《僕の妹は〇〇ですが何か問題ありますか?》背後に注意

晝休みはあと十分ほどで終わる。

やれやれ、もう午後の授業か。

時間の流れは早いものだな。

僕がそんなことを考えながら、教室に戻ろうとすると何者かの視線をじたような気がした。

的に振り返るが、誰もいない。

気のせいかな?

その時の僕は特に気にすることなく、教室の中にった。

「おい、羅々(らら)。もう放課後だぞ」

「ふぇ?」

僕が馴染の『百々目鬼(とどめき) 羅々(らら)』のを揺すると、彼は寢ぼけ眼《まなこ》を《こす》りながら、目を覚ました。

「あー、雅人《まさと》ー。おはよう」

「おはよう、じゃない。部員集めはどうした?」

は背びをしながら、こう答える。

「あー、あと一人だったねー。まあ、なんとかなるでしょ」

のんきでいいな、お前は。

というか、僕がいなかったら絶対見つけられなかっただろ。

うーん、まあ、いいか。

「そうだな。じゃあ、僕は失禮するよ」

「また、あのひきこもりのために帰るの?」

こいつ、また妹のことを侮辱《ぶじょく》したな。

「ひきこもりって言うな。夏樹《なつき》はお前が思っているほど、バカじゃないぞ?」

「分かってるよ、そんなことは。けど、いつまでも家に閉じこもってたら、雅人《まさと》にしか心を開かなくなっちゃうかもしれないよ?」

それは……たしかにそうかもしれない。

『二口《ふたくちおんな》』である妹は後頭部にあるもう一つの口で九割九分、食事をする。

その質を他人に見られるのが嫌《いや》で家に閉じこもっているのは知っているが、將來のことを考えたらしでも外に出した方がいいのかもしれない。

「まあ、その時は僕がなんとかするよ」

「そう……。じゃあ、また明日ね」

「ああ、また明日な」

僕はそう言うと、校門前まで早歩きで向かった。

「なあ、そろそろ姿を見せてくれないか?」

僕が校門前でそう言うと、僕の背後から聲が聞こえた。

「はぁ……やっぱりバレていましたか」

「當たり前だ。あまり鬼の力を甘く見るな」

僕の両肩に手を置いたのは『後神《うしろがみ》』だった。

「そうですね。次はもっとうまく尾行します」

えっ? 何? 僕はこれからも尾行されるの?

正直、やめてほしいんだけど。

「まあ、それはいいとして。僕に何の用だ?」

「あー、えーっとですね。その……私も先輩の部にりたいなーと思いまして」

やっぱりそうか……。

まあ、僕にとっては好都合だから、別にいいんだけどね。

「そうか。じゃあ、名前を教えてくれないか?」

「あっ、はい。えーっと『後《うしろ》 神奈《かんな》』です。先輩と同じクラスですが、先輩と同じクラスになりたくて飛び級しただけなので、先輩より一つ年下です」

は? こいつ、僕と一緒のクラスになりたくて飛び級したのか?

な、なんか怖いな……。

というか、こんなやつ僕のクラスにいたかな?

まあ、後神《うしろがみ》だから、みんなに気づいてもらえてないんだろうな。

「なるほど。だいたい分かった。まあ、その……これからよろしくな」

「こちらこそよろしくお願いします」

その後、彼は僕の家の前までついてきたが、僕が威圧で吹き飛ばしたため、しばらくは尾行できないだろう。

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