晝休みになると、百々目鬼(とどめき)　羅々(らら)が部の名前を考えようと言い出した。

てっきり決まっているものだと思っていたが……。

まあ、それはさておき……。

「なんでお前らもここにいるんだ？」

「え？　あー、それは百々目鬼(とどめき)先輩に呼び出されたので」

雪の『雪《ゆきめ》　葵《あおい》』。

「僕も百々目鬼(とどめき)先輩に呼び出されました」

天狗の『鞍馬《くらま》　天《そら》』。

「私はずっと先輩の後ろに……」

後神の『後《うしろ》　神奈《かんな》』。

「ごめん、それは知ってる」

その時、羅々(らら)がその場から逃げ出そうとした。

「おい、部長（仮）」

「は、はい！」

なんで逃げるんだよ、まったく……。

「部の名前を決めるなら、早くしてくれないか？」

「あー、うん、そうだね。じゃあ、早速始めようか」

彼なりにいくつか考えてきたらしいが、どれもピンと來なかったらしい。

「まあ、あれだよな。こういうのって部長がスパッと決めるか、なんとなく決まるよな」

『…………』

おい、なぜ何も言わない。

気まずくなるじゃないか。

「じゃあ、こんなのはどうだ？　それぞれの種族の漢字を一つずつ合わせて百鬼雪天神《ひゃっきせつてんじん》部ってのは」

『…………！』

な、なんだよ、みんなして僕の方を見て。

何か言いたいことがあるなら言えよ。

反応に困るから……。

「雅人《まさと》……」

「な、なんだよ」

羅々(らら)は両手を広げると、僕を抱きしめた。

「それいいねー！　採用！！」

「え？　は？　ええ！？」

僕が他のメンバーに目をやると、みんなはニコニコ笑っていた。

神奈《かんな》だけは僕の背後で嬉しそうに笑っていたが。

「よし！　じゃあ、次は部の方針を決めよう！」

えっと、部の名前は本當にそれでいいのか？

まあ、気にってくれたのなら別にいいけど。

「方針？　ボランティア活みたいなことをするんじゃなかったのか？」

「ちっちっちっ、それは建前にすぎないのだよ、雅人《まさと》くん」

急に『くん』付けするな。

「なるほど。それで？　僕たちの部はいったい何をする部になる予定なんだ？」

「それはほら、あれだよ……。警察の目が屆かないところで悪いことをしている人や妖怪を敗するんだよ」

それ、本當にやるのか？

いくら僕が鬼の力を宿しているからって、そんなことできるわけが。

いや、待てよ？　地上と海は僕と葵《あおい》ちゃんでなんとかなる。

空は天《そら》がいればいい。

羅々(らら)と神奈《かんな》はバックアップ。

あ、あれー？　なんか行ける気がしてきたのは僕だけかな？

「はい！　ということで、これからそういう細《こま》かいところを決めていくよー！」

『おー！』

みんなはどうしてそんなに乗り気なんだ？

というか、僕はこんなやつらといていいのか？

うーん、まあ、今はまだよく分からないから、もうし様子を見るか。