表向きはボランティア活を行っているが、真の姿は犯罪者やテロリストを敗する正義の味方か。

まあ、別にできなくはないと思うけど、こういうのって優秀な參謀が必要なんじゃないのか？

いくら一騎當千のやつがいても、使いどころを誤ったら負けるんだから……。

僕がそんなことを考えていると、みんながこちらをじっと見つめてきた。

「な、なんだよ……」

「夏樹《なつき》ちゃんってさ、たしかゲーム得意だったよね？」

馴染の『百々目鬼(とどめき)　羅々(らら)』がそう言うと、僕はその言葉の意味を數秒後に理解した。

「おい、まさかとは思うが、うちの妹も部させるつもりなのか？」

「ピンポーン！　だいせいかーい！　よく分かったね！」

待て待て待て待て、冗談じゃないぞ！

そんなことしたら、うちの妹が危険な目に遭《あ》う可能が高くなるじゃないか！

「ダメだ！　それはできない！！」

「えー、どうしてー？　格ゲーの世界大會に出たこともあるんでしょー？」

あ、あれは僕がしやり方を教えたら、僕よりもっと強いやつと戦いたいとか言い出して……って、今はそんなことどうでもいい！！

「とにかくダメだ！　というか、こんなおかしな部に妹がるわけないだろ！」

その時、妹の髪のが一本、どこからともなく僕の肩に乗った。

その後、それは円の形になった。

「こ、これは夏樹《なつき》の髪か？　というか、いったいどこから僕たちの會話の容を聞いて……」

「はい、細かいことは気にしなーい。夏樹《なつき》ちゃんは承諾したから、あとは雅人《まさと》だけだよ」

いやいやいやいや、ちょっと待て！

なんだ！　この流れは！！

いったいどうなってるんだ！！

「あのなー、妹は部員にはなれるかもしれないが、學校には來たがらないと思うぞ？」

「だよねー。ひきこもりだもんねー」

あとでぶっ飛ばそう……。

「コホン……。まあ、あれだ。妹が參謀的な役割を擔うとして、それをどうやってみんなに伝えるんだ？」

「それは雅人《まさと》の仕事だよー」

なぜそうなる？

「いや、そんな勝手に決められても」

その時、晝休みが終わる予鈴が鳴った。

「おっと、どうやら今日はここまでのようだね。では諸君、また明日、今日と同じ時間にここに集合すること。解散！！」

「えっ？　ちょ、まだ話は終わって……」

僕が最後まで言い終わる前に、みんなは屋上から去っていった。

「それじゃあ、雅人《まさと》。夏樹《なつき》ちゃんによろしくね」

「はぁ……どうせ止めても部は作るつもりなんだろ？」

彼はニコッと笑うと、僕の肩に手を置いた。

「分かったよ、一応伝えておくよ」

「ありがとう、雅人《まさと》。してるよー」

やめろ、恥ずかしい。

「はいはい。ほら、行くぞ。授業に遅れる」

「そうだねー。行こう、行こう」

こうして、妹も彼が作る部の部員になることになったのであった。