズらを確認して頭を下げた。
騎士は老執事にアラベッタからけた指示容を伝えるとともにエインズたちを紹介する。
「アラベッタ様からは、先に湯に浸かって疲れを癒していただくよう指示をけておりますので」
伝え終わると、騎士はエインズらに「街を救って下さり、心より謝申し上げます」と深々と頭を下げて屋敷を後にするのだった。
殘されたエインズらは老執事に促され、屋敷の中にった。
屋敷の中は意外にも飾られた調度品はない。キルクのブランディ邸で生活をしていたエインズは、廊下を歩けば出會う高価な調度品が並ぶ景に慣れてしまっており、すっきりとしたエリアス邸の広間に新鮮味すら覚えた。
床は手れが大変な絨毯ではなく、磨き上げられ沢を放つタイルで敷き詰められていた。
コツコツと心地よい足音を鳴らしながら奧へと進んでいく。
エインズとソフィアはブランディ邸で生活していたが、タリッジもかなりの頻度でソビ家の屋敷を出りしていた。そのため、初めて歩くエリアス邸だが不必要に張したりなどは一切ない。
「大きいけど、なんだか貴族らしくない屋敷だね」
エインズはソフィアに言ったつもりだったのだが、前を歩く老執事がそれに反応する。
「エインズ様はどちらから?」
「ええっと、キルクから。今日エリアスに著いたんですよ」
「それはまた災難でしたね。ですが、我々からすればエインズ様が本日エリアスに來て下さったのはまさに天恵でした。おっと申し遅れました、私アラベッタ様に仕えておりますヴァレオと申します」
「ええ、僕はどうもトラブルに巻き込まれやすいみたいでして」
苦笑いを浮かべるエインズの橫でタリッジが皮る。
「たしかに今回は珍しく巻き込まれているな。いつもは自分がトラブルを起こしてんのによ」
ソフィアに橫腹を肘で突かれるタリッジ。
そんな三人の様子にヴァレオも思わず笑みがこぼれる。
「キルクではどちらで寢食を? どうも高貴な分の方のお屋敷に慣れておられるみたいですが」
「カンザスさんのところに」
「カンザス=ブランディ侯爵様のお屋敷でございます」
エインズの言葉では伝わらないかと思い、ソフィアが捕捉してヴァレオに伝える。
「ほう! カンザス様のところでしたか。主のアラベッタ様はカンザス様と懇意な間柄ですので、それはまたご夕食の際に主にエインズ様のお話をしていただきたいところですね。アラベッタ様もさぞかしお喜びになられるでしょう」
考えを相手に読み取らせない、これぞ貴族の中の貴族といった格のカンザスに懇意な間柄の貴族がいるのが意外にじたエインズだった。とはいえそれを口に出してしまえばカンザスだけでなくアラベッタにも失禮にあたる。靜かに言葉を飲み込んだ。
「カンザス様のお屋敷におられたのなら、尚のことこの屋敷が殺風景に見えますでしょう?」
「殺風景なんてことはないと思いますけどね」
「ここは王都キルクと違い、他に爵位を持つ貴族はいませんから見栄を張る必要もないのですよ」
「なるほど」
相手が同じ貴族であるのなら、分かりやすい絢爛豪華さが言葉以上にものを言うのだ。
だがエリアスにはアラベッタの他に貴族はいない。ならば必要以上の華はいらない。商人などエリアスにいる有力者を相手にする程度の裝飾でいいのだ。
「アラベッタ様とともにブランディ侯爵様のキルクのお屋敷に同行したことがあります。その時にアラベッタ様はカンザス様に『金みたいで趣味が悪いな』とおっしゃっていましたよ」
カンザスはバツの悪そうな顔をしていたとヴァレオは笑う。
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『隻眼・隻腕・隻腳の魔師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔の探求をしたいだけなのに~』
書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売!
コミカライズ進行中!
詳しくは作者マイページから『活報告』をご確認下さい。
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