《僕の妹は〇〇ですが何か問題ありますか?》朝ごはん

目を覚ますと僕は妹の黒い長髪にグルグル巻きにされていた。

妹と一緒に寢るとかなりの確率でこうなるのだが、今日はいつもよりガッチリ巻きついている。

さてと、どうしたものかな。

まあ、とりあえず起こすか。

「おーい、夏樹《なつき》ー。朝だぞー、起きろー」

「お兄ちゃん……好きー……」

妹はそんな寢言を言いながら、僕を抱きしめてきた。

大好きな妹に抱きしめられるのは非常に嬉しいし、ずっとこのままでいたいのだが、早くしないと遅刻してしまうため、そういうわけにはいかない。

「おーい、夏樹《なつき》ー。頼むから、起きてくれー」

「お兄ちゃん……私のこと、嫌いなの?」

そ、そんなことはない! というか、嫌いになるわけがない!

だって、僕は……!

「あっ……お兄ちゃん……おはよう……」

「あ、ああ、おはよう。夏樹《なつき》」

妹は寢ぼけ眼《まなこ》を《こす》りながら、僕の頭をでる。

「あれ? 子《わらこ》ちゃんは?」

子《わらこ》とは昨日の夜、なぜかうちにやってきた『座敷子』のことである。

「そういえば、いないな。どこに行ったんだろう」

妹は僕を解放すると、僕のが部分的に鬼化していないか確かめた。

「今日は……大丈夫……みたいだね……」

「ああ、そうみたいだな。よし、じゃあ、行くか」

妹はコクリと頷《うなず》くと、僕が制服に著替えたのち、手をつないで一階のリビングに向かった。

「ん? なんかいいにおいがするな」

「本當だ……目玉焼きのにおいがする……」

僕たちがキッチンを覗《のぞ》くと、そこには割烹著《かっぽうぎ》をにつけた例の座敷子がいた。

「あっ、おはようございますー。もうしで朝ごはんできますよー」

「わーい……」

それは僕の仕事なんだが……。

うーん、まあ、いいか。

夏樹《なつき》も喜んでるし。

いや、待てよ? こいつの作るごはんじゃないと食べたくないと夏樹《なつき》が言い出したら、僕はどう生きていけばいいんだ?

「おい、子《わらこ》。勝手に僕の仕事をするな」

「まあまあ、そんなこと言わずにー。ほら、タコさんウインナーですよー。口開けてー」

タコさんウインナーだと?

ま、まあ、肝心なのは味だ。

「……なんだよ、普通にうまいじゃないか」

「ありがとうございます。ほら、夏樹《なつき》ちゃんも」

夏樹《なつき》は彼に背中を向けると、後頭部にあるもう一つの口でタコさんウインナーを食《しょく》した。

すると、その口が。

「素晴らしい! いい腕してるねー!」

を褒《ほ》めた。

妹は『二口《ふたくちおんな》』だが、味覚は人間とほぼ変わらない。

し違うところと言えば、人間のもおいしいとじてしまうことだ。

僕たちは朝ごはんを食べ終わると、僕は食洗いを。

妹と子《わらこ》は洗面所に行き、髪のの手れをしていた。

さてと、今日も頑張っていきますか。

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